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銭湯で学ぶプロダクトマネジメント〜僕たちには「ととのう」が必要だ〜

この記事は Money Forward 関西拠点 Advent Calendar 2021 - Adventar の 22 日目の記事です。 株式会社マネーフォワードの関西拠点 に所属するメンバーのテーマ自由なアドベントカレンダーです。

こんにちは!2日に1回は銭湯に行き、行ってない日は行きたいなって思ってるプロダクトマネージャーの杉浦です。
もともと温泉大好き人間だったんですが、ふとしたきっかけにサウナの梅湯に行き、銭湯の良さを知ってしまいました。(さすが初心者に優しい銭湯)

グッズの持ち込みタオルの厚さが絶妙と妻が大絶賛してました。

銭湯の良さは色んな人が色んなことを言っておりますが、「ととのう」はよくできた言葉で、これ使ってプロダクトマネジメントの説明できるんじゃね?と湯上がりにぼけーっと思ったのがこのnoteのきっかけです。

💡 閃いた瞬間

そう、「ととのう」って、銭湯のアウトカムを端的に表してるなと思ったんです。
アウトカムは、プロダクトマネジメントの理解の入り口と言っても過言ではないくらい重要キーワード。
銭湯は、ストレスの多いプロダクトマネージャーに必須の趣味

うん、じゃあ書くしかねぇなというわけです。

アウトカムって何でしたっけ?

アウトカムって言葉、正直わかりにくいと思ってます。成果と訳される事もありますが、ますますわからないんですよね。

いくつかの書籍から定義を持ってきます。
ビルドトラップ本として有名なメリッサ・ペリの『プロダクトマネジメント』では、

アウトカムとは、私たちが機能を届けて顧客の問題を解決したという結果のことです。

メリッサ・ペリ, 吉羽 龍太郎(訳)(2020)『プロダクトマネジメント』p14

こう言っており、
リーンUXの著者でもあるジョシュ・セイデンの書いた『OUTCOMES OVER OUTPUT』では、

アウトカムとは、ビジネスの成果をもたらす人間の行動の変化のこと(筆者訳)

Seiden, Josh . Outcomes Over Output: Why customer behavior is the key metric for business success (p.12). Sense & Respond Press. Kindle 版.

こんな風に書いています。

私たちのサービスやプロダクトが、ユーザーの状態・行動が変化した結果を表したいようですね。※1

じゃあここで一回銭湯に行ってきてください。

入り方はヨッピーさんの記事をご参照ください。銭湯神なので。

【玉の湯】清潔感あって居心地が良いんです。

ここから湯上がり

行きましたか?はい、そういうことです。※2

「銭湯」で「風呂・サウナ・水風呂」に入った結果、私たちは「ととのう」を得ました。(ととのい椅子は!?外気浴は!?と思うかもしれませんが、ほとんどの銭湯にそんな贅沢なものはないです)

少し言葉を直すと、「銭湯」がコストを投じ、ソリューションとして「風呂・サウナ・水風呂」をつくり、アウトカム「ととのう」を生んだというわけです。
先ほどの定義に戻ると、ユーザーの状態・行動の変化がキーでしたが、まさに変化した状態が「ととのったー」ですね。※3

「ととのう」からはじめよ

サウナから水風呂が遠いと聞いたりしますよね。あれってソリューションから入ってるんじゃないかと思うんです。

これは辛い…
タナカ カツキ サ道〜マンガで読むサウナ道〜(1)

そうなると、要素としては他のサービスと同じソリューションを提供しているのにアウトカムに繋がっておらずユーザーは満足せず離れていく…なんてことも起こりえます。
この構図は、アウトカムとつながりがなく開発すると、おかしなソリューションを提供していても気付かないのと同じで、プロダクトマネージャーなら、なんとかして避けたいと思うんじゃないでしょうか。

私は整理するときに、オポチュニティソリューションツリーをよく参考にしています。

ソリューションに固執しないよう自然と導く良いフレームワーク
Torres, Teresa. Continuous Discovery Habits: Discover Products that Create Customer Value and Business Value (p.30). Product Talk LLC. Kindle 版.

