プログラミング教育と問題解決思考
日本でも義務教育で必修化がはじまったプログラミング教育。生徒たちの学びにどのような影響があるのでしょうか?コンピューターサイエンスを専攻している生徒とそうでない生徒の問題解決タスクのスコアを比較した論文をご紹介します。
調査デザイン
インタラクティブな科学シミュレーションに組み込まれた15分間の問題解決タスクのスコアを3つのグループ(コンピューターサイエンス専攻、コンピューターサイエンス以外の数学に関係する専攻、その他の専攻)及び学年(1年生、2年生以上)ごとに比較した。
結論
Salehi (2020)らは、インタラクティブな科学シミュレーションに組み込まれた15分間の問題解決タスクを使い下記2つを発見した。
・コンピュータサイエンス専攻の学生の問題解決能力は他の専攻の学生よりも高い
・コンピュータサイエンス専攻の学生のみ、学年が上がるにつれて問題解決能力が向上した
→プログラミング的思考を鍛えることで一般的な問題解決能力が向上する可能性がある
エビデンスレベル:観察
留意点・限界
ランダム化実験ではないのでプログラミング教育が問題解決能力向上の直接的な原因であると一般化することはできません。
編集後記
日本の教育指導要領に書かれたプログラミング教育導入の目的の一つは「プログラミング的思考の向上」です。社会問題や誰かの困り事をソフトウェアを使って解決する鍛錬をすることで日常的な問題解決能力も向上するのかもしれませんね。
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文責 識名由佳
出典
Salehi, S., Wang, K. D., Toorawa, R., & Wieman, C. (2020). Can Majoring in Computer Science Improve General Problem-solving Skills? Proceedings of the 51st ACM Technical Symposium on Computer Science Education, 156–161. https://doi.org/10.1145/3328778.3366808
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