2024ファジアーノ岡山にフォーカス40『 頂を目指す意味と現在地~覚悟からの前進~ 』J2 第26節(H)vs ジェフユナイテッド千葉
1、主導権を握るも反攻の呼び水に~水流の理~
高い所から低い所へと水は流れていきます。これは、自然なことで、主導権を握ったチームが、相手陣地で、攻める時間が増えて、ボールを持つ時間やシュートの本数など、優位を築くことができます。
この試合の前半の岡山がまさにそういった感じで、前からのプレスを武器に快速を武器に相手に襲い掛かる千葉のスピードに乗った形を作らせずに、岡山のペースで試合は推移しました。
この流れを作ることができたポイントとしては、頂点の22番 一美 和成 選手を始点としたプレスが効果的であることが最大の理由だと私は認識しています。
岡山は、スピードと正確な判断が伴ったプレスが連動していて、千葉の「プレスを剥がす、縦にパスを突ける、裏を突く。」といったアクションを上手く抑制できていたのが、前半でした。
強いチームであれば、この時間帯で決め切ることができたと思いますし、そこに近い形を作ることができていました。
前後半を含めて、僅かなズレにより、オフサイドになったシーンを含めて、本来主軸となる選手が、長期離脱になってしまった影響や、試合を重ねることで、コンディションと連携共に、もっと良い状態でいて欲しい選手のパフォーマンスが、まだまだ改善の余地があった試合でもあったと言えるでしょう。
そういった先に期待できるまでのパフォーマンスに留まってしまっていることが、自動昇格を目指す上で、上位との差縮めるどころか、6位に後退する結果に繋がってしまいましたが、それが現在の岡山の実力であるところは辛いところではあります。
この引き分けにより、痛恨の2試合連続のドローになってしまいました。もし2連勝できていれば、状況は大きく好転したのにと、悔しさをファジアーノ岡山ファミリーの多くの方が感じている試合となってしまいました。
皮肉にも前半に主導権を握れていたことで、カウンターやプレスの回数が少なかった千葉に余力が残っていたこと勢いのある交代選手の投入、岡山の強度の高いプレスと、その背後でも自由を許さない強度の高い守備の消耗が目立ったことで、後半は千葉のゲームに近かったと言えます。
流れの通りにスコアにできない攻撃の課題と、流れが悪くても引き分けに持ち込めるという武器と課題の両面が出た試合であったと感じた試合でした。
引き分けという結果でしたが、ホームで戦うことができれば、千葉にも久々に勝つことができる。そういった期待が持てる内容であったと思います。
メディアで、ホームで「鬼門」という表現が採用されたことには、過去の千葉戦では、ホームで勝てていたので、違和感を覚えた部分はありますが、近年の試合しか観ていない方にとっては、「鬼門」と感じてしまうのも、また理解できる結果と内容が続いています。
こういった認識の違いは、サポーターだけではなく、選手や監督、解説者、メディアの方など、立場によって違うということを改めて感じた表現ですし、その辺りを含めたレビューや考察、主張を心がけ、今後も気を付けていきたいと思いました。
さて、次章では、6位に終わった現在の岡山の現状をどう捉えるかという点に関して、筆者視点で、語っていきたいと思います。
2、J1昇格を目指す意味~求められる常勝~
天皇杯やルヴァンカップで、下のカテゴリーのクラブやアマチュアチームが、J1のクラブに勝つと当事者のクラブであれば、とても嬉しいことは言うまでもありません。
また、同時にこれが、J1がJ3のクラブ勝っても、当然であると捉えますから、もしJ1のクラブやアマチュアクラブが勝てば、メディアを含めて、ジャイアントキリングと言われ、2024シーズンの町田のように騒がれます。
つまり、J1に昇格するということは、単に上のカテゴリーに上がるだけではなく、勝利して当たり前という要求がより強くなることを意味します。
もちろん、J1クラブからすれば、仮に岡山がJ1昇格したとすれば、後発クラブに負けるわけにはいかない。そういった感情をサポーターもチームも抱くでしょう。
逆に、J2やJ3、JFLやプロを目指すクラブ、アマチュアクラブなど、カテゴリーが、下の段にいけば行くほど、J1のクラブであることを証明することが問われます。
つまり、岡山がJ1昇格を目指す上で、厳しい見方をした場合、離脱者が多い状況で、将来を見据えた補強に動いたとしても、対戦相手や現場においては、関係ないことで、「弱い」から勝てない。つまり、昇格に値しない「弱いチーム」と評価されます。
つまり、山形戦も千葉戦も内容を考えると、昇格に値するチームであれば、勝利していたでしょう。
岡山サポーターだから理解できることがあったり、岡山と対戦したチームだからこそ、感じる部分こそあるかもしれませんが、昇格の可否においては、リーグ戦において総合的に「弱い」か「強い」という結果によって、昇降格や順位が決まります。
