落涙必至。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」神回 第十話に見る感動のフォーミュラ
世間は既に「鬼滅の刃」一色に染まってしまった気もするが、忘れられて欲しくない、忘れたくない作品がある。
■「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品
2018年より1シーズンのみテレビシリーズにて放送され、1作品スピンオフの劇場版を挟み、最後のエピソードとして劇場版が現在絶賛公開されている「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。公開6週目で興行収入は既に15億円、フィルマークスでのレビューも4.4と今年公開映画では最高値を記録している。劇場版のコピーは、「愛する人へ送る、最後の手紙」
この作品を一言で表すと、「感情を持たない少女が、愛してる、という感情を理解するまでの物語」と言える。
まずこのシンプルでわかりやすい(=強い)テーマ設定からして素晴らしいなと個人的に思う。そしてそのヴァイオレットという感情を持たない少女は、かつて戦争で鬼神のごとく戦果を挙げた過去を持ちつつも、戦争により両腕を失い(今は義手)、自分に初めて「愛してる」と言う言葉をくれ、初めて自分を人として扱ってくれたギルベルト少佐の面影を追いながら、現在は郵便社で自動手記人形(手紙の代筆業、通称「ドール」)として働いている。
公開直後に本劇場版を見に行ったが、(一部過剰演出に感じる所もないわけではなかったが)全般的に内容は筆舌に尽くし難い程に素晴らしいと感じた。ここまで胸が詰まるほど涙が流れたのは劇場で見た映画で考えても2016年の「湯を沸かすほどの熱い愛」以来だろう。(無論今年見た作品ではダントツに泣かされた)鑑賞中もひっきりなしに周りから啜り泣きが聞こえ、劇場全体が嗚咽状態になるような感覚は初めてだった。
上記リンクより本劇場版に対する感想部分を抜粋する(もう全部同意..)。
「泣ける」と話題の作品で、劇場鑑賞したファンからは「始まってすぐに泣いたわ」「ヴァイオレットが紡いできたこの軌跡を観れて本当に幸せな時間だった。そして家族に『ありがとう』と伝えたくなった」「相手に気持ちを伝える大切さを痛感した」「泣くってわかってたけど、予想以上すぎて震えるほど泣く。ほんといい話だから、みんな見てほしい」「言葉にならない感情でぐちゃぐちゃになった、ありがとうヴァイオレット」などの感想がネット上であがっている。関係者によると、客層としては20~30代の大学生などが多く見られる一方で、上は60代くらいまで支持されているという。
個人的には一点心残りがある。公開前にシリーズエピソードを振り返ってから行けば良かったと。2018年のリアタイでは放送を追えておらず、同年内にキャッチアップした気はするが、ある程度今でも内容は覚えていた感覚があったからだ。(昨年の外伝も映画館で見ていたので、大丈夫かとなぜかたかを括っていた)しかし甘かった。振り返りせずとも実際十分すぎるほどの感動をもらったのだが、各エピソードの記憶をより鮮明にして見に行っていたらどれだけの感動を得られていただろうかと...結果的に改めて全エピソードを振り返った上で二度目の鑑賞をしたのだが、やはり初見の感動を超えることはなかった。(とはいえ作品のディテールにより意識を配ることができ、二度劇場で鑑賞して本当に良かったと思う)。
さて、二度目の劇場鑑賞のために全話を振り返った際、今回の劇場版と正直同じくらいに感動したエピソードがある。
それが、第十話「愛する人は ずっと見守っている」だ。
神回という言葉はこのエピソードのためにあるようなものなのではないか、と思わせるほど隙がなく、個人的に本当に素晴らしいと思うエピソードである。
※以降ネタバレを含むこととなるため、本エピソードをフラットに楽しみたい方はページを閉じることを強く、強くお勧めする。そしてここまでの情報だけでも、(時間がなければ)せめてこのエピソードだけでも見てみて欲しい。
■第十話のあらすじ
以下あらすじとなる。
病気の母・クラーラと暮らすアンのもとを、ヴァイオレットが訪れる。アンそっちのけでクラーラの代筆を務めるヴァイオレットをアンは不審に思うが、徐々にヴァイオレットを慕うようになる。(引用元 : wikipedia)
■第十話の詳細展開
本エピソードでの主要登場人物は3名。ヴァイオレットに加え、病気を抱える母クラークと娘のアン。以下、本エピソードのディテールを紹介した上で、次章の構造展開の詳述へと進みたい。以後細かく話の流れを追っていく上で、この作品が持つ細部まで丁寧に作り込まれたアニメーション、一枚一枚の絵が持つ力は、感情を共有する上で欠かせないと思われる。従って、枚数は非常に多くなってしまったのだが、作品の画像キャプチャを引用させて頂く。(なるべくセリフのやり取りのみの引用にできないか努めてはみたが、最後の方は多くなってしまった)いずれにしろ、本稿の趣旨は本エピソードがなぜ感動を生み出すのかについての考察であり、闇雲にストーリーを共有したい訳ではない。※引用するいずれの画像にも著作権者である「©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会」の表記と、画像の引用元であるNetflixの表記を載せておく)
