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ブレイブブロッサムズひとこと選手紹介:ハーフバックス編
ブレイブブロッサムズことラグビー日本代表のひとこと選手紹介、3回目です。
フォワードとバックス
今日からバックスです。
ラグビーでは、背番号はポジションに紐付いていて、個人に紐付いていません。同じ選手でも、左フランカーで出場するときは6番、ナンバーエイトで出場するときは8番を付けます。
なので他のスポーツと違って、レプリカジャージには背番号がつきません。ピッチャーが1番、キャッチャーが2番、ファーストが3番、と言う形で背番号を付ける高校野球みたいなイメージで考えていただければと思います。
そして、1番から8番までがフォワードです。9番から15番までをバックスと言います。誤解を恐れず大雑把に言えば、フォワードが相手とぶつかり合ってボールを確保する役割、バックスがボールを運んで得点する役割です。
元イングランド代表だった元フォワード選手は、「フォワードが勝敗を決め、バックスが点差を決める」と言いました。これはある意味で真実で、フォワードがボールを確保できなかったら得点のしようがないのです。
今日からはその「得点する役割」のバックスです。まずはハーフバックスから始めましょう。
ハーフバックスは9番のスクラムハーフと10番のスタンドオフです。なぜ「ハーフ」というかというと、11番から15番までのバックスと、フォワードとをつなぐ役割だからです。
「専門職」であるスクラムハーフ
スクラムハーフは高度な専門職です。スクラムや、ぐちゃぐちゃっとした密集(モールやラック)からボールをパス出しするのが仕事です。スクラムにボールを投げ入れるのもスクラムハーフですね。
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スクラムハーフについて言えば、日本代表には苦い思い出があります。2007年大会のフィジー戦、後半になって先発の吉田朋生がラフなプレーを受けて負傷交代、代わって出た矢富勇毅もやはりラフなタックルを受けて数分後に退場。
通常スクラムハーフは2人しか入りませんから、本職のスクラムハーフが不在になったのです。コンタクトの強いフィジーとは言え、見ていて怒りがこみ上げてきたのを覚えています。
そして終盤の攻撃では、フォワードがボールを確保し続けたのに本職のスクラムハーフがいなかったためにボールをうまくさばけず、守り切られてしまったのです。最終スコアは31-35。スクラムハーフがいれば確実に勝っていた、と感じた試合でもありました。
では、紹介です。今回のメンバーには、サンゴリアスの流大と齋藤直人、そしてヴェルブリッツから福田健太が選ばれているのですが、昨シーズンヴェルブリッツ戦を見に行けてなかったこともあり、福田選手だけは写真がありませんでした。。。。すみません。
4枚目はスクラムハーフ、#流大 (ながれ ゆたか)。2019年大会の南アフリカ戦では対面のデクラーク相手に悔しい思いを。敗戦後、「デクラークみたいに相手の嫌がるプレーをできるようにならなければ」と。そういうプレー、今回は見せられるか。#ブレイブブロッサムズ#ラグビー日本代表 pic.twitter.com/HYNiRHyC7v
— 高橋 杉雄/Sugio (@SugioNIDS) September 5, 2023
スクラムハーフの #齋藤直人 。早稲田では主将として11年ぶりの大学日本一に。サンゴリアスで流とポジションを争う。プレースキックも蹴れる。特長は突破時のサポートラン。外を突破した選手の内側を走り、折り返されたボールをトライに持ち込む得意のプレーをワールドカップでも見たい。… pic.twitter.com/67wlPflVXV
— 高橋 杉雄/Sugio (@SugioNIDS) September 8, 2023
「司令塔」スタンドオフ
ハーフバックスのもう一人、10番を付けるのがスタンドオフです。スタンドオフは、「司令塔」として攻撃を仕切るのが役割です。ただ、現代ラグビーでは、9番のスクラムハーフ、10番のスタンドオフ、12番のインサイドセンターが2、3人からなるユニットをリードするので(「ポッド」と言います)、司令塔、あるいはゲームメーカーとしての役割を担うのはスタンドオフだけではなくなっています。
以前のラグビーでは、スクラムハーフがボールを出すときはほぼ100%スタンドオフにパスし、スタンドオフがそこからゲームを組み立てていったので、文字通りの「司令塔」でしたが、今は最初のアタックではスクラムハーフは「9シェイプ」と呼ばれるフォワードにパスすることが多くなっているのです。そこでフォワードにパスをするか、その後ろにいるスタンドオフにパスをするか、あるいはキックをするか。
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10番のスタンドオフも12番のインサイドセンターも同じように、「10シェイプ」(スタンドオフの場合)ないし「12シェイプ」にパスするか、キックをするか、あるいは自分で切り込むかというようにプレーを選択します。
このように、ゲームメーカーとしての役割はスタンドオフだけでなく、スクラムハーフやインサイドセンターも担うようになってきているのです。
例えばクボタスピアーズはスタンドオフのバーナード・フォーリーとインサイドセンターの立川理道が2人ともスタンドオフのように動くこともあり、その意味で昔のラグビーとはスタンドオフの役割は変わってきているということは言えます。
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同時に、ボールを前進させて陣地を獲得するテリトリーキックが、試合の流れを決める上で大きな役割を果たすようになっていることから、スクラムハーフの近くにポジションを取っているスタンドオフのキック能力の重要性は増していると言えます。
今回選ばれたのはワイルドナイツの松田力也とスティーラーズの李承信です。2人ともキック能力の高いスタンドオフです。
#松田力也 、ポジションはスタンドオフ。スタンドオフは、パスか、キックか、自分で走り込むか決めるゲームメーカーとなるポジションで、「司令塔」とも言われます。松田力也は強豪ワイルドナイツのレギュラー。相手をよく見ながら、自分たちの強みを生かすゲームメイクに長けています。… pic.twitter.com/RtXGT2xzPl
— 高橋 杉雄/Sugio (@SugioNIDS) September 7, 2023
スティーラーズから選出の #李承信 。大阪朝鮮高級学校在学時に花園に出場。帝京大を中退してNZに行こうとしたほどにラグビーを突き詰めようとした選手です(コロナ禍でNZ行きは断念)。ポジションはスタンドオフ。強気のゲームメイクが光ります。#ブレイブブロッサムズ#ラグビー日本代表… pic.twitter.com/lUeA3KWZK5
— 高橋 杉雄/Sugio (@SugioNIDS) September 12, 2023
リーグワンのワールドレベルの選手
なお、昨シーズンの日本国内のラグビーリーグワンでは世界最高級のハーフバックスがプレーしていました。サンゴリアスのアーロン・クルーデンやイーグルスのファフ・デクラークです。
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