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アジャイル vs ウォーターフォール vs ハイブリッド:プロジェクト推進の最適解は?
私(@suh_sunaneko)は大小含めて100以上のプロジェクトに推進してきました。その中で、どのような進め方を選択するかによって成果が大きく変わると感じてきました。
プロジェクトの進め方は、アジャイル、ウォーターフォール、ハイブリットなどさまざまな手法があります。
アジャイルで素早いフィードバックを重視する場合もあれば、ウォーターフォールで全体像をしっかり固めたほうが混乱を防げる場合もあります。
本記事では、プロジェクトの規模や新規か既存か、関係者の人数などの観点から、どの手法を選ぶのが良いか考えるためのヒントを整理しています。自社やチームの状況と照らし合わせながら読んでいただけると嬉しいです。
補足:進め方に正解はありません。PMによってやりやすいやり方はあると思っております。賛否両論あるかと思いますが、一つの考え方として参考にしただけえればと思います。
【先に結論】選定を簡単にまとめたポイント
プロジェクトの進め方(アジャイル・ウォーターフォール・ハイブリット)を選ぶとき、まず押さえておきたいのは以下の観点です。
プロジェクト規模が大きい場合(人月が多い、関係者多数)
ウォーターフォールを採用する場面が多い
理由: 工程や管理の区切りを明確にしやすい
ただし完全に固め過ぎると、変更が起きたときの手戻りリスクが上がる
中規模以下で既存修正のプロジェクト
アジャイルが適していることが多い
理由: 要件変更や細かい修正が出やすいので、短いスパンで検証と調整を繰り返しやすい
新規開発の場合
ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせたハイブリットを検討
最近では「高速で小さなウォーターフォールを何度も回す」手法も注目されている
理由: 新規は要件が固まらないケースが多く、ハイブリットなら変更対応の柔軟性を確保しつつ、上流を安定させやすい
関係者がごく少数(2、3人)程度の新規
とにかく作ってみて学びながら進める方法もある
ただし、要件定義や基本設計を極端に省略すると、後々スケールするときに混乱が大きくなる
このように、プロジェクトの「規模」「新規か既存修正か」「関係者の人数」を大きな軸として選択を進めることが大切です。以降では、各手法の特徴やメリット・デメリットをもう少し掘り下げ、注意点などを解説します。さらに、要件定義と基本設計の重要性や、実際の進め方のテクニックにも触れていきます。
1. プロジェクト推進で常に議論になる「進め方」の大切さ
プロジェクトが始まると、多くの現場で「どのように進めていくか」がテーマになります。私自身、大小合わせて100以上のプロジェクトに携わった中で、成功するかどうかは「最初の進め方の判断」で大きく左右されると考えています。
進め方が合っていないと起きやすい問題例
手戻りの多発
現場メンバーが混乱
スケジュールの大幅遅延
関係者間のコミュニケーション不全
システム開発や業務設計、SaaS導入では、さまざまな部署・ステークホルダーが関与します。進め方を間違えると、日々の業務に支障をきたし、不信感やストレスを招くことが多くなるため要注意です。だからこそ、進め方の選択は最初にしっかり行いたいポイントになります。
2. アジャイル・ウォーターフォール・ハイブリットの基本概要
2.1 ウォーターフォール
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特徴
要件定義 → 基本設計 → 実装 → テスト → 運用
工程を明確に区切って、上から下へと一方向で進める
大規模プロジェクトや多くの関係者がいる組織向き
メリット
マイルストーンごとに合意を取りやすい
大人数が関わるときに管理がしやすい
レポーティングが比較的容易
デメリット
要件定義終了後の大きな変更は手戻りが大きい
途中で仕様が頻繁に変わるプロジェクトは扱いにくい
2.2 アジャイル
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特徴
短いスプリントを繰り返し、都度要件を見直しながら開発
スクラムなどのフレームワークが代表例
要件があいまい、仕様を作りながら考えたい場合に適する
メリット
変更に強く、途中で仕様が変わっても対応しやすい
ユーザーからのフィードバックを早期に取り入れやすい
