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反米と結びつく反帝国主義・ナショナリズム

二項対立になってしまうことがよくある。
保守VSリベラル、ナショナリズムVSグローバリズム、資本主義VS共産主義など。
反米VS親米もそのうちのひとつである。

日本の外交は日米安保が軸である。
戦後、日本軍は解体され、米軍が駐留し、その延長で80年やってきた。
「日本には米軍がいる」という前提のもと、安全保障を考えてきた。
「考えてきた」というのは一部の人で、大半の日本人は少し前まで安全保障など頭になかった。

反米か親米かと言われれば、私は親米寄りになるだろう。
アメリカが絶対正義とは思っていないが、日本一国で国防をすることは難しく、日米安保によって守られている部分が大きい。
ゆえに、対米関係がもっとも重要と考えている。

外国の軍隊が駐留し、国防において依存している状態が好ましいとは思っていない。
だが、現実問題として、米軍が日本が出て行ったらどうなるか。
自衛隊は世界トップ10に入る力を持っているが、数倍の力を持つ世界大国中国に加え、経済規模は日本に劣るが、資源大国で軍事大国のロシア、さらに核とミサイルを持つ北朝鮮と、3つの危険な国を相手にするのは厳しい。
アメリカが好きか嫌いかに関わらず、日本はアメリカ側につく以外の選択肢はないのである。

ちなみに、アメリカにとっても日本は重要な国である。
日本が中国・ロシアなどの反米陣営に倒されれば、グアム(アメリカ領)、オーストラリア、ハワイ(アメリカ領)が危うくなり、アジア太平洋の国々は中国やロシア寄りにならざるを得ず、いよいよアメリカ本土も脅かされる。
今のところ中国とロシアが組んでもアメリカには勝てないが、日本が落ちればわからなくなる。

「反米」の話に戻す。
「反米」は世界中にある。
理由は少なからぬ人から「帝国主義」と見られているからである。
「帝国主義」とは一言で言うと「力によって支配する主義」である。
中国は「アメリカ帝国主義に反対!」というようなことをよく言っているが、「反帝国主義・反植民地主義」を掲げる中国も力によって支配する帝国主義であり、ウイグル・チベット・南モンゴルにおいて、かつての列強による植民地支配と同じようなことをしている。
中国は表ではもっともらしいこと、美辞麗句をよく言うのだが、行動を見ると「お前が言うか!」ということがよくある。
「ダブスタ中国さん」なのである。

なんでも力で押さえつけ、極端に人々の自由を制限する統治の仕方は確かによくないが、力が背景にあることによって一定の秩序を保つ必要があるのもまた事実なのである。
一定の安全を保つにはルールが必要であり、逸脱した者は力によって排除しなければ、社会は崩壊してしまうのである。
厳しすぎると人々の自由が阻害され、暗い世の中になってしまうが、緩すぎても秩序が崩壊し、安全に暮らすことができなくなるのである。

「反米」の根本には「反帝国主義」があり、アメリカと敵対する中国やロシアは世界中で「反帝国主義」を煽ることで反米世論を盛り上げ、アメリカの評判を落とし、影響力を削ろうとするのである。
米軍が駐留している日本や韓国においても反帝国主義を煽ることで反米世論を盛り上げ、アメリカの力を削り、アメリカのみならず、日本や韓国の国防力を弱らせようとするのである。

また、「反帝国主義」だけでなく、「ナショナリズム」を煽ることもある。
反帝国主義は左に多いが、ナショナリズムは左右にある。
「ナショナリズム」とは「国家主義・民族主義」と訳される。
ナショナリズムの反対はグローバリズムであるが、「グローバリゼーション=アメリカニゼーション」なんて言われたことがある。
アメリカが強い力を持っているので、みんな「アメリカ化」していくというのである。
自国の文化がアメリカ化によって薄れていくので、よく思わない人が左右にいる。
そして「反米」になるのである。

私もアメリカがすべて正しいとは思っておらず、原爆投下、主要都市の空襲、GHQの仕打ちなど、ひどいものであった。
だが、現実問題、アメリカの力によって日本の安全が保たれているのは事実なのである。
かつてのアメリカは確かにひどかったが、アメリカもソ連や中国の工作にやられていたのである。
アメリカも気づき、赤狩りという、また手荒いことをして修正したのである。
あまり好きではないが、あのマッカーサーも「日本が開戦に踏み切ったのはやむを得なかった」というようなことをアメリカの議会で証言している。
今でも油断ならないところがあるのは確かだが、アメリカはもはや敵ではなく、共に世界の秩序を守るパートナーなのである。
少なくとも中国よりマシであるのは間違いない。

アメリカのポチから抜け出すには、力をつけ、憲法も見直し、自国の軍を持たないといけないが、すぐにはできない。

力のみとは言わないが、力によって秩序を保つ以外の方法がないのが現実である。
よって、短絡的な反帝国主義はナンセンスと私は思う。
また、ナショナリズムと愛国心の違いは以前書いたが、ナショナリズムは排他的になることがあるので、そこは注意が必要である。
中国や韓国の左派は「よくないナショナリズム」である。
自分を育ててくれた自国に感謝し、独自の歴史や文化、価値観を理解し、自国の繁栄を願うのが健全な愛国精神だと私は思う。
自国を愛するのは、自国が優れた国だからではなく、自分を生み育ててくれたからである。
実際に育ててくれたのは親だったりするが、その奥に「国」があって親や先祖があったのである。

国家と民族についてもどこかで書こうと思うが、「民族」に主眼を置いてしまうと定義が難しく、混乱しかねない。
「国家」を基準としたほうが良いのである。

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