ひと声かける
特別定額給付金の申請書類がきてたので、
書類にカキカキして、同封されてたオレンジの封筒に入れて、駅前の郵便ポストに出しに行きました。
そしたら郵便ポストの前で立ち往生してるおじさん発見。
手にはオレンジの封筒。
「あ、俺と同じ特別給付金の申請だ…」となぜだか一抹の恥ずかしさを感じる僕。
おじさんはどうやら、定型郵便と定形外郵便の二択で迷っているようでした。
「おじさん、それは定型郵便の方ですよ。」
なんて一言声をかけられたら良かったのですが、こういうふとした瞬間に謎の人見知りを発揮してしまうのが僕の面倒臭い性格なのです。
そんな当たり前の一言をかけられず、不本意ながらもおじさんの後ろに並んでしまう僕。
「しまった、後ろに並んでしまった」と後悔して焦る僕。
後ろに並ばれたおじさんも、「わ、後ろに並んでる…!早くしなきゃ!」って内心焦ってしまったでしょう。
おじさん、ごめんね。
おじさんを焦らせてしまってる思いと、声をかけてあげられない自分に自己嫌悪に陥ってる時、横からスーツを着たスマートなお兄さんが。
手にはオレンジの封筒。
まさかの同じ場所に3人が同じ封筒を持ってる。
期せずして3人が同じ目的で集まってしまったこの状況に、おそらく僕は苦笑いを隠せなかったことでしょう。
「これからコントが始まりそうだな…」
なんて思いを馳せていると、スマートお兄さんは、割り込み間を一切出さずに、あたふたしてるおじさんの横からスッとオレンジの封筒をポストの投函したのでした。
「ここに投函するんですよ。」
僕とおじさんに対する無言のメッセージ。
それにつられて何事もなかったようにポストに投函するおじさんと僕。
ミッションクリア。
事細かに書いたが、わずか10秒ほどの出来事でした。
ポストに投函するというミッションはクリアしたのだけど、釈然としないこの気持ち。
困ってるおじさんに立った一言の声をかけられなかった情けないこの気持ち。
そしてそんな俺と困ってるおじさんに「無言」のメッセージを投げかけたスマートお兄さんに、ありがとうという思いもありながら、「無言」であることへの違和感。
「ひと声かける」
そんな大したことない当たり前のことが、たった10秒間に3人の中で行われなかったことに、反省とやりきれなさを覚えたのでした。