冒頭はヴァイオレットがクラーク、アンの家を訪れるところから始まる。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
クラークからヴァイオレットへ手紙の代筆依頼。期間は7日間。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用 Netflix
病気を抱える母クラークとの時間を何よりも大切にしたいアンは、手紙の代筆自体やめられないかと母に問う。そして、誰宛の手紙なのかも。
ヴァイオレット:私の貸出期間は7日間と承っております。
クラーク)そうね すぐ始めたいわ
ヴァイオレット)かしこまりました
ヴァイオレット)作業はどちらでなさいますか?
クラーク)それじゃあ 明るいサンルームの方でお願いしようかしら
アン)何するの?
クラーク)お手紙を書くのを手伝ってもらうのよ
アン)お手紙なら私が書いてあげるのに
アン)誰に書くの?
クラークはアンに、これが大事な手紙であり、執筆中は部屋に入ってきてはいけないと諭す。
クラーク:とっても遠くにいる人よ
クラーク:大事な お手紙なの
クラーク;サンルームに入ってきてはダメよ
ヴァイオレットが執筆中も持病の発作がクラークを苦しめる。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
ヴァイオレットが手紙の内容をクラークに確認。涙する彼女。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
七日間という長期に渡る代筆業を完遂するためにも、義手のメンテナンスに余念がないヴァイオレット。(この義手の精巧な描写が、いつも美しいなと思うのです)
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
そんな中、アンが夜中にヴァイオレットを尋ねる。誰に手紙を書いているのか、と。
アン)誰に書いてるの?
ヴァイオレット)それは申し上げられません
アン)どうしてよ?
ヴァイオレット)守秘義務があるのです
アン)お父様じゃないわよね
アン)大きな戦争があったでしょ?
アン)そこで立派な戦士を遂げられたの
(鏡に映るヴァイオレットの姿 表情は映さず)
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
手紙を代筆することで様々な人々の気持ちに触れてきたヴァイオレットが、直前のエピソード8、9話では、数多の人々を手にかけてきた自身の戦争の傷に直面し、打ちひしがれつつも、それを受け入れ生きていこうと決意する姿が描かれる。ここでも、戦争という言葉に反応する彼女のワンカットがあることに意味がある。本作は特に、感情を元々持たない少女が徐々に人間らしい感情を獲得していく過程が描かれる訳だが、こうした1つ1つの挙動に(例えそこに言葉がなくとも)彼女の感情の変化を丁寧に描こうとする制作陣の姿勢をひしひしと感じる。(現在公開中の劇場版では、同様に、余命長くない少年ユリスの家族や友人への切なる願いを耳にするヴァイオレットの、拳を握りしめるカットなどがされ気なく挿入されている。そうした所にシリーズから作品を追っている人間は、彼女の感情がどんどん豊かになって行く変化・機微に、心を動かされてしまうのである)
その後、徐々に交流が増すヴァイオレットとアン。
ヴァイオレット)”そしてその泥棒は—“”わあ!と叫んで—“”ビックリして逃げていったのです”
アン)あなたなかなか本を読むの上手じゃない
アン)ヴァイオレット ヴァイオレット
アン)お母さんが来るまでなぞなぞして
アン)一緒に踊っておままごとして
アン)虫を捕まえて…
ヴァイオレット)お嬢様 優先順位を教えてください
アン)ヴァイオレット ご本読んで
アン)ヴァイオレット
アン)ヴァイオレット…
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
(常に生真面目なヴァイオレット 笑)
その後、代筆中に部屋を覗いたのがバレてしまい慌てて本心を取り繕うアン。
(クラークとヴァイオレットが手紙を執筆している。アンが覗き込むのに気づくクラーク)
アン)あっち…違うの
アン)ヴァ…ヴァイオレットにリボンをつけてもらおうと思ったの
クラーク)わかったわ でも後でね
ヴァイオレット)奥様、少しだけ休憩をいただいてもよろしいでしょうか
クラーク)え
ヴァイオレット)お嬢様は 今がよろしいのでしょう
(アンにリボンを結んであげるヴァイオレット)
ヴァイオレット)できましたよ お嬢様
アン)本当はヴァイオレットにリボンをつけて欲しいんじゃないの
ヴァイオレット)はい
アン)本当はお母さんにしてほしいの
ヴァイオレット)はい
アン)一緒に ご本 読むのも なぞなぞもおままごとも
アン)虫はお母さん苦手だけど..