アウトカムを頂点に、オポチュニティ、ソリューション、アサンプションテストを置くことで、どうやって到達するかを可視化してくれます。
オポチュニティという単語は新出ですが、これはニーズ、ペイン、欲求の総称です。※4
問題・課題だけにフォーカスしないのは、問題解決しないサービス(例えば遊園地)の理解がしにくいからですね。

銭湯に入るときも、「ととのう」を目指すアウトカムとおいて、ソリューションやそこに至る機会をどう捉えているか見ていくと、その銭湯の狙いがよく見えるかもしれません。(風呂でそんなことしたくないですが)

私たちのプロダクトにとっての「ととのう」とは?

プロダクトや機能のアウトカムを定義するとき、↑のような「俺たちのととのうとは?」という問いを投げかけてみてはどうでしょうか?
メンバーが銭湯好きかサウナ好きならきっと上手くいきます。
好きじゃなければ好きにさせましょう。そうすればこの問いが使えます。

「ととのう」ほどよくできた言葉でなくても、何か思いつくきっかけになるかもしれません。

先ほど上げた『Continuous Discovery Habits』の著者は、チームにはアウトカム志向のマインドセットが必要だと説いています。その中で、

出荷したコード(アウトプット)で成功を定義するのではなく、コードがお客様やビジネスにもたらす価値(アウトカム)で成功を定義する

Torres, Teresa. Continuous Discovery Habits: Discover Products that Create Customer Value and Business Value (p.20). Product Talk LLC. Kindle 版.

このように書いてます。

つまりアウトカムは、「どうしたらプロダクトが成功したと言えるのか?」そのカギを握っているとも言えます。
「ととのう」が銭湯のアウトカムだとすると、脱衣所で風呂上がりにぼーっとしているおじさん達の数を考えれば、大成功していると言えそうです。※5

自分達のプロダクトでも、アウトカムを定義することで、筋の善し悪しに気づき、道しるべになってくれるでしょう。

京都は銭湯天国、一度はおいで

【東山湯】遅い時間だとサウナでビートルズが流れる。最高。

「ととのう」と散々言いましたが、銭湯の魅力はそれだけじゃありません。
むしろ、そこだけに集中していくと、色んな魅力を見逃すんじゃないかと思います。
店ごとの内装、風呂場の違いはもちろん、来ているお客さん、湯の沸かし方、番台さん、全部違うんですから。
地域の面白い話も聞けますし、季節を感じるイベントが開かれたり、もはや「ととのう」全く関係ないですね。

そんな私はAKTのために行ってます。
そう、圧倒的A気分K転換Tですね。※6
AKTすると、あったかいし、今日も色々あったけどまあいっか!ってなって、ぐっすり眠れます。

銭湯の楽しみ方は人それぞれ、プロダクトの使い方も人それぞれ。
ユーザーが想像を超えてくるのも開発と同じ
ですね。

こんなnoteを最後まで読んでくれた人は向いていると思います!!

※1
最初の引用はユーザーのこと言っていて、後の引用はビジネスのこと言ってるけど?という疑問も浮かぶと思います。私も思いました。

ありがたいことに既に議論になっていました。

結論的には、視点の違いでアウトカムは複数ある事を理解し、アウトカム→価値につながるように上手くやれよということでした

記事内では、アウトカムとは「価値を生み出す人間の行動の変化」と新たに定義されています。包括的になった感じですね。

個人的には、お客さんが喜ぶ話は、面白くてチームがやる気になるので、ユーザーアウトカムを考えることは必須だし、しっかり売上もつくって、チームを不幸にしないという意味ではビジネスアウトカムを考え抜く事も必要と思いました。

※2
この記事は全て湯上がりで書いています。
…ですが、自宅風呂の湯上がりも含まれてることをお詫び申し上げます。
朝風呂ない日だったんです…

※3
いや、ととのわんかったけど、って人いると思います。
これもすごく大事だと思っていて、ソリューションが常にアウトカムを生むわけではないということです。
事故を防ぐために赤信号(ソリューション)を作ったからといって、全ての人が立ち止まる(アウトカム)わけではないのと同じだと思います。
ここまで読んで、銭湯で説明する必要なかったのでは?とか思わないように。

※4
Torres, Teresa. Continuous Discovery Habits: Discover Products that Create Customer Value and Business Value (p.27). Product Talk LLC. Kindle 版

※5
成功を計測可能にしておくということは、本当に大事ですよね。
アウトカムを計測する仕組みを作り、継続的にプロダクトを改善していく、今まさにここを整備しており、書いておきながら、でも大変なんだよ〜という気持ちです。

※6
だからととのい椅子とか無くても満足するんだと思います。


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