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提婆達多(Devadatta) 3rd EP “道連れ -MICHIDURE-” 制作の話

どうも。

僕がボーカルをやらせて頂いているバンド、提婆達多(Devadatta)の3rd EP “道連れ -MICHIDURE-” がリリースされました。


今回のEPめちゃくちゃ頑張ったので、制作秘話という名目で苦労話を書かせていただきます。

※長くなります。楽曲解説はまだ先です。

制作の流れ

4月頃にGt.のZoiから「全曲feat.を呼んでEPを作りたい」という話が出たので、よっしゃやろうということでコンセプトを決めることに。

全曲feat.にちなんでタイトルは“道連れ”に。この時点でk0he1だけは決まってました。

で、各々ゲスト呼んで曲もゲストのキャラクターに少し合わせていこうという感じに。

曲の(ほぼ)完成した順としては

1. Gain(4月末)
2. Purple Gasoline(5月末)
3. What's Nu(6月初旬)
4. Mala Fides(6月中旬)
5. Our Lives Mean Nothing(6月末)

で、5曲で完成のつもりしてたんですけど、ミックスやら声入れやらやってるうちに、9月頃になっちゃって、なんか別で進めてたMindfulが完成しちゃって、Zoiが「これも入れちゃおう」ってんで6曲に。

曲自体は割と完成は早かったのですが、今年の後半は僕がまあまあ忙しくなっちゃって、声入れとかミックスが律速になって結局12月中旬に入稿…。

だいぶ前から新譜を匂わせていたのに遅くなって申し訳ありませんでした。この場を借りて謝罪させていただきます。

アートワークのコンセプト

アートワークもアルバムのコンセプトに則りたいということで、Zoiから「傘連判」をモチーフにしたいという話が上がりました。それを受けて僕が「仏教要素として曼荼羅も合わせたらどうか」となり、それをハトリにオーダーしたところこのような素晴らしいジャケットになりました。

ちなみに、CD買ってくださった方には開いた中身の方もこのコンセプトの連続であることがわかるかなと思います。英語読めない時は僕に聞いてくれれば教えます。

楽曲解説

ここからは収録曲について一曲ずつ曲の好きなところとかfeat.の話とかをします。

こちらのプレイリストを聴きながら読むとより理解が深まるかもしれません。


Gain (feat. k0he1 from TxCxM)

一番最初にできた曲で、仮タイトルは“Intro”でした。

開幕感の強さと、短い曲に繰り返しで印象を持たせつつも展開を持たせたのが特徴かなと思います。提婆達多にしてはかなり分かりやすくまとまった曲かなと。

特に気に入っているのが、最後のビートダウンで最低音がCのフレーズから、そのまま最低音Aのフレーズに移行するところ(Zoiのアイデア)。ビートダウンやブレイクダウンで大事なのは絶対値としての低さより、相対値としての低さだというのが彼にはわかっているのでしょう。

繰り返しのリフのリズムは布袋寅泰のスリルの“ベビベビベイベ…”のところを参考にしました。

ボーカルについては、かなり韻を踏んでヒップホップ(ちょっとレゲエっぽいところもある)な感じにしました。

feat.のk0he1がとっても暗黒な感じにしてくれてよかったですね〜。彼の強さであるストレートな声力(コエリキ)が存分にアピールされていると思います。

歌詞については読んでもらえばわかる内容かなと思うので割愛します。

Mala Fides (feat. Visya from MURDER HEAD)

仮タイトルは“ridebass”(ライドとベースから始まるから)。

僕がほとんど作って、最後のブレイクダウンをZoiがやってくれました。

この曲はもうめちゃくちゃニューメタルの影響が出てますね。最初のベースの入りとかはモダンなハードコアとかを参考にしたつもりなのですが、結果的にKornとかSlipKnoTの影響がめちゃくちゃ感じられる曲に。明らかにShoots and Laddersのパクリフレーズあるし笑。