アン)お母さんと私の時間を取らないで ヴァイオレット!
ヴァイオレット)あと数日です
アン)じゃあ手紙を書いているとき私もそばにいていいって言って
アン)近くにいたいの
アン)そばにいて手をギュって握るだけよ
アン)お願い
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
お母さんへの思いをヴァイオレットにぶつけるアン。アン役の声優は諸星すみれさん(最近では「約ネバ」のエマ役など。劇場版ではこのアンの孫に当たるデイジー役も演じている)。このあたりから表現される、アンの感情が高まる部分の熱演が、本当に素晴らしく、切ない感情を増幅させるのです...
しかし、受け入れられないと退けるヴァイオレット。
ヴァイオレット)申し訳ありません 承りかねます
アン)どうして
ヴァイオレット)すみませんお嬢様 そろそろ戻らなくてはなりません
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
手紙の執筆を続けるヴァイオレットとクラーク。そして...
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
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アン)もうやめて! お母さん
執事エリス)お嬢様
アン)もうやめて!
クラーク)アン
クラーク)大丈夫だから 向こうへ行っててちょうだい
アン)(涙)どうして?どうして手紙を書くの?
アン)お父さんはもういないのに
クラーク)大事な手紙なの
アン)私が知らない誰かの手紙なんでしょ?
アン)お見舞いも来ない誰かよ
アン)お母さんのことを本当に心配している人なんていないのに
アン)うっ…
アン)私より大事な手紙なの?
クラーク)(アンの頭を撫でる)アンより大事なものなんてないわ
アン)お母さんはウソばっかり
クラーク)ウソじゃないわ
アン)だってお母さんちっとも よくならないじゃない
アン)すぐに元気になるって言ったくせに
アン)私知ってる!
アン)お母さんは…
アン)お母さんがいなくなったら私1人よ!
(挿入 クラーク、エリスの涙)
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
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ううう。。。
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T T 。。。この一連のアンの畳み掛ける感情の吐露が涙腺崩壊の第一フェイズ。(特にこの上の2カット「手紙なんて書かないで今私と一緒にいて。私といてよ お母さん!」でもはや涙腺決壊....T T)
ヴァイオレット)(アンを引き留める)お嬢様
アン)お母さん!
アン)うっ…(外へ走り去る)
やり場のない感情に外へ飛び出すアン。(もう切なすぎておじさん苦しい...)そこへヴァイオレットが後を追う。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
(外に走り去り、転び、涙するアン)
アン)お母さん
ヴァイオレット)お嬢様 お嬢様の時間を私が消費していることには意味があります。どうか お母様に対してお怒りにならないでください。
アン)だって だって…
ヴァイオレット)お嬢様がお辛いのは当たり前です その小さな体でお母様のご病気を受け止めていらっしゃる あなたはとても立派です
アン)立派じゃない!
アン)立派じゃない 私…お母さんを泣かせちゃった
ヴァイオレット)いいえ お嬢様はお優しい方です
アン)違う
ヴァイオレット)いいえ
アン)違う!違う! 私が嫌な子だからお母さんが病気になって
ヴァイオレット)関係ありません
アン)違う!違う!違う!
ヴァイオレット)誰にも どうにもならないことなのです
アン)違う!