リリースを小刻みに実施することで、完成イメージを共有しやすい
デメリット
関係者とのこまめなコミュニケーションが必須
大規模プロジェクトでは体制づくりに苦労することが多い
2.3 ハイブリット
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特徴
ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせる
上流である程度要件定義と基本設計を行ったあと、開発フェーズでは小刻みに検証を挟む
「高速で小さなウォーターフォールを何度も回す」という方法にも注目が集まっている
メリット
ウォーターフォールの管理しやすさと、アジャイルの柔軟性を両立
全体感を固めつつ、細部を小刻みに詰められる
デメリット
中途半端なウォーターフォールやアジャイルになりがち
チーム内で役割分担をはっきりさせないと混乱が生じやすい
3. なぜ「要件定義と基本設計」が重要か
アジャイルの普及によって「要件定義をすっ飛ばしても良い」という誤解が広がりがちです。ただし、まったく行わないと後々手痛いしっぺ返しにあうことが多いです。特に基本設計は、要件定義で整理した内容を具体化し、システムや機能の概要を図面化する大切なフェーズです。
要件定義を疎かにすると起こりがちなトラブル
「聞いていない機能が必要」と後から言われる
スコープが際限なく広がって破綻しやすくなる
関係者の認識がバラバラで進行がストップしがち
基本設計を無視した場合のリスク
仕組み全体の見通しがあいまいになり、コードや機能が場当たり的になる
運用時に想定していなかったバグやパフォーマンス問題が噴出
追加要件に対応しにくく、改修コストが高騰
組織規模が大きかったり、関係者が多数いたりする場合は、誰が最終的な意思決定をするかを明らかにしておく必要があります。要件定義と基本設計をあいまいにしてしまうと、「日々やることが変わる」状態に陥りやすいです。それが続くと、現場の混乱だけでなく、上層部やステークホルダー全員が疲弊し、不信感も募りがちなので注意を要します。
4. プロジェクト規模が大きいほどウォーターフォールになりやすい
4.1 理由
関係者が多く、意見集約に時間をかけないといけない
スケジュールやコストを明確に管理する必要がある
大規模で仕様変更が頻発すると混乱や手戻りが格段に増える
ウォーターフォールは、工程が区切られており進行管理がしやすい点が強みです。大規模だからといってアジャイルを排除するわけではなく、「要件定義・基本設計を詰める段階はじっくり行い、開発の中盤以降は小さなサイクルで検証する」など、ウォーターフォール内にアジャイル要素を部分的に取り入れる方法もあります。
4.2 ウォーターフォールで注意すべき点
上流工程(要件定義・基本設計)に時間をかけ過ぎない
時代やビジネスの変化が早いため、上流に時間をかけ過ぎると「完成時には要件が古くなっている」ケースもある
本当に先へ進めるのか、時々チェックする
ウォーターフォールとはいえ、形式的に工程を進めるだけでなく、小さなマイルストーンで成果物をレビューする意識が重要
5. 中規模以下で既存修正ならアジャイルが便利
5.1 理由
既に運用中のシステムやサービスは、利用者の声や運用実績に基づく細かな修正が出やすい
アジャイルなら、要望を短いスプリントごとに取り込みながら改善しやすい
小さなリリースを積み重ねることで、利用者の満足度を高めやすい
たとえば、既存のWebサービスのUIを改善するケースでは、ユーザーからのフィードバックを週単位や月単位で反映しながらアップデートする流れが適しています。ウォーターフォールのように大掛かりな計画を立てるよりも、アジャイルで小刻みに回すほうが必要なところを素早く直せる利点があります。
5.2 アジャイル運用での注意点
こまめなコミュニケーションが必須
変更内容を適切に伝えないと、現場が混乱してしまう
マネージャーやPO(プロダクトオーナー)の役割が大きい
優先度を正しく決め、スプリントごとのゴールを明確にする
関係者に対する説明責任が発生するため、意思決定をスムーズに行う必要がある
6. 新規ならハイブリットが安心(高速で小さなウォーターフォールも有力)
新規開発は、顧客ニーズやビジネス要件が定まっていないことが多く、突発的な仕様変更が起きやすいです。純粋なウォーターフォールだと変更に弱く、かといってアジャイルだけでは要件定義や基本設計が曖昧になりやすい恐れがあります。そこでハイブリットが力を発揮します。