そして、基本的に私のレビューですが、基本的に岡山サポーターで、永続的にいたいという想いが、現段階では強いので、先の先を意識していますので、1つの結果で、大きく気持ちが落ちたり、上がったりすることは少なく、シンプルにサッカーを楽しむことができていますが、これが、一戦必勝で、全試合熱を入れて、チームを後押ししていた場合、その反動で、負の感情が大きく膨らむこともあれば、その気持ちが熱量として、チームに伝わることで、勝利をチームと共に誰よりも喜ぶことができるでしょう。
J1に上がるという意味は、「J2のチームに勝って当たり前」という認識のカテゴリーに上がる訳ですから、大型連勝が求められます。
しかし、実際問題。クラブ規模を考えると、そこは現実的には難しい。だからこそ、来季以降を見据えたチーム編成が求められます。
岡山の近年のブレない信念として、岡山で長くプレーしたいと思ってくれた選手や、岡山から世界を目指したいという向上心の強いルーキーを獲得する傾向にあります。
今季の岡山が、FWなどに離脱者が多数出てしまった状況でも、上位に踏みとどまれていたのも、こうした先を見据えた編成やチーム作りを進めてきたからで、一定の成果は出ていると言えるでしょう。
しかし、これはこれ。あれはあれで。結果と内容のどちらを重視するか。また、(今季での)勝利や昇格への想いがどれだけ強いかによって、感じ方や評価の言葉も違うでしょう。
岡山が、今後の試合で、自動昇格やプレーオフからの昇格を目指すのであれば、少なくとももっと良い内容と結果を示さないといけないでしょう。
3、転倒から立ち上がれ~自覚と覚悟~
岡山というクラブは、J1昇格を目標に10年以上、J2で戦ってきたクラブです。現実問題として、目指せない戦力でも、心の中では、目指してきたでしょう。
この千葉戦を受けて、6位にこそ後退しましたが、頂という目標に恥じない戦いができていると自負しています。
そこの内容だけではなく、より頂に近づくための結果に何が必要か。また、岡山にどういった武器があるか、どういった戦い方で勝利を目指しているかなど、余すことなく最後にその部分について、語ってレビューを終えたいと思います。
・3トップ
99番 ルカオ 選手が、復帰するまでに、22番 一美 和成 選手を軸とした戦い方の練度の向上と、この試合で、途中から出場した11番 太田 龍之介 選手のコンディション向上や成長や連携の深化による得点機会の向上と、連動したプレスを実現するための判断の正確性の向上やシャドーのとの連動。
19番 岩渕 弘人 選手への依存度が高くなっていることから脱却することで、主導権を握る時間を長くしていくこと。現状は、19番 岩渕 弘人 選手が、ピッチにいるかどうかで大きく内容が違ってきます。
残り試合は、少ないですが、攻守での主導権を握る上で、攻守で如何に機能させていくか。選手の個も重視している戦い方ではありますが、そこに依存しないサボらないことで、19番 岩渕 弘人 選手を中心に、「活かす・活かされる」ことで、攻守で良いプレーができていることが岡山です。
そういったチームで戦うことの深化と徹底で、最後の個を活かす。ここまで、得点力が足りていないという岡山の弱みとして結果に出てしまっていますが、総合力や意思統一といった繋がりで戦えるチームでありますし、岡山の時間を攻守で、前線の3トップがどこまで作れるか。そこが最大の鍵ではないでしょうか。
現状ベストと言える22番 一美 和成 選手を頂点に19番 岩渕 弘人 選手の相方はどの選手が担うことになっていくのか。19番 岩渕 弘人 選手のように、チームを攻守で牽引できる選手がでてくるのか。これは、前線のラストミッションとなるでしょう。
・中盤
攻守にハードワーク、強度の高いプレー。10年前までは考えられない総合力が求められるポジションです。
不動の17番 末吉 塁 選手が、テーピングを膝に巻いてましたし、24番 藤田 息吹 選手も体調不良?で欠場していました。
そんな中で、23番 嵯峨 理久 選手の加入やシャドーとボランチができる33番 神谷 優太 選手の補強があって、来季内定している両ボランチ選手が、特別指定の選手として登録される運びになっています。
7番 竹内 涼 選手、24番 藤田 息吹 選手、6番 輪笠 祐士 選手、15番 本山 遥 選手の4人で、ボランチを回していますが、どの選手も守備に特徴があり、岡山の攻撃のスイッチを入れるよりも、守備で安定させることが、今の岡山に求められいることが分かります。
そこへのアプローチが、4選手異なる中で、負担を集中させることなく、場合によっては、出場機会が現状少ない14番 田部井 涼 選手にも出場機会があるかもしれないですし、特別指定の2選手が、メンバー入りするかもしれない。
とにかく、走って、引き締めて、埋めて、岡山の負ける可能性を1つでも消す。その上で、攻撃があるポジションです。チームの真ん中ですし、ここの出来は、試合の出来をも大きく左右すると言ってもいいでしょう。
そして、もう1つの左右のWBですが、守備力も必要ですが、それ以上にサイドから前に押し込む力が求められているポジションです。
