SHRM Indiaに参加して見えたHR市場の盛り上がり🇮🇳_202310
2023年10月12日13日の2日間、インド New Delhiにて、インド最大級のHRカンファレンス SHRMに参加してきました。
その内容とインドのHR業界における盛り上がりについて、参加レポートを書きました。
こんな人におすすめ
SHRMカンファレンスについて知りたい
インドのHR市場について学んでみたい
海外のカンファレンスに興味がある
SHRMとは
SHRMとは、Society for Human Resource Managementの略であり、人事のスペシャリストに学びやネットワーキングの場を提供している団体で、今年で創立75年。 世界165カ国に32万人超の会員がいる
AIなどの最新トレンドをはじめ、これからHRが優先すべきことは何なのかが学べる
そのSHRMのインド版カンファレンス
https://www.shrmconference.org/iac23
1. インド版SHRM
SHRMカンファレンスは、HR分野における世界最大の団体であるSHRMによって主催されていますが、今回New DelhiのTAJ Palaceというインドの老舗高級ホテルで行われました。
アメリカのHR Tech Conferenceと似た雰囲気で、素敵な会場で、解放的な展示スペース、参加人数も多くとても盛り上がっていました。
カンファレンスの冒頭では、インドの成長に焦点が当てられ、政府の代表者からG20でのインドの選出についての重要性が語られました。SHRMのカンファレンスは、アメリカの主要なHR関連イベントに匹敵するスケールと内容を提供しており、国際的なHRプロフェッショナルにとって重要な場となっています。
インドのカンファレンスでは、冒頭にインドがいかに伸びてるかという話から入ることが多い気がします。
他の国との共通点としてAIやテクノロジーについても当然に取り上げられています。アメリカ・日本・インドと比べてみると、国によって注目しているテーマに違いがあるのが面白い。
2. 今回のメインテーマは、「Employee Experience」
今回のカンファレンスで最も注目すべきテーマは「EX = 従業員体験」だと思いました。企業は従業員が長期間にわたって健康で生産的に働けることに注視し、従業員の成長と幸福をサポートする組織は繁栄すると強調されていました。
特にコロナ禍の影響で、新たなHRトレンドが急速に広がり、このテーマに対する関心が高まったと会場に参加している方が話していました。
また、インドではとくに人数が多い中で、優秀な人材を獲得する選考プロセスの難しさや煩雑さからAIを用いて効率的なプロセスで採用するためにはどうすればいいかのTalent Aquisitionも重要なテーマになっています。
GenAIやテクノロジーの活用に関するセッションも多くありました。AIやデータ活用のケースも積極的に増えてきており、重要性が増しているテーマにインドでもなってきていることを感じました。
スポンサー企業の顔ぶれ
80を超える企業がスポンサーをしており、うちブースが大きいGold Sponsor以上は26くらい。企業の顔ぶれをみていると、多くがHRのシステムや、Engagement、Wellnessなどの企業がスポンサーとして大きなブースを出している印象。HR Recruitment系は、Unstop、Indeedといったように超Bigプレイヤーが席巻しており、そのほかスタートアップ系もブースを出していました。
大きなスポンサーがそういったHRシステムやEngagementといったプレイヤーが多いので、内容もそちらがよりメインだった印象です。
全体で見ると、リーダーシップ・タレントアクイジション・エンゲージメント・AI活用といった感じで扱っているテーマ自体に何か他の国のHRカンファレンスと比べて特別感はありませんでした。
同時期にアメリカLas Vegasで行われたHR Tech Conferenceのレポートを見ていると、アメリカの方がよりデータをどのようにHRに適用していくかをテーマにしていたように感じます。
セッションの内容(一部抜粋)
参加したセッションの様子を一部紹介します。
社員1人に$1を健康に投資すると、結果$6のCost Savingsにつながるというデータ
社員がデスクワークしすぎていることをSitting is the new smoking!と話してたのはちょっと面白かった。