ヴァイオレット)私の腕が あなたの腕のように —
ヴァイオレット)柔らかい肌にはならないのと同じくらい
ヴァイオレット)どうしようもないことなのです
アン)お母さん! お母さん!
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
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ここの一連の下りの哀愁漂う音楽が、切ない感情をより一層掻き立てて素晴らしいのです。。そしてそれに相まってここの、「お母さん x 2」のアンの言葉、前述の諸星さんの感情の込め方(一言目がかすれ、二言目が涙にかかる感じ)が本当に素晴らしいのです...もう涙が止まりません..
(ヴァイオレット アンをそっと抱き寄せる)
アン)どうして 手紙を書くの?
ヴァイオレット)人には届けたい思いがあるのです
アン)そんなのー
アン)届かなくていい
ヴァイオレット)届かなくていい手紙なんて ないのですよ
ヴァイオレット)お嬢様
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ここでのヴァイオレットの言葉は、前エピソードの第九話、戦争の傷跡から立ち直るきっかけを与えてくれた配達員のローランドさんの言葉「どれ一つ取ったって、誰かの大切な思いだからな。届かなくていい手紙なんてないんだ。」を受けている。
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この言葉が彼女の心に残り、そして彼女自身の言葉として、こうしてアンへと伝えられていることに、更に、グッとくるのです...T T
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(優しくアンを抱き寄せるヴァイオレット。このシーン本当に美しくないですか..?)
別れの日。手紙の全貌が明かされる手前での宛先のフラグ=「一体誰への手紙だったのだろう?」
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アン)私 あの人が書いた手紙 読んでみたかったな
アン)一体 誰への手紙だったんだろう?
そしてー。
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クラーク)
アン 8歳の誕生日おめでとう
悲しいことがたくさんあるかもしれない
頑張ることが多くて挫けているかも でも負けないで
寂しくて泣いてしまうことがあるかもしれないけど
お母さんはいつもアンのことを愛しているわ
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クラーク)
アン 10歳の誕生日おめでとう
背も伸びてずいぶん大きくなったんでしょうね
でもまだ本を読むのと踊ることは好きでしょう
なぞなぞと虫取りは卒業したかしら
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クラーク)
18歳の誕生日おめでとう
もう立派なレディーね
好きな人はできたかしら
恋の相談には乗れないけどあなたが選ぶ人なら
きっと素敵な人よ
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クラーク)
誕生日おめでとうアン
20年も生きたのね すごいわ
大人になっても たまには弱音を吐いてもいいのよ
あなたが不安になっても私がいるわ
アン ずっとずっと 見守ってるわ
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クラークの死後、アンの元に毎年の誕生日に届けられる母からの手紙。この一連の流れでもはや氾濫し出した涙腺の防波堤は完全決壊。。。特にこの最後のアンと愛する人とのカットで流れる主題歌茅原さんが歌う「みちしるべ」の「一人じゃ〜〜〜な〜〜い〜〜〜〜」のシンクロにより更に感情が刺激され、涙がボロボロとこぼれ落ちていきます...
そしてここまでがクライマックスかと思いきや、更に物語は、代筆を終え帰社したヴァイオレットと同僚達を映し出します...(エピソードは残り1分40秒。)
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クラークの死後50年にも渡りアンの元へ届けられる手紙。膨大な代筆でも問題はなかったと回想するヴァイオレット。しかし..
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(↑この1カットでもう嗚咽が止まらいほどに涙。声優・石川由依さんの、ヴァイオレットの感情表現、声の震えも含めた繊細な演技が本当に、本当に素晴らしいのです...涙)
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ほんとうに、この郵便社での最後の下り、何度見ても涙が止まりません。。。。
■第十話の物語構造
さてここまでこのエピソードの一連の流れを細かく追ってきたが、改めてこのエピソードの構造を俯瞰し、なぜこのエピソードがここまで見る者の心を突き動かすのか、を考えてみたい。
まずもって手紙の秘密が明かされ、成長する度にアンへと手紙が届けられるシーンまでで最早手放しで素晴らしいエピソードだと感じる。そこには徐々に蓄積し爆発するアンの憤りが強烈になる程に、彼女自身にもたらされる母からの手紙に託された愛情が(何故に手紙の宛名を頑なに伏せていたかが愛情の裏返しであることも含め)より深く感じられる構造になっているからではないだろうか。なんとなく、こうした登場人物の感情が激しさを増すほどに、結果的にはその蓄積がまるで「てこの原理」の様に、帰結する感情・感動(母の自分への愛情への気付き)を結果増幅させている様なイメージがある。感情のてこ (Emotion Lever)構造とでも呼んでみることができるかもしれない。
イメージに落とすとこんな感じだろうか。(てこ感が出せていないのが残念だが..言いたいことはなんとなく伝わるだろうか..)