88番 柳 貴博 選手は、高さ・速さ・強さで、攻守で前に押し込む力。17番 末吉 塁 選手は、スピードとスタミナで、相手に走り勝つことで、サイドを打開することで、岡山の流れを呼び込みます。新加入の23番 嵯峨 理久 選手には、岡山デビュー戦でチーム事情もあったとはいえ、シャドーを任されるだけの左右の基礎技術の高さ、高い身体能力、視野の広さ。全てを兼ね備えた攻撃特化のプレーで、どれだけ多くのチャンスを作れるか。42番 高橋 諒 選手もスピードとテクニックがある選手で、決定機を作れる貴重なレフティです。
ここ数試合で、攻守で、サイドから流れを作っている4選手のコンディションを維持して、岡山のサッカーを体現できるか。内容に大きく左右するポジションとなるでしょう。
この中盤に関しては、岡山史上最もインテンシティ(プレー強度)が高く、インテリジェンス(知性)が、溢れるプレーが出来ているチームだと思いますし、ここを崩れないように、どうバランスをとれるかだと思いますし、岡山の心臓として、上手く機能していると思います。
・DF
DFラインでパスで攻撃を組み立てることができる43番 鈴木 喜丈 選手が戻ってきたことで、ほぼベストに近い状態で戦えているポジションです。18番 田上 大地 選手と守備のスーパーサブの5番 柳 育崇 選手の交代の形が機能していて、4番 阿部 海大 選手の強度の高い守備は、上位に負けない力がありますし、15番 本山 遥 選手が、状況に応じて、マルチに隙が埋めることができていることで、途中長短の離脱者が出た中でも、粘り強く戦えた最大の武器になっています。
一方で、退場者が出た試合もあるなど、一瞬の隙で、結果に影響するプレーが出てしまうこともあったポジションです。セットプレーの得点もまだまだ少ないですし、高さのあるDFラインの選手が、セットプレーで、どれだけ存在感をだせるか。スーパーサブの5番 柳 育崇 選手の高さがない時間帯での得点力や、試合によっては、スタメンで起用していく中で、各個人の高い守備力だけではなく、もっともっと攻撃で存在感を出して欲しいポジションであります。
実力のある選手が増えた中で、Jリーグのサッカーも世界のトレンドの影響も受けながら、大きく変わる中でも戦えて、守備からゲームを作れて、攻撃でゲームを決める。そういった選手が揃っているだけに、攻守でもっともっと存在感を出して欲しい。納得していてもより期待してしまう。そういったDF陣には、残り試合をやり切って欲しい。そういった想いが強い。
攻撃で得点できなくて、これだけ悔しがる選手たちが揃っていて、守備ができる選手でもある。苦手なプレーも、もちろんありますが、良いプレーが増えることで、勝利に繋がると思いますし、守備以上に、攻撃でもっともっと存在感を出して欲しい。繰り返しになりますが、そういった攻撃に期待したい選手達ですよね。
得点力です。得点力!
・GK
木山 隆之 監督が、1番 スベンド・ブローダーセン 選手の良さを活かせるチーム作りを出来ていると思います。課題や武器というよりは、「彼で駄目だったら仕方ない。」そういった信頼で、堅守から勝てる流れを作ってきた守護神だと思います。
多くの言葉を並べるよりも信頼を一番に感じる選手ですよね。
・監督
木山 隆之 監督に関しては、個人的には不満という不満は正直ないです。むしろ、個人的に、こんなに決断力があるだけではなく、フェアな基準での選手起用や長所を伸ばすことに長けた監督は、岡山史上初ですね。
岡山の監督言えば、手堅いイメージが強かったと思いますが、前や高い所を意識したチーム作りは、本当に見ていてワクワクしますし、木山 隆之 監督の言葉や決断、振る舞いは、色々な示唆を含んでいて、メッセージやスピリッツを感じます。
熱く・冷静にという私のような一般人の感覚を超えた、非情にもなれる胆力、怒りをもストレートに表現でき伝えることで、チームを鼓舞し、良い方向に前進させるリーダーシップ。
歴代の監督にも良い所や悪い所があるように、木山 隆之 監督にも良い所や悪い所もありますが、それでもまだまだ岡山で指揮する姿を観ていたい。一緒に昇格したい。色々な顔を持つ木山 隆之 監督の人間性や監督としての魅力。
今の岡山の結束力や自由なサッカーを見ても、勢いや歴史を作れるのではないか。そういった熱い夢が膨らんでいく。本当に期待する気持ちが強いです。
木山 隆之 監督を信じて、最後まで戦いきりたいですね!
・最後に
自動昇格やプレーオフからのJ1昇格を目指す上で、この2引き分けは、内容を考えますと、痛いものでしたが、チームの状況や戦い方、雰囲気を考えますと、一人ひとりの覚悟と共に、自分達の強さや弱さへの自覚した戦い方ができるチームに感じます。
毎年言っていますが、このメンバーで、昇格したいですよね!
ココロヒトツニ…!
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino
4、アディショナルタイム
・アンケート
・ファジフーズ
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