6.1 ハイブリットの進め方
初期段階で全体的な要件定義と基本設計をある程度固める
プロジェクト全体のゴールや大枠を共有
スコープと優先順位を話し合い、関係者の合意を得る
開発フェーズに入ったらアジャイル的に短いスパンでリリースとフィードバックを回す
細かい機能やUIの仕様はスプリントごとに詰め、変更が発生しても柔軟に対応
開発の都度レビューを行い、要件の再検討を必要に応じて行う
6.2 「高速で小さなウォーターフォール」のイメージ
大きなウォーターフォールを1回ではなく、小さな要件定義 → 基本設計 → 実装 → テストを数週間~1か月程度で回す
都度プロダクトやシステムの状態を確認しながら次の小さなウォーターフォールに着手
完成度を少しずつ高めていくことで、途中での方向転換時にもダメージを抑えられる
7. 例外的に関係者がごく少数(2、3人)の場合
スタートアップ初期のように、関係者や意思決定者が2、3人しかいない場合は、いわゆる「ハンズオン型」でスピード優先に進めることがあると考えられます。
やり方
簡単な要件整理をして大枠を共有
細かい基本設計はせず、プロトタイプを即時に作成
実際に触りながら、次の修正点を決める
関係者同士で頻繁にコミュニケーションを取る
メリット
スピード最優先で進められる
すぐに手を動かして反応を試せる
デメリット
将来、ユーザーや機能が増えたときに拡張しづらくなりがち
基本設計をしっかり行っていないので、大きくなったとき手戻りが増えやすい
少人数プロジェクトでの極端なアジャイルやプロトタイプ重視の手法は、組織やユーザーが拡大するタイミングで根本から見直す必要が出る場合があります。
8. 要件定義と基本設計をないがしろにすると起こりがちな混乱
以下のような問題が起きることが多いです。
関係者の意見がバラバラに反映されてしまう
仕様が頻繁に変わり、日々やることがまとまらず混乱状態に陥る
途中で大幅な方針転換が必要になる
当初想定していた要件と異なる大改修が発生し、スケジュールが大幅にずれる
不信感・ストレスが生まれる
「この前と話が違う」「誰が決めているのか分からない」という状況になり、モチベーションが低下
そのため、小さなプロジェクトであっても「最低限、誰が何を求めていて、どこまでスコープに含めるか」をすり合わせておくことがおすすめです。基本設計も可能な範囲でまとめておくと、後々の混乱をかなり抑えられます。
9. 選定を誤るとどうなるか
「大規模プロジェクトなのにアジャイルだけで突き進んで混乱した」「小規模の既存修正なのにウォーターフォールで無駄に時間をかけてしまった」など、現場ではさまざまな失敗事例があります。最初に進め方を見極める作業は避けることができません。
大規模プロジェクトでアジャイル推進を強行
参加メンバーが多すぎてスプリントごとの調整が難航し、管理不能に陥る
小規模の既存修正でウォーターフォールを選択
ほんの数週間で終わるはずの修正が、細かい要件定義と基本設計に時間をかけ過ぎて数か月に膨れ上がる
こういった事態を防ぐためにも、「規模」「新規か既存か」「関係者の人数」などの視点から、大まかに進め方を振り分けると成功確率が高まると考えられます。
10. 結局、どれが良いのか
冒頭の「選定を簡単にまとめたポイント」を再掲しますが、もう少し肉付けを加えます。
大規模プロジェクト(人月が多い、関係者多数)
ウォーターフォールを基調とした方法が管理しやすい
工程をはっきり区切り、上流で要件定義と基本設計をしっかり固める
場合によっては上流をウォーターフォールで固め、下流でアジャイル要素を混ぜる
中規模以下・既存修正がメイン
アジャイルを採用すると柔軟に改修できる
スプリントごとにフィードバックを取り入れることで、手戻りを最小化
新規開発で要件が流動的
ハイブリットが有力。ウォーターフォールとアジャイルを併用
「高速で小さなウォーターフォールを回す」形で全体像と柔軟性を両立
関係者が少人数の場合
プロトタイプ優先でアジャイル的に素早く試すことができる
ただし拡張性や後追いの基本設計を意識しないと、規模拡大時に痛い目を見る可能性がある
11. 日々やることをコロコロ変えすぎないのが大事
進め方を検討する際には、「チームや関係者に余計なストレスを与えない」ことが大きなポイントです。要件を変更する場合も、ある程度のルールやタイミングを決めたほうがスムーズになります。
ただし、やりたいことは思った時にすぐ発信すること重要です。あとで「やっぱりXXだと思っていたんだ」となるほうがよくないです。
悪例