インドとアメリカで比較すると、2倍近くインドのほうがRecruiting ScreensのVolumeがあり、Tech Interviewなど選考の数が多い。数が多いので採用勝負になっており、多いボリュームを早くこなさないといけない。HR担当者の時間外労働も問題になっているとのこと
採用競争が激化しているので、組織内からうまく社内異動して新しい才能を見つけるとか、リファラルの活用、Acqhireなど手法を多様化して採用していく重要性について話している
GenAIが生産性改善に貢献し、Work for Work(作業のための作業)からより、Focus work、やるべき仕事に注力できることになるって話などAI活用に関するセッションもありました。
3. 展示スペースの雰囲気
上述しましたが、80を超える企業がスポンサー。ブースも2会場に分かれて大小様々なブースが出展されていました。
インドでは求職者が内定承諾後そのオファーをもって他社の選考で給与交渉をしてそちらに行ってしまう。突然連絡が取れなくなってしまうことが他国よりも多く起こり問題視されているのですが、この会社この現象をGhost👻と呼び、そういった求職者をデータベースで溜めて公開するというサービスを提供しているスタートアップがいました。日本ではサービスにならなそうな事業でそういった特性の違いがでるのは面白いですね笑
4. コロナによる変化とインドの可能性
冒頭にも書きましたが、インドのカンファレンスは、政府関係者が冒頭に登場し、国の成長とポテンシャルについて語る傾向があります。国によって注目するテーマに違いがありますが大枠はだいたい同じで、特にAIやテクノロジーに関する議論は、国際的な共通の関心事となっていることが読み取れました。
数年前のアメリカのHRカンファレンスでEmployee ExperienceやWell-beingが注目されてたので、タイムラグはありそう。ただコロナやテクノロジーの発展によってそのタイムラグは埋まりつつあると感じました。扱うセッションとしては聞いている限り米国のほうがよりデータの活用について具体的に議論されていそうなのでそこはまだまだ遅れがありそうです。
印象的だったのは、「インドは世界で一番従業員を抱えている国である」とClosing sessionで語られていたこと。
たしかに、グローバル企業の多くがインドに拠点を持っていること、またインドの労働者人口の多さと今後の成長を考えてもその通りだと思います。
平均給与はまだまだばらつきがあり他国と比べて高くはないですが、都市によっては急激に上がっており、また優秀なタレントは世界中の企業で働いているので年収レベルはぐっと上がっています。
バンガロールのエンジニアは拠点ヘッドは数千万円、1000万円近くのエンジニアはざらにいて、大手テックの新卒レベルも4-5百万円相当もらっているエンジニアが増えてきていると聞きます。もちろん多くの人口の中のトップ一部の話ですが、コストカットの拠点としてのインドではなく、優秀なタレントを採るためのグローバル拠点といった側面を持ち始めているポテンシャルを感じました。
世界中の多くの企業がインドに従業員を抱えており、その規模が成長しているからこそより、採用プロセスやエンゲージメントに課題が増え、テクノロジーの活用が期待されています。
HRトレンドのKeyword, ABCDE
Opening sessionで、今後のHRトレンドのキーワードとして
A:AI、B:BIAS、C:Career、D:Diversity、E:EngagementのABCDEがあると発表されていました。
わかりやすいですね。今後もこれらのキーワードが注目され、今後の人事戦略の中心となることが予想されます。多くのグローバル企業がカンファレンスに参加し、インド市場での存在感を高めており、国内外の企業が新たなHRソリューションを探求している、そんな可能性を感じました。
終わりに
今回、インドでHRカンファレンス参加ははじめてでした。
アメリカのHR Tech conferenceは私も参加したことがあり、多くの方が情報を上げているですが、なかなかインドのHRカンファレンスの情報は日本語で落ちていないと思います。
実際に日本人は1人も見かけませんでした。実際に参加してみることで、どういったテーマが注目されているのか、インドにおけるHR市場を登壇者や参加者はどう見ているのかたくさん話を聞くことができ理解が深まりました。
世界で一番従業員を抱える国、インドはグローバルを語る上で1つ重要な国となっていることは間違いなく言えそうです。
インドのHRリーダーとのつながりもでき、非常に良い経験ができました。
もっと話を聞きたい方、ぜひお気軽にDMください🇮🇳