使用画像: ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
そしてそれに加えて、最後の郵便社でのヴァイオレットの描写が、このエピソードを神回たらしめたシーンだと思うのだ。
どういうことか。本エピソードは構造的にはシンプルな起承転結の流れと一話完結の体裁をとりつつも、本シリーズのストーリーの背骨である「ヴァイオレットの感情の変化」をしっかりと絡ませて描いており、その絡ませ方が絶妙なのだと思うのだ。(その他のエピソードもこの二重構造があるわけだが、ヴァイオレットの感情の変化がより顕著なのでわかりやすいというのはあると思う)
自分はこの最後の下りの手前で大きくは三度感動の波にさらわれている。第一波が、手紙を書くときにせめて母の側にいさせて、とアンがヴァイオレットに迫るシーン、そして第二波がアンが涙を流して猛烈にクラークに訴えるシーン、第三波が手紙の宛名が明かされ誕生日ごとに手紙が届けられるシーンだ。そして正直、これ以上の波は来ないと思っていた。(完全に油断していたと言うべきか)それほどにここまでの流れで十分すぎるくらいに見る者は感極まる作りになっていると思うのだ。そこにまさか、これまでの波よりも更に大きな波が来ようとは...
ちなみに第七話で、ヴァイオレットは劇作家オスカー・ウェブスターと彼の娘とのエピソードを聞いたとき、彼女は「大切な人と別れるということは、二度と会えないということは、こんなにも寂しく、こんなにも辛いことなのですね..」と、初めて少佐以外の誰かのことで涙を流す。(ただこの時は涙が頬を伝う程度である)
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
しかし、今回はその時とは比べ物にならないほどの、大粒の涙が瞳から溢れ、彼女の両頬をつたい、ボロボロとこぼれ落ちて行くのだ。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
涙が頬を伝うヴァイオレットの横顔が徐々に映し出され、アイリス、エリカ、カトレアの驚きの反応を交え、このカットに行き着く展開も巧みだが、想像だにしなかった彼女の涙に、少しずつ人としての感情を獲得し変化して行く彼女の姿に対する嬉しさと驚きが相まって、このシーンが自分自身最も感極まったものとなった。この本筋の主題の絡ませ方が、やはり何度見ても素晴らしいと感じるのだ。(本筋の主題を絡ませ、止めの一撃が加わることで、更に感動が倍増させられているのが以下)
使用画像:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会、引用元:Netflix
上記が、この作品が感動を引き起こす構造・展開の様に自分には感じられた。(30分にも満たないこのエピソードの中で、畳み掛ける感動を生み出すこの回は、本当にすごいと改めて思う)
さて想像以上に長くなってしまった。。だがしかし、この作品を通じて得られた感情、感動を、やはりどうしても記憶に残していておきたいと感じたのでここまでしたためた次第だ。
■最後に
未だ癒えることのない、京都アニメーションを襲った昨年の惨劇、そして今年、未曾有の自体となったコロナウイルスの蔓延、それに起因する、数多の悲劇。殺伐とした空気が漂う時代の中でも、作品への想いを繋ぎ、完成され、遂に公開された「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。本作ではここまで語ってきたこのエピソード第十話が持つ意味も非常に大きなものとなっている。是非とも興味をもたれた方は、(できることならシーズンエピソードを見てから!)劇場に足を運んでいただきたい。
最後に、劇場版パンフレットに載せられている原作者暁氏からのメッセージを載せておきたい。(このメッセージを読むだけでもう涙が出てきそうになるのだ..)「想いを伝える」ことの大切さを、改めて教えてくれるこの素晴らしい作品を生み出してくれた原作者の暁氏、そして京都アニメーションと全ての関係者の方々に、敬意と、感謝を。
End.