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始まりの丘 No.6【小説】

「単刀直入に聞くけど、何か良い情報は集まった?」

「あー、もしもし? 残念だけど、こちらは何も無いよ。ていうか久しぶり、昨日は研究会に集まれなくてごめんな。こちらも色々予定があってさ」

「そういう風にならないように日々、情報には目を光らせておけと言ったろ」

 今度からは、しっかりするようにと言って僕はスマホの通話を切った。

 やる気のない奴だ、だから動機が不純な奴の意見は当てにならないんだ……。僕は、心の中で彼を裁いてしまっていた。

 続けて二人目のメンバーに電話を掛ける。

「もしもし? 何か良い情報あった?」

 すると、彼はしばらく無言を貫いたまま、重い腰を上げる様にして言った。

「あー、ちょっと声出さないでくれる? 昨日、大分飲み過ぎちゃってさあ、二日酔いなんだよね、声が頭に刺さって痛い……」

 僕は無言で通話を切った。

 これは駄目だ、話にならない。何の為に僕が一人で情報を集めるのに奔走しているというのだろうか。この二人は人というものに対して、尊敬の念というものがあるのだろうか?

 僕は内心諦めつつ、最後のメンバーに電話を掛けていた。

「君で最後だ、当てにはしていないけれど、念のため聞くよ。この一週間で何か使えそうなネタはありましたか?」

「……」

 ないか……。僕が通話を切ろうとした時、意外な答えが返って来た。

「なあ……ワームホールって、教会の近くにあるんだよな?」

「それがどうしたの?」

「見つけたんだよ、ワームホール」

 !!

 それは一体どういうことなのか、ワームホールがあった? 僕はその先を詳しく話すように促した。

「それってつまりどういうことなの?」

「だからな、あったんだよ、ワームホール。あれってあれだろ? 携挙の日に人類がテレポートするのに必要なものなんだろう? まあ、聞いてくれよ」

 いたずらじゃないのか……。僕は内心、疑いの念を持ちつつ話を聞いた。

「昨日は日曜日だったろ? 俺さ、真面目に教会に行ったんだよ。いや、ちょっと身内に教会に行きたいって子が居てさ。俺は聖書研究会のメンバーだって言ったら、ぜひ一緒に行ってほしいって。いや、俺がクリスチャンじゃないのはさすがに言えなかったんだけどさ」

「それでさ、説教が終わった後、教会を彷徨っていたんだよ。そしたらあった! というか、見えた! ワームホールが!」

「そ、それはどこに?」

「テレビだったんだよ!」

 ワームホールが……テレビ? それは一体どういうことだろう。僕は詳しく話を聞いてみることにした。

「だから、つまり、テレビが話しかけて来たんだよ、心霊現象みたいに。そこの場所は、お前もよく知っているところでさ、バプテスマホーリークラブって教会、知ってるだろ?」

 僕は気づくと、彼の情報をノートにメモしていた。つまり彼の言っていることはテレビが、ワームホールと繋がっているということなのだろうか? 僕は話の続きを聞こうと、スマホを耳に密着させる。

「よく、お前、ゲームやってたり、アニメを見ていると、こちらに語りかけてくることがあるって言ってたろ、それだよ、それ。心霊現象じゃないけど、すごく不気味でさ、あそこの教会って、デカいテレビが置いてあるじゃないか、それから声がしたんだよ」

「例えば、どんな声が?」

「こちら側に来ないか……って」

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