2024ファジアーノ岡山フォーカス46『 ベースが点と点を繋ぎペースを作る~3と0~ 』J2 第32節(A)vs 水戸ホーリーホック



1、生観戦とダゾーン観戦~視点と好み~


 レビューを書く上で、生観戦と比べて、ダゾーン観戦は、やはり情報量が全然違ってきます。レビューもサッカーの内容で勝負しないといけない。食レポやイベントレポ、雰囲気レポ、お気持ち声明に逃げることができない(笑)当たり前のことではあるのですが、総合的なレビュースタイルの私としては、写真を含めて、材料が少なくなってしまって難しいというのが正直な気持ちです。

 実は、中断前の7月14日以来のダゾーン観戦です。やはり、生観戦の時は、時間的制約こそあったものの楽しく書くことができました。その様子をお伝えできていたら嬉しく思います。

 さて、本レビューの方針ですが、写真が少ないということで、文字数の圧をかけるのではなく、分かり易くコンパクトにをテーマに頑張りたいと思います。私の苦手なテーマではあるのですが、やれるだけやりたいと思います。

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2、前と後を巡る攻防~ペースとベース~


2024 J2 第32節 水戸ホーリーホック vs ファジアーノ岡山
2024年09月22日(日)14:03kick off ケーズデンキスタジアム水戸

 試合の入りは、非常に良かったと思います。99番 ルカオ 選手をターゲットに有効な攻撃ができていましたし、43番 鈴木 喜丈 選手が、絡んだ攻撃ができていました。一方で、他の選手が絡んだ攻撃は、良い時と比べて物足りないというか、優勢ではなかったので、後半には、そこの所で優位に立って欲しいと感じました。

 一方で、水戸の岡山の背後を狙う攻撃は、ボディブローのように効いた前半であったように感じました。それこそ、決定機を作られても不思議ではない通り方や運ばれ方をされていましたので、その後の対応が良かったので防げたものの、カウンターで失点しても不思議ではない前半だったでしょう。

 水戸は、岡山のプレスを受ける前に、カウンターを狙うことを徹底されていましたので、岡山が即時奪回を狙えない前半でした。岡山は、そのロングパスの6割ぐらいは、クリアからのセカンドボール回収や(味方選手への)クリアでのパスからマイボールという点ができていました。

 ということで、陣地合戦では押し込めていましたが、岡山のゴール前の確実性や連動性というのが、水戸の守備ブロックを崩すまでは至っていませんでしたし、何度かあったセットプレーのチャンスも、得点の匂いも感じられず、攻略の糸口を見つけることができていませんでした。

 前半の45分を通して、水戸の壁の厚さを感じていて、岡山としてもその壁を崩せないというシーンが目につきました。決定機に近い形でもせめて作れていれば、数字に残らなくても水戸にメンタルのダメージを与えることもできたのですが、水戸に上手く守られていました。

 岡山は、左右から99番 ルカオ 選手が、強さ・速さ・高さを武器に突き抜けて、そこへのパスをしっかり出すところまでの形はできていましたが、中に良い形で入れられない。そういったシーンが積み重なっていて、秋田戦を思い出す堅さを感じました。

 19番 岩渕 弘人 選手や39番 早川 隼平 選手が、受けて絡んで、形を作ろうとしていましたが、最後の所を崩しきれませんし、17番 末吉 塁 選手や23番 嵯峨 理久 選手が、高い位置までスピードや運動量で、受けてもそこからが崩せませんでした。

 14番 田部井 涼 選手や24番 藤田 息吹 選手が、水戸の弱い所を探っても見つけられない。43番 鈴木 喜丈 選手と4番 阿部 海大 選手の攻撃参加で、厚みのある攻撃も逆に水戸の厚いブロックを崩せません。

 18番 田上 大地 選手の攻撃を意識した守備からの選択肢が光るなかで、岡山ペースで進みながら、水戸の守備ベースを崩せなかった。攻守で前への意識の高い岡山と、攻守で後への意識が高かった水戸。そういった構図の前半に感じました。