「先週決めたことが、今週まるっと変わる」→ チームの混乱・不信感が増大
「都度『やっぱりこっちにして』とメールやチャットで指示が飛んでくる」→ 連絡漏れや作業ダブりが発生
理想
ウォーターフォールの場合は、工程が切り替わるポイントで仕様変更を厳密に管理
アジャイルの場合は、スプリント終了ごとに次のスプリント計画を立てる際に大きな変更を取り込む
プロジェクト運営の軸をぶらさないことが重要です。軸をはっきりしておけば、必要な軌道修正も計画的に行いやすくなります。
とはいえ、方針が変わることは全然あることです。その際は、対応している方の状況を考慮した相談をすることを忘れていけません。
12. 関係者のストレスを最小限に抑えるコツ
進め方を最初に決めておく
ウォーターフォールかアジャイルか、あるいはハイブリットかを上層部やステークホルダーと共有
「こういう方式で進めるので、このタイミングで合意をとる」というフローを明示
要件定義と基本設計をサボらない
スタートアップでない限りは、最低限の要件定義は必須
基本設計をまとめておくことで、仕様の抜け漏れや曖昧さを減らす
コミュニケーションチャネルを整理する
チャット、メール、会議などを必要に応じて統一しないと重複や伝言ミスが起こりやすい
報告先や決定者をはっきりさせておくことで、責任の所在を明確化できる
現場で起きるトラブルの多くは、技術的な問題よりもコミュニケーションや認識の相違が原因になることが多いです。進め方そのものも大切ですが、それを支えるコミュニケーション設計も見落とせません。
13. まとめとアクション
アジャイル・ウォーターフォール・ハイブリットのいずれを選ぶかは、一概に「これが最善」とは言えません。それぞれに強みと弱みがあります。大切なのは、以下のような観点から使い分けることです。
プロジェクト規模
新規か既存修正か
関係者数や組織の体制
どの手法を使う場合でも、要件定義や基本設計をまったくやらないという選択は推奨されません。関係者間の合意形成や、今後の運用・拡張性を保つために不可欠だからです。
行動に移すためのステップ
まずはプロジェクトの規模・性質をチェック
人月数、関係者の人数、新規or既存修正など
大きいほどウォーターフォール寄り、小さいほどアジャイル寄りになりやすい
新規開発はハイブリット方式を検討
進め方の基本方針をチーム内で合意
ウォーターフォールを採用するなら工程の区切りを決める
アジャイルを採用するならスプリント期間を決める
ハイブリットならどこまでウォーターフォール的に進めるかを共有
要件定義・基本設計を必ず実施
最初にすべてを完璧に固めるのは難しくても、最低限の合意事項は明文化
基本設計もラフな形でもよいので、チーム全員が同じ方向を向けるようにする
コミュニケーションルールを整備
チャットツールやファイル共有、会議体などを設定しておく
誰が決定権を持ち、どう情報を共有するのかを明確化
定期的に振り返りと改善を実施
ウォーターフォールなら、各工程の終了時にレビュー会を設ける
アジャイルなら、スプリントごとにレトロスペクティブを行う
ハイブリットでも小さなサイクルを回すため、同様に振り返りを実施
進め方そのものをこまめに見直せる体制があれば、大きな混乱や手戻りを避けつつプロジェクトを成功させやすくなります。
14. おわりに
「アジャイルかウォーターフォールかハイブリットか」というテーマは、プロジェクトを始めるたびに話題になることが多いです。結局は状況に応じて最適解を選び取る必要があります。
大規模=ウォーターフォール寄り
中規模以下の既存修正=アジャイル寄り
新規=ハイブリットか高速で小さなウォーターフォール
ごく少数=とにかく作って試す(ただし後で本格的に基本設計を検討する必要がある)
どの手法を選んだとしても、要件定義・基本設計をまったくやらないという選択はリスクが大きいです。プロジェクトが拡大するほど、この部分を疎かにするデメリットは大きくなるため、決してサボらないことをおすすめします。
しっかりと方向性を共有し、必要な段階で必要なコミュニケーションを重ねれば、関係者のストレスを最小限に抑えながら成功に近づけるはずです。少しでも迷ったときは「規模」「新規か既存か」「関係者数・チーム体制」という3つの視点をベースに考えると、進め方の方向性がかなり見えてきます。うまくいけば、手戻りや混乱を避けながらスムーズなプロジェクト運営ができるはずです。少しでも参考になれば幸いです。
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