テスト勉強中のひだまり
事務所内の会議室を覗くと机に突っ伏している制服の女の子がいた。にちかだ。
窓から差し込む光が髪にかかり、きらきら反射する。
会議室にそっと入り、「にちかー」と声をかけると「あー!もう!!わかんなーーい!」と叫ぶ声と被ってしまった。腕を前に伸ばして台パンする1歩手前のようだった。
「え、あ、!すぐりp!ちょうどいいところに!」
「あららら、、、お勉強中?」
「そうなんですけどー、、全然わかんなくなっちゃって!テスト勉強もうしたくないんですよ〜〜あったかくて眠くなってきちゃうし、、いい天気なのが逆に恨めしい!」
「えー?って言い訳ならべてもやらなきゃいけないことなんでしょー?せめて課題だけでもレッスン忙しくなる前に終わらせときな〜」
「そうですけどーー!わっかんないんです!数学なんて無くなった方がいいと思いませんか!?すぐりp!」
「あぁ、うーん、私一応理系だったしなぁ、、、数学は得点源だったからなくなって欲しくはなかったかも?」
「えぇー!?!?すぐりpって理系なんですか!?!?絶対文系だと思ってた!」
「よく言われるw 」
「だってだって!見るからに文学少女みたいな格好してるじゃないですか!本読んでそうなイメージ!」
「たしかに理系だけど国語はそこそこ得意ではあったかなぁ、、小説読むのは好きだしね〜
だから人は見かけで判断しちゃいけません!なんてねw」
「先生みたいな言い方〜
あ、じゃあすぐりpに教えてもらえばいいじゃん!数学得意なんですよね!?」
「まぁ、、いいけど、、、薫よんでこよっか??私よりよっぽど頭いいと思うよ?」
「とりあえず1回いいですから!すぐりpもわかんなかったら一緒に聞きに行きましょ!」
「あ、私も勉強する前提なんだ、w
しょうがないなぁ!わかるとこは教えてあげよう!どこがわかんないのー?」
「えーっと、ここら辺からもうついていけなくて、、、」
「あー、ここね。たしかにつまずく子多かったかも
ここはこういう図のことをさしてるからーーー、、、」
「あ!ほんとだ!できたぁ!!すぐりpありがとう!」
「解決してよかった〜〜」
「すぐりp教えるの上手くてびっくりしちゃいました!先生向いてるんじゃないですか?」
「それも散々言われたなぁwじゃあにちかの専属の先生になろうかな」
「それ!いい!勉強するときすぐりpにいてもらえばいいんだ!これからも教えてくださいね!」
「わかったわかったw
そろそろレッスンの時間じゃない?準備しなくて大丈夫?」
「ほんとだ!もうこんな時間!じゃあ一旦いってきますね!すぐりpありがとうございました!」
レッスンに急いで向かう小さな背中を見送り、にちかが置いていったノートに目を落とす。日光に当てられてあたたかくなったノートにはわからないなりに解いたあとが幾重にもなっていた。その努力だけでもどこかで報われますようにと考えながら、私そのノートに少し控えめにはなまるを描いた。
「私も勉強しとかないとなぁ、、薫に教えてもらおっかな」
無駄手間なのかもしれないけどそれさえも愛おしいと思う。にちかの力になれるなら、きっとどんなことでもしてしまえるだろう。
にちかの夢が叶いますように。