SLAMDUNKの負傷を紐解く。
大真面目に愛する漫画での受傷を考察するnote!!第一弾!!
<概要>
赤木剛憲選手(通称:ゴリ)
18歳 男子バスケ部 左足関節の負傷
身長:197cm
体重:90kg 非常に恵まれた体格である。
少年時代、バスケを始めたばかりの杉本少年は桜木や流川に憧れていたものの、小学6年生の頃には170cmを超す長身となり、ゴリのポジションを不動にするのはごく自然だったという。
いまはゴリのリーダーシップやリーダーならではの苦悩を見て共感せずにはいられない状態です。
さて本題です!!
受傷機転:リバウンドの着地時に相手プレーヤーの足に着地し「グキ」という礫音を感じ、その場に倒れ込んでしまう。
所見:外果の腫脹。肩を借りてなんとか歩行ができる程度。時間の経過と共に立位も困難になる。
※医務室はあるが、負傷者は行くことを拒否。現場にトレーナーの存在は描かれていないがマネージャーはテーピングを巻ける模様。
私の経験上、このレベルの足関節捻挫をするとプレーの続行は無理である。
(柔道整復師に診断権はないため、あくまで「疑い」であることをご承知ください。
また前距腓靭帯損傷などの具体名ではなく柔道整復師が保険請求の際に用いる「捻挫」という表現にてお届けいたします)
負傷者本人の強い希望としては
「ガチガチにテーピングを巻き足関節を動かないようにすること」
「試合に出る」
「骨が折れてもいい、歩けなくてもいい、やっと掴んだチャンスを逃したくない」とのこと。
トレーナーとして考えること
こういったケースでは、スポーツ現場で冷静な判断を下さなければなりません。
監督も使いたい、選手も出たい。
トレーナーとしては将来的なことを考えても今無理をさせるべきではない。
このジレンマに悩まされるのです。
私も全国大会でのトレーナー活動の際に、ベスト8を決める試合で別チームのキャプテンであろう選手が足関節捻挫となり、誰が見ても続行不可能な状態でも選手は「なんとか試合に出せるようにしてくれ!!」と泣き叫んでいました。(そのときにチームは負けていたと記憶しています)
ジュニアアスリートであっても試合にかける想いはレベルが上がれば上がるだけ強くなると思います。その試合で競技を引退するにはまだしも、中学〜高校のカテゴリーでは特に無理をさせて将来に関わることとなる可能性があれば尚のこと慎重になります。
私ならどうするか?
本人の意思は尊重してあげたいです。
「やっと掴んだチャンスなんだ」という言葉にあるように3年間頑張ってきて夢見た舞台での負傷。これは無下にできません。
こういった怪我の場合、まずは監督・コーチ陣と情報共有します。
「怪我の評価としてはかなり厳しい。でも本人は出場を強く望んでいます。冷静な判断をするなら出場は不可です。最終的な判断は監督にお任せいたします。」
といったところでしょうか。
選手に寄り添い、100%を尽くす
こちらから頭ごなしに「出場は無理!認められない!」というのは簡単です。
ただ、フロント陣と選手の間に立つのが我々トレーナーだと考えています。
そこでまずは自分にできることを全てやって、選手に実際に動いてもらい、どの程度自分ができるかを確認させて本人に決めてもらいます。
「自分が出たい!!」という気持ちも分かりますが、バスケットはチームスポーツです。自分が出ることで足を引っ張る結果になっても自分のエゴを通すのか、チームメイトを信頼し自分を押し殺すのか。
自分がプレーで貢献できるならコートに立とう。
それが無理でも、声で貢献できるならベンチから支えよう。
これは僕が最終的に選手にかける言葉です。
信じられないことだっておきます。
絶対我々が無理!と判断したことでも、選手の気迫や想いによって怪我をしているとは思えないプレーを目の当たりにすることもあります。
後日談で骨折していたが点を決めたサッカー選手
試合のことは覚えていなかがパンチを打ち続け勝利したボクサー。
これを美談にしてしまうのは大変危険ですが、死ぬ気でプレーしている選手は時に常識とはかけ離れたことが起こるように思います。
結果として
この選手は後半20分(1993年当時は前後半20分の計40分ゲームでした。現在では高校は10分×4Qです)の試合に出場し、更には大活躍を見せます。
また監督も「...精神が肉体を超え始めたか...!?」とつぶやくシーンもあるほどです。チームの大黒柱として自覚もあり、その責任感からなんとしてでもチームのために戦う!という強い決意を感じますね。
涙が絶対出てしまう名シーンなのであります...
予後
あの腫脹からすれば2〜3度の足関節捻挫かと推察されますが、翌週には試合があります。受診の結果、骨に異常はなく、松葉杖での免荷のみ?では如何せん心細すぎます!
少しでも固定をした方が良いのであればギプス固定と免荷
腫脹や熱感などを少しでも改善するための鍼治療
あたりはしていきたいですね。また受傷部位以外のトレーニングも試合が近いのであれば体力を落とさないためにやっておきたいところです。
最後に
今回は柔道整復師、トレーナーとしての目線で物事を考えてみました。
他職種の方のご意見も頂けたら幸いですのでお気軽にコメントください!
例えばですが
Drなら痛み止めの注射はうつのか?とか
薬剤師なら、PTなら、栄養士なら ○○する!というのはめっちゃ興味あります。
以前栄養士さん主催の勉強会にて炎症を抑える食事やリカバリーに重きを置いたメニューの紹介も受けました。そのへん専門家のご意見聞きたすぎます✨
よろしくお願いいたします😊
追記(2020/5/9)
「オールエス」という地域レベルのスポーツ医療連携を考える会というのをやっています。そこでYoutubeでの発信を行なっています。
実はその中で、今回の事例を出させて頂き、ふざけたことを真面目に解説しました。
この中で、①スポーツファーマシスト(薬剤師)②スポーツ栄養士の視点から、他業種がこの怪我についてどんなことを思うかを聞いてみました。
かなり盛り上がって3本分の動画になってしまいましたが、こちらを参考にしていただければと思います。
↓ スポーツ医療連携 SLAMDUNK#1
↓スポーツ医療連携 SLAMDUNK #2
↓スポーツ医療連携 SLAMDUNK #3
これからもこういったシリーズで、議論できたらと思います。
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