A-SPICEと他のプロセスとの共存は可能か

A-SPICEはソフトウェア開発プロセスの改善のためのプロセス参照モデルとプロセスアセスメントモデルのセットです。自動車関連のソフトウェア(システム)開発におけるプロセスの定義と、それに則ったアセスメントを定義しています。

よく出てくる質問として、アジャイルだから(正確ではないですね、プロセスの話をしているのでインクリメンタルモデルを採用しているから、としておきます)A-SPICEが前提としているウォーターフォールモデルとはマッチしない、というものがあるらしいです。これについての回答は、A-SPICEは必ずしも特定のプロセスモデルを前提としているわけではなく、よりメタな箱を用意しているだけ、とのこと。

確かに、SYS.5 システム適格性確認テストにおいても、例えば以下のように書かれています。

> システム適格性確認テスト仕様に含まれるテストケースが、システム適格性確認テスト戦略およびリリース計画に従って選択されている。

>選択したテストケースを使用して、統合システムに対するテストが実施され、システム適格性確認テスト結果が記録されている。

などなどです。「テスト戦略」は必要ですが、それ以外については特定のプロセスを要求していないことが判ります。また、複数のプロセス(例えば、SYS.4 システム統合とシステム統合テストとSYS.5)を統合することも理由をつける前提で許容されています。

特定のプロセスは要求していませんが、特定の(妥当かつ詳細な)プロセスを用いることは推奨されると考えています。それは、A-SPICEで求められるプラクティスや成果物を実装するために必要な要素がより細かくプロセスに規定されている可能性があるからです。そのため、特定のプロセスの適用がA-SPICEのアセスメントにおいて有利に働く可能性があるといえると思います。テストにおいてその代表がISO/IEC/IEEE 29119でしょう。A-SPICEで必要とされているプラクティスや成果物はほぼ網羅されていると思われます。ただ、再度になりますが、必須ではないです。

まとめると、

・A-SPICEは特定のプロセスモデルを前提としていない。そのため特定のプロセスモデルを採用することは当然許容される

・特定のプロセスモデルを採用すると、A-SPICEに準拠しやすくなる可能性がある

となります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?