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ポイントは「3秒」:ラグビー初心者観戦ガイド(上)
ワールドカップまであと2日。少しでも観戦初心者の方が楽しめるように、初心者向け注目ポイントを何回かに分けて書いてみようと思います。
反則は気にしなくてよい
ラグビーの初心者にラグビーを説明するとき、まずトライ5点、コンバージョンキック2点、ペナルティゴール3点と説明したあと、普通はすぐに反則の説明が始まります。ノックオン、スローフォワード、オフサイドなどなど。
テレビでも、レフェリーが笛を吹くたびにこれは何の反則かが説明され、親切な中継だとどんな反則(「ボールを前に落とした」など)かがテロップで表示されます。
確かにラグビーはサッカーに比べると反則で頻繁にゲームが止まります。しかし、反則の説明から始まるスポーツってほとんどありません。サッカーやバスケ、あるいは野球観戦の初心者に対して、見始めた最初の頃に反則の説明をすることはまずないです。
ところが、これは私の持論なのですが、反則が起こったときに「これはノットリリースザボールか、ノットロールアウェイか」を区別できる知識って、ラグビーを見て楽しむ上で必須だとは思えないんです。
自分が戦術寄りのファンだからかもしれませんが、細かい反則を識別することよりも、どういう意図で攻撃をしているのか、どういう意図で防御をしているのか、ということが理解できた方が楽しく見られるのではないでしょうか。
「3秒」に注目してみよう
今日のポイントは「3秒」です。ラグビーでは、人がぐちゃぐちゃっと折り重なる局面がよく起こります。ルール上は「ラック」と呼ばれるもので、戦術的には「ブレイクダウン」と呼ばれます。下の写真のような場面ですね。
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スクラムハーフのデクラーク
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ラックを作るワイルドナイツの坂手淳史
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今のラグビーでは、この「ブレイクダウン」を意図的に作り、素早くボールを出して次の「ブレイクダウン」を作り出すということを繰り返して相手のディフェンスを崩していきます。
しかし、「ブレイクダウン」からボールを出すのに時間がかかってしまうと、相手のディフェンスが整ってしまい、次の「ブレイクダウン」を作ろうとしても相手を崩せなくなってしまいます。この、ディフェンスが整うまでの時間が「3秒」なのです。
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ですから、ボールを持って進み、タックルを受けて倒れてぐちゃぐちゃっとした「ブレイクダウン」ができたとき、3秒以内にボールを出せていたら意図したとおりに攻撃ができているということです。これを2回、3回繰り返せれば、相手のディフェンスはかなり崩せます。
なので、ぐちゃぐちゃっとした局面ができたとき、ボールがでるまでどれくらい時間がかかるか、それは3秒以内か、ということに注目してみましょう。そうすると、意図した形で攻撃できているか、あるいは、攻撃は続いているけれどきっちり守られているかがわかるようになります。
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鍵になるのは「オフサイド」のルール
なぜこの「ブレイクダウン」からの「3秒以内」のボール出しが重要なのか、少しルールを交えて補足します。「ブレイクダウン」とは、ルール上は、原則はボールを持っている選手がタックルで倒されて作られる「ラック」です。
「ラック」が作られると、オフサイドラインが生まれます。オフサイドラインは、ラックの後ろ端から、ゴールラインに平行に形成されます。こうなると、敵も味方もオフサイドラインより「前」ではプレーできなくなるのです。
つまり、数メートルでもいいから、相手のディフェンスを押し込む形で「ラック」を作れると、ラックの周りの選手たちはその数メートル下がらなければならなくなるのです。下がらずにタックルにでてしまうとオフサイドの反則でペナルティです。
シンプルに言えば、下がってラインを整えるヒマを与えない時間が「3秒」と言うことなのです。それを続けることができれば、相手のディフェンスを混乱させ、トライにつなげることができるのです。
(続く)