反ワクチンデマ と プロスペクト理論
今、HPV ワクチン が足りない、という問題があるという。
医療関係者や厚生労働省などの多くの人たちの努力の結果、最近やっと《 HPV ワクチン は 危ない 》などというデマを信じる人が減って、HPV ワクチンの重要性・同ワクチン接種の必要性を理解した人が増えてきているということだろ。
それは良いことだ。
で、ところで、この《 HPV ワクチン は 危ない 》というデマを信じる人が多かったことについて、厚生労働省や医療関係者の怠慢などというおかしな言いがかりを言うひとがいるようだ。
厚生労働省も 多くの医療関係者も、HPV ワクチンの重要性をしっかり説明してきた。
しかし、その一方で、イカサマ健康食品を売りつけたい人とか、「食品添加物は危ない」「人工着色料は危ない」等と 次々と人々の不安を煽る話を創作して本を売りつけるとか自分の売名にする商売の人などが、《 HPV ワクチン は 危ない 》などというデマを流し続けてきた。
また、このデマに便乗すると「意識高い系」になれると思ったイカサマ売文業者虚業人なども続出した。
プロスペクト理論(prospect theory)というものがある。
不確実性下における意思決定をモデル化して考える、考え方の一つで、抽象的になるが、きっちり説明すると
《 選択の結果得られる利益 もしくは 被る損害 および それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデル 》
となるが、正確さを求めず、もっと判り易く言うと、
「人は 損失・危険を回避する傾向がある」
という話である。或いは、こういう説明もある:
「『××は良い』という話と 『××は危ない』という話では、
人は、後者の方に惹かれてしまい、
どちらも不確かな話なら、
後者の方を信じてしまう傾向がある。」
だから、HPV ワクチンの重要性・同ワクチン接種の必要性 と、《 HPV ワクチン は 危ない 》という話の両方を聞くと、後者の方にインパクトがあり、そちらに惹かれてしまい、信じてしまう、そういう判断ミスを犯してしまった人が沢山出てしまった、という話である。
そして、マスゴミも、HPV ワクチンの重要性・同ワクチン接種の必要性 を説く記事よりも、《 HPV ワクチン は危ない 》というフェイクニュースの方が注目を集めることができるので、後者を採用してきた。
《 HPV ワクチン は 危ない 》というデマを信じる人が多かったのは、厚生労働省や医療関係者の怠慢などではない。