「フロイト的失語」"Freudian slips"
TBSが、「ラヴィット!」という番組で、なんの前後の脈絡もなく 突如 北朝鮮の軍隊パレードの映像を流してしまう、ということをやらかしたそうだ。
「錯誤行為」「フロイト的失語」"Freudian slips" と呼ばれている現象がある。
オーストリアの精神科医である ジークムント・フロイト (Sigmund Freud) が唱えた精神分析理論に基づいたもので、ちょっとした言い間違いに、その人の本音が現れることを示すものである。
この TBS の例も それと同じことで、「ちょっとした間違い」にその本性が現れてしまった例であろう。
但し、「フロイト的失語」は、実は、フロイト自身によって明確に定義された概念ではない。そのため、様々な解釈が存在する:
ユング的失語: スイスの精神科医・心理学者 カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung) は、フロイト的失語を「複合体」(complex) の表れであると考えた。複合体とは、無意識の中に存在する 感情や記憶などが集積されたもののこと。言い間違いは、意識的に抑圧されていた複合体が、無意識から意識へと漏れ出てきてしまった結果であると考えられる、とした。よって、この失言に本音が現れる現象を 彼の複合体理論に基づいて「ユング的失語」とも呼ぶ。
ラカニア的失語: フランスの哲学者・精神科医・精神分析家 ジャック=マリー=エミール・ラカン(Jacques-Marie-Émile Lacan)は、無意識は言葉によって構成されると考え、その為、言い間違いも また 無意識の構造を解き明かす鍵であると考えられる、とした。その言語理論に基づいて、この失言に本音が現れる現象を「ラカニア的失語」とも言う。
スキナー的失語: アメリカ合衆国の心理学者・行動分析学の創始者 バラス・フレデリック・スキナー(Burrhus Frederic Skinner)は、言語もまた行動の一つであると考え、言い間違いも また 過去の経験や強化によって引き起こされる行動であると考えられる、とした。彼が唱えた行動主義理論に基づて、この失言に本音が現れる現象を「スキナー的失語」とも言う。
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