多様な「製薬」ビジネス
1.白鳥製薬(株)(千葉市美浜区)
2020/07/17(金)には、医薬品原薬や化学品、健康食品などの製造を手がける白鳥製薬(株)(千葉市美浜区)を紹介しました。
これまでの主力事業であった大手製薬会社からの受託生産事業、ジェネリック医薬品向けの原薬開発と合わせ、創薬分野を第3の収益の柱としたい考えで、3月末、千葉県習志野市に新たな実験棟「R&Dセンター」が完成させました。3年半をかけ、研究開発拠点を整備してきましたが、今回竣工したのは医薬品の原料である原薬となる化合物の分析を担う「分析研究棟」で、2018年8月に隣接地に新設した「合成研究棟」と一体化し、効率的な開発を目指します。
新実験棟では研究員の安全や周辺環境にも配慮し、室内の空気を自動的に入れ替える空調設備を全研究室に導入。柱にはホワイトボードを取り付けて実験結果を書き込めるようにするなど、研究しやすい環境が整えられているそうです。
2.多数で多様な製薬ビジネス
「製薬会社」と言えば、大規模な研究開発設備を保有する大企業のイメージが強そうですが、厚生労働省「平成30年度医薬品・医療機器産業実態調査」によれば、医薬品の製造販売を行う企業の数は318社。そのうち半数以上は従業員数300人以下の中小企業です。「医薬品」と一言で言っても、医療用、一般用、医家向け臨床検査用の試薬(体外診断薬)医薬品原薬など、その種類も多様です。個別企業はそれぞれに他社との棲み分けをはかりながら、社会に貢献しています。
これまでご紹介した【すごい会社】のなかですと、貼り薬メーカー。消炎鎮痛剤など湿布薬の中で、薬効成分が入った膏体を不織布に塗り広げた湿布薬(ハップ剤)で世界シェア約4割を握る帝國製薬(株)(2014/08/07)、風邪薬「改源」で知られる一方で造影剤に使うバリウムなど医療用医薬品が売上高の7割を占めるカイゲンファーマ(株)(2015/10/21)、木曽地域に伝わる生薬原料の胃腸薬「百草(ひゃくそう)」などを製造・販売している地域に根差した長寿企業の日野製薬(株)(2019/04/17)などが、興味深い会社として挙げられます。
医薬品はその用途がきわめて多様なので、特定の分野で国内トップシェア、世界トップシェア企業として活躍する企業はたくさんあります。もう少し広く、医薬品製造関連ビジネスとしてとらえると、冒頭に紹介した白鳥薬品(株)のような医薬品の原薬製造企業や、カプセルやチューブなどの医薬品包装ビジネスを手掛ける興味深い会社もあります。こうした製薬に関わる【すごい会社】の幅広い取り組みに、今後も期待しつつ注目していきたいと思います。
3.今週の【すごい会社】
この会社を含め、今週は以下の【すごい会社】をご紹介しました。
★No.2066☆(株)トム・メディック(青森県青森市)。新型コロナなどの院内感染防止に自律走行型紫外線殺菌ロボットの販売を開始。紫外線を照射しながら動くことで、短時間で病室や手術室など院内を殺菌できる。
★No.2067☆(株)ワクイ(新潟県燕市)。利便性とデザイン性を両立させた新しいステンレス製の宅配ボックスを開発した。精密な板金技術を生かし、使わない時には4分の1の厚さに折り畳むことができる。
★No.2068☆信州ハム(株)(長野県上田市)。規格外品や賞味期限が近づいた商品の詰め合わせセットのインターネット販売を7月から増やす。工場だけでなく物流施設の在庫なども対象にすることで廃棄量を減らす。
★No.2069☆鳥居食品(株)(浜松市中区)。「トリイソース」のブランドで有名。木おけによる熟成や自家製の醸造酢を使うなど昔ながらのものづくりにより、まろやかな味に仕上がる「ウスターソース」が売り。
★No.2070☆白鳥製薬(株)(千葉市美浜区)。3年半をかけ、研究開発拠点を拡張した。大手製薬会社からの受託生産事業、ジェネリック医薬品向けの原薬開発と合わせ、創薬分野を第3の収益の柱としたい考え。
次回もまた、【すごい会社】の数々をお伝えしていきます。どうぞお楽しみに。
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