「ちょっとWhat's Nuと被らない?」ということで0:54からのPTHのような謎カオティックパートが挿入されることに笑。ライブのことを一切考えていないので、この曲はIlluminate同様メンバーに敬遠されることになる気がします…笑。ですがおかげでメリハリは出来たかなと思います。

あと、ギターの一音が3/8の長さのフレーズ(1:17とか)が、グルーヴを生めているなと感じます。

最後のブレイクダウンはZoi曰くXibalbaを参考にしたらしいです。(追記:Xibalbaは結局採用しなかったそうです。すみません。ただ、頭抜きのフレーズというところが工夫した点らしいです。)ブレイクダウン直前のワーミーフレーズでちゃっかりメトリックモジュレーションをしているのが僕的には小賢しくて気に入っています。

feat.のVisyaさんについて、MURDER HEADではメロデスという枠でやっていますが、Visyaさん自身はかなりメタルコアデスコアが大好きな方で、そういう流れも汲みつつ、ちょっとメロディックデスコアみたいなフレーズのパートをお願いしたところ、かなりバラエティに富んだ面白いボーカルを送って頂けました。

歌詞については、他人へ悪意を持って与えた言葉だったり行動がその人の人生を狂わせること。それから目を逸らしたくなるけれど、それを受け入れることを訴える内容です。

Purple Gasoline (feat. Peyashi from GEROPETORO)

最後にBPM280になるおそらく提婆達多史上最速の曲。仮タイトルは“fast”。バカのタイトル。

この曲は従来の提婆達多っぽくなり過ぎないように意識しました。ハードコア要素を強めて、デス要素は弱めにしました。

feat.のPeyashiさんについて、個人的にぶち上がりでした。ボーカル録音に立ち会ったのですが、たくさんアイデアを出してくださるのでこちらも楽しかったです。何より「音源ならライブで再現不可能なことをやってもいい」っていうところが一致したのが大きかったかなと思います。

ピッチシフターも日本語歌詞も今までの提婆達多にはなかった要素で、それが自分たちの曲にバチッとハマった感じが気持ちよくて、レコーディングの帰り道すごいワクワクしながら帰ってました。

あとこの曲はもはやfeat.の方が長いです。Peyashiさんが「歌う部分長ければ長いほどいい」とおっしゃっていたので本気にしてこんなに長く歌わせるという笑。おかげで曲のキャラクターが印象的になったかなと思います。

歌詞については僕のよりもPeyashiさんの方が印象的でかっこいいです。一見単語が並んでいるだけに見えて、しっかり意味の通ったコンセプチュアルな歌詞だと思います。ちなみに僕の方は昔のバイトでムカついた上司のことを思い出して書きました。

Our Lives Mean Nothing (feat. YOTCH from ExTxC)

この曲は全部Zoiが作りましたので、曲の話はあんまりありません。

個人的に気に入っているのは、1:52からのAcraniusのようなビートダウンと最後の方のスラム感のあるリフです。最初の方は繰り返し感があるのに対し、後半は展開が豊富で、かつ、いやらしくないのが良いなと思います。

feat.のYOTCHさんについて、めちゃくちゃ切れ味半端ないボーカルで最高ですね。ごちうさのココアさん直系のブラッケンドスクリーム。

歌詞についても僕がコンセプトを長々と伝えたらそれに合わせたものを書いてくださり、本気の仕事をしていただけました。

僕の方で考えていた歌詞のコンセプトについて。人間は不遇な状況に置かれ続けると、それが不遇だと気づいたとしても、それを認めることは自分が今まで頑張ってそれに適応してきたことを間違いだと認めなければならないのでなかなかそれが出来ない。そういう今までの自分が間違っていたのかもしれないという絶望やジレンマがコンセプトで、そのわかりやすいものとして家庭というのをテーマにしています。

What's Nu (feat. Mahon from DoG)

