海外製品や国産でもあまり流通していない商品をご購入する時に、将来的にこうなるかもという覚悟だけはしておいてください。
毎度、岡崎市上和田町で家具のリメイク・オーダーメイド家具の製作をする家具職人の杉田です。
↓あたらしいツマミはこちらから。
先日、お客様から修理を依頼された
引き出しの金物の事でお伝えしておいた方が
良いと思う事がありましたので
今回、書かせて頂きます。
修理を依頼された引き出しが入っていた
洗面化粧台の本体が
お客様ご自宅の脱衣場に設置されているのですが
こちらの洗面化粧台、海外製のオーダーメイド家具でありまして
お客様がご自宅のリフォーム工事をする時に、
特注で製作、取付施工されたものだという事が
引き出しを修理して納品に伺ったときにわかりました。
わかりましたと言うのは正確ではありませんで
家具屋 杉田が引き出しを修理している最中に
「もしかして、海外製?」と
思う事がありましたので、杉田の予想が当たったというのが
正しい認識かと思います。
どういうことかと申しますと、
引き出しの前板の中央に取り付けてある「ツマミ」と
呼ばれる装飾金物があるのですが
引き出しの箱部分と前板を一旦分離して引き出しの箱部分を
再製作後、前板と再製作した引き出し箱部分とをドッキングして
引き出しの修理完成。としたかったのですが
このツマミがなっかなか前板から外れませんで
試行錯誤すること、2時間。ようやく外れました。
外れたのはほんとに良かったんですけど
何年使われているのでしょうか。ちょっとわかりませんが
止ビスが
少し錆びているのと、若干ビスが少し曲がっているのです。
せっかくですので、交換しようと思いました。
ところがです。杉田木工所の在庫ビズがひとつも
はまらない。というか、1、2回最初まわりながら入るのですが
3回目以降が入りません。
何本も試してみました。全部同じ症状でした。
家具屋 杉田の出した結論、
「規格が、インチだ。」
「あの洗面化粧台、外国製だ。」
直感いたしました。
納品した日に、お客様に
「この洗面化粧台、外国製ですか?」
杉田が聞きますと、お客様が「はい。」
「リフォーム工事した時に特別に作ってもらいました」
そうおっしゃられました。
「ツマミ」に付いていたビスがインチ規格と言うことが
判明いたしました。
杉田木工所には、残念ながら、インチ規格のビスの
在庫がございませんで、1本だけをどこかで買い求めるのも難しく
錆(さび)は少し取れましたが、曲がりは直りませんが
なんとか「ツマミ」とビスが取り付けられる状態でしたので
そのまま、取り付けしまして、
お客様には「ツマミ」の止ビスが少し錆びている事や
少し曲がっていてる事をお伝えして交換が出来ませんでしたと
お伝えをして、ご納得していただきました。
家具に限ったお話ではないと思いますが
外国の製品を長く使われていたり
国産品でも、流通量が極端に少ない製品は
経年変化や経年劣化後に現れます交換のタイミングが
来ましても、まず同じものの入手が難しいです。
製作した人でないとメーカーや「ツマミ」の品番や
商品コードがわかりません。
入手する手掛かりがありません。
かなりのロングセラー商品でない限り、
通常は、メーカーでの生産が終了している場合がほとんどです。
交換は無理です。ほぼ。
それでどうするか。
家具屋 杉田のお勧めするやり方は
全部の「ツマミ」現在入手出来る「ツマミ」と
全交換をお勧めしています。それも国産品です。
ひとつだけ原状回復が出来ない。見た目を揃えたいと
お客様がご希望された場合の対処方法です。
止ビスは、20年ぐらいご使用が経過していても
ビスの中のネジ山の規格が「㍉規格」なので
20年経過していてもビスの交換が可能です。
外国製より国産製の製品の方がまだ同じ製品に
交換出来る確率は高いです。
国産製品でも、メーカーが生産を終了し
PL法という製造物責任法の範囲にいれば
メーカーは同じ「ツマミ」を持ち続けています。
はっきりは知りませんが、生産終了後
5年間ぐらいとは聞いています。
法的な義務期間は知りませんが。
その期間を過ぎれば、メーカーは部品等の保管義務から
解放されるので、ほとんど廃棄されると聞いております。
もうそうなれば、同じ製品の入手は不可能になります。
外国製の製品や国産製品でもあまり流通していない
製品は、この範囲がもっと狭くなって
同じ製品の入手はかなり早い段階で入手不可能になります。
外国製の製品はデザインが日本人デザイナーとは
感性が違いますので、日本製品にはない
かっこ良いデザインが日本人からすると憧れの対象でもあり
人に誇れます。なので少々高価でもご購入されたい
お気持ちは分かるのですが、俗にいう「メンテナンス」が
かなり大変です。
ご購入してからの事を考えると、国産製品の方が
なにかと無難かと思います。
今回の「ツマミ」ぐらいでしたら、同等の国産製「ツマミ」と
交換は可能です。見た目を揃えたければ
全部交換すれば見た目も揃います。お金はかかりますけど。
どう決断されるかは、最終的にはお客様の決断です。
メンテナンスが大変な製品は10年後、20年後
家具で言いますと「ツマミ」をすべて交換する。
前板と「ツマミ」、すべてを交換する。
同じデザインや機能のまま、20年、30年の
ご使用は、かなりお客様がマメに製品に愛情を
注がれないと、「無理」です。という事。
今回の引き出しのトラブル交換からの教訓として
お伝えしておきます。