提婆達多 - ‘The Worst Narrative’について
どうも。
ここのところ短い文章ばかり投稿しておりましたが、重い腰を上げてセルフライナーノーツなど書いてみようかと思います…。
さて、私がボーカルを務めております、提婆達多というバンドからシングルが最近出ました。
こちらについて、制作過程や楽曲の意図するところ等色々と書かせて頂きます。
制作過程
社会人になった我々、楽曲のストックを少しづつ、本当に少しづつ貯めていく日々なわけですが、夏頃になんとなくこの辺でシングルリリースしたくね?となり、割と完成度も納得出来ていたこちらをリリースすることに。
そこからアートワークのお願いを(主にZoiが)したり、フレーズや展開の修正、音作りやミックスの話し合いなどを経て、完成に至りました。最近はバンド全体で同じ方向を向いて進めているなと感じます。
曲調について
リファレンスはこちら。
仮タイトルはmelodicriffです。Arch Enemyのあんまりメロディックじゃない部分みたいな意識があったと思います。実は提婆達多の曲を作る時には結構Arch Enemyをリファレンスにしていたりします。Arch EnemyってすごくJ-POPぽくてメロデスの中でも特に好きなんですよね。
しかし、思ったよりメロデスやメタルコア的な解釈ではなく、ニューメタル的な解釈をされているようで(これは悪いことではなくむしろとても面白いことだと思います)、自分の中にあるニューメタルがもはや無意識に現れていることに気付かされました。確かに言われてみればSlipKnoTとかにもこういうのあるかも?
あと、誰にも気づいてもらえなかったので自分でオマージュの元ネタ言ってしまうのですが(これはいちばんダサい行為なので皆さんどうぞ僕を嗤ってください)、ボーカルの最初のリピートしてフェードインするやつはThe CrownのDeathexplosion意識しています。これ真面目にやったらオモロいかなと思いましたが、Zoiにだけめちゃくちゃウケました。
あとはハードコアっぽいパートの声のフローはRyo Kinoshitaさんに影響を受けていると思います。
最後はビートアップで終わらせたいという気持ちがありました。ビートアップで踊ると気持ちがいいです。
やはり個人的なテーマは比較的メロディアスにという感じだったのですが、割とデスコア寄りのメロディアスさになり、ブルータルさも両立された感じがあります。
歌詞について
タイトルがThe Worst Narrative、最悪の物語という意味になります。
Narrativeというのは、臨床心理学で用いられる用語で、Storyとは少し違い、語り手の主観的な物語を指します。詳しくは調べてみてください。
テーマはいくつかあります。主なものとして、「終われない人々」と「終わらざるを得ない人々」のための曲です。
ここで言う「終わる」は多義的で、そのまま人生を終えるという意味もありますし、社会的に「アイツは終わってる人間だ」みたいな意味もあります。
本来終わってる人のほとんどは終わりたくて終わった訳では無くて、何かしらの環境要因であったり、もしくはそこへ向かう選択をし続けた結果(これが曲中で出てくる、最悪なナラティヴに支配された状態です)、終わらざるを得ない状況となることが多いです。
しかし、終わることが出来るのはある意味楽になる瞬間でもあって、初めは終わらされてしまったはずの人が次第にその終わりを誇っていく瞬間も発生しているように感じます。そしてだんだん終わることに価値が見出され、憧れを抱く若者さえ生まれているように、僕からは見えるのです。
「終わる」が指し示しているもののひとつとして、現代日本に蔓延る露悪があると思います。それらは漂白された社会の裏返しで、表とされる部分が漂白されるほどにそれは局所的に濃さを増していくのではないかと、僕は思うのです(それが良いか悪いかは人によると思います)。
僕のように、半端に勉強をして一応職を手にして一応趣味の延長として音楽を続けている人間は、自分に満足しつつも、そうした終わった人のカリスマ性みたいなものに若干の憧れを持つ部分があります(提婆達多のギターのサイも近い事を言っていた)。
だから、終わることが出来た人を羨ましく思う気持ちを持ってしまう終われない人々に、その気持ちを否定しなくていいことを伝えたくてこういう歌詞を書いたような気がします。
もうひとつのテーマとして、それならばせめて善く生きること があります。
もはや一般的な善い悪いが通用しないとすれば、生きることそのものが意味を持たないと言えると思います。しかし、それでも生きるのはなぜかと考えた時に、なんでかはわからんけど「善く」なりたいんじゃないかと思うのです(ここで言う「善い」は前述の一般的な善いではなく、その人の中での善いのことです。)。そうした人間が持つ、善い方向へ向かおうと、ナラティヴを変える力を信じたい気持ちを最後のビートアップに込めました。
アートワークについて
今回アートワークを柴田樹里さんにお願いしました。
Zoiから教えてもらって知ったのですが、現代の暗さを油絵という手法で描いているのを見て、是非この人にお願いしたいと思い、オファーしました。
僕の長たらしいテーマや歌詞に関する語りをしっかりと聞いて解釈してくれて、素晴らしい絵を描いていただきました…!
提婆達多の今後の活動
引き続き音源制作を頑張っていきます。
ライブが数本決まっております!
11/16(土)に仙台BAR TAKEにて、VOICES FROM HOOD presents Collective. Vol.6に出させていただきます!
バンドとしてのホーム仙台でやるのは久しぶりなので、すごく気合いが入っています!よろしければお越しください!
そして、2/13(木)は大阪Yogibo META VALLEYにて、JINJERの来日公演のオープニングアクトを務めさせていただきます!
大阪でのビッグイベント、こちらもとても気合いが入っております!是非お越しください!
終わりに
色々と書きましたが、僕が勝手に言ってるだけのことなので、皆さんの自由な解釈こそが、それぞれの唯一の正しい語りと言えると思いますので、僕の言っていることと解釈が違っても全く問題はありません。
むしろ、色々な解釈ができる作品を作りたいので、ドシドシ提婆達多の感想をお待ちしております。
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