仮タイトルは“charai”。スラムパートの前までできた時点でこのタイトルでした。

これもほぼKornですね。最初のダークなアルペジオで始まる部分だけは我慢したのですが、僕が歌っているところはほぼKornかそれに影響を受けたニューメタルコアの影響が色濃いです。

この曲はベースでグルーヴを作ることを特に頑張りました。あと、ワーミーがいっぱい入っていて気持ちいいです。

feat.のMahonさんについて。さすがの声の強さで、スラムパートで全破壊です。ミックスもすごくしやすかったです。

この曲では、Mahonさんに歌詞を考えてもらう心づもりでデータをお送りしたところ、僕の伝え方が悪く、Mahonさんが僕の歌うパートを録音してしまい、それをお伝えしたところ、急いでMahonさんが歌詞を考えて録音してくださるという…。本当に申し訳ないのとありがたいのとでなんと申し上げればいいのやら…。

そんなハプニングもありつつ、縦ノリのチャラさとブルータリティの共存したかっこいい曲になったかなと思います。

歌詞については読めばわかるかなと思いますので割愛します。

Mindful (feat. Haruka Rai from Layla and Onlys)

曲の長さ6分。長めの曲。意欲作とも言えるし問題作とも言える曲。仮タイトルは“Wake Up”。確か寝る時だか起きた時だかにリフを思いついたんだったと思います。

最初にイントロのリフを思いつき、そこから展開させていきました。個人的にはスラムパートの後にハードコアっぽいツーステパートが来るところ、同じフレーズをブリッジミュートでズンズン重々しく弾いた後に普通にジャカジャカ軽いノリで弾くところ、ドラムのフィルから最初のリフに戻るところ、最後にピアノが入るところです。ほぼほぼ全部です。

最後のパートは、最初は「これさすがにヤバいか?」と思いながらもZoiに送ったら「いいじゃん」となったのでそのままこれに。シューゲイザー要素のあるオルタナ・グランジみたいなノイジーな方向を目指したつもりなのですが、ちょっと叙情風味も入った感じもします。vein.fmとか、Omertaの何でもアリ的な姿勢に影響を受けています。この終わり方を聴いてアルバムが終わった時に「なんだこりゃ…」となって欲しかったのでこの曲を最後としました。


feat.のRaiについて、かなりストイックに録音に取り組んでくれて、何度も録音にチャレンジしてくれました。儚さもありつつ強さも感じるみたいな魅力的な声だと思います。

歌詞については、ちょっとアルバムのコンセプトと合わせて考察して欲しいところでもあるので、あんまり僕が語っているの見たくない人はここで読むのやめてください。








で、内容はというと、中盤まで散々仏教の教えを説きます。特にマインドフルネスについて(わからない人はくぐってください)。

で、クリーンボーカルが入るところで急に突き放したようなことを言う。散々教えを説いたり道連れとか言っておいて最後は聴いている人は置いて自分だけ阿鼻地獄へ向かうというオチ。

何じゃそりゃって思うかもしれないですが、現実でもこのくらい情緒の波がめちゃくちゃなことってまぁまぁあると思うのです。そういう自分本位な感じとか、どうしても共有できない感覚が存在するというのを提婆達多の最期に当てはめて歌っています。


アルバムとして

アルバムとしてはかなり和風要素を削いだ感じがあるかなと思います。グルーヴ強めで、かつ、バラエティも持たせてという感じで。

そしてfeat.の皆様のおかげでとてもキャラクターの強い楽曲たちが出来上がったと思います。本当に感謝です。

聴いてくださった皆さんの感想で次回以降のリリースの方向性も決まるかなと思うので良かったら感想たくさんツイートとかしてください。(もう既に1曲完成してたりするのだけれども)

ライブの告知

ついでにライブの告知です。2/26に西荻窪FLATさんでやるので良かったら来てください〜。

長々と失礼致しました。これを読んでもう一度EPを聴いてより深く楽しんで頂けたら幸いです。

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