国際比較 成長思考(グロースマインドセット)②
勉強をすれば賢くなる vs 頭の良さは生まれつきのもので変えることができない
前者の考え方を成長思考(グロースマインドセット)と呼びます。成長思考と成績についての記事を以前ご紹介しましたが、今回は性別、経済的地位、移民バックグラウンドなど生徒の属性別にさらに詳しい分析です。
結論
・成長思考(グロースマインドセット)を持つ生徒はそうでない生徒に比べて、国語3.1、科学2.7、数学2.3、偏差値が高い(注1)
・1カ国を除くすべての国で、成長思考(グロースマインドセット)を持つ生徒は、そうでない生徒に比べて、失敗を恐れる度合いが有意に低い
・ほぼ半数の国で、成長思考(グロースマインドセット)を持つ生徒は、そうでない生徒に比べて、自分の人生に有意に満足していると感じている
・成長思考(グロースマインドセット)は特に、女子、経済的に不利な学生、移民の学生のスコア上昇と相関がある
注1
PISA スコアで国語31点、科学27点、数学23点
PISA スコアとは、OECD加盟国の生徒の平均得点が500点、約3分の2の生徒が400点から600点の間に入るように換算された数値(OECD加盟国の平均が500点、標準偏差が100点。)
注2
最後のグラフの一部が結論と矛盾するためOECD問い合わせ中です
分析手法
成長思考と国語のテストの国際比較(2018年のデータ)
「頭の良さは変えることができない」に「反対」「強く反対」と答えた生徒を成長思考が高いと定義
留意点
あくまで相関関係を示すものであり、因果関係を示すデータではありません。
編集後記
経済的に不利な状況にある生徒ほど、成長思考(グロースマインドセット)と成績の正の相関が大きい。つまり経済困窮家庭を対象とした学習支援等で、生徒が「頭の良さは固定されたものではなく勉強することで変えることができる」と思えるようなアクティビティをすることは効果があるかもしれません。
文責
識名由佳