3、点と点を巡る神々の攻防~三を〇に変えた神技~


 両チームビックチャンスがあった後半でした。どちらかと言えば、水戸に多かったように感じました。岡山もチャンスになりそうな形自体は、多くありましたが、決定機に繋げることができたのは、99番 ルカオ 選手が、裏に抜け出したシーンで、せめてシュートまでは行きたかったシーンでしたね。

 一方で、水戸の決定機は、PKとFKと流れからと3,4度ありましたが、その1つは、18番 田上 大地 選手の不用意なボールロストから、43番 鈴木 喜丈 選手の一か八かの守備がファールとなってしまい、これがPKになったシーンです。このシーン自体も決定機でしたが、点の行方は水戸サイドからは、96番 黒川 淳史 選手に、岡山サイドからは、GKの49番 スベンド・ブローダーセン 選手に委ねられます。

 このPKは、お互いに粘りに粘って、キッカーの96番 黒川 淳史 選手が、49番 スベンド・ブローダーセン 選手の動きを見極めて、真ん中に蹴るという大胆な選択をして、駆け引きに勝ったように見えましたが、キックミスか駆け引きの中で上手く蹴ることができなかったのか、真ん中を狙ったボールは、49番 スベンド・ブローダーセン 選手の方へ向かう軌道となったことで、飛びついた筈の49番 スベンド・ブローダーセン 選手の右足が届き、ギリギリの所で、ビックセーブに成功しました。2次攻撃もDFの選手が体を張って防いで、絶体絶命の危機を救いました。今季、2度目のPKセーブ。49番 スベンド・ブローダーセン 選手なら防げるという期待値は、史上最高の堅さだと思います。

 この決定機こそ決め切れなかった水戸でしたが、ここから流れに乗ったのは、水戸でした。前半のように、岡山が押し込む形や99番 ルカオ 選手のフィジカルで裏へ抜けるというシーンは、目に見えて減りました。逆に、99番 ルカオ 選手のボールかと思いきや、吹き飛ばした水戸の選手の守備もありましたし、水戸のプレーの意図が明確なプレーは、疲労が見え始めた岡山とは対称的に勢いが出てきます。

 距離的に何気ない1つのFKと思われたシーンでは、3番 大崎 航詩 選手の左足から右上隅への精度・球足・コース共にパーフェクトの驚異的なFKを、ここも49番 スベンド・ブローダーセン 選手が、再びビックセーブ。これを止められたなら決まるFKはないとまで感じられる守備範囲の広さに、そのシーンを観ていた誰もが驚いた。

 本来であれば、このビックセーブで、攻守に奮起しないといけない岡山でしたが、水戸は防がれても、今日はやれるとホームの応援を後押しに一歩一歩が力強い。今度は流れから岡山のDFを攻略して、水戸の選手が、シュートまで行くが、これも49番 スベンド・ブローダーセン 選手が、防いだ。

 岡山も本当であれば、2-0〜4-0のビハインドでも不思議ではないシーンが続く中で、攻撃的なカードを切って、勝負に出たが、岡山の得点は遠かった。

 33番 神谷 優太 選手の右足から3度ほど、シュートを狙えるシーンを作ることができた岡山。99番 ルカオ 選手をターゲットにしたクロスは、一度はオフサイド、もう一度は僅かに合わなかった。とは言っても、少しでもタイミングや精度が違えば、得点に繋がっても不思議ではない。

 何しろ、この試合では、水戸のゴール前の守備は、その最後ではやらせないという守備ができていて、岡山のシュート数。しかも枠内シュートが多かった中でも、シュートコースが空いていたシーンがどれだけあったでしょうか。

 水戸の決定機と49番 スベンド・ブローダーセン 選手のセーブに意識がいきがちでありますが、両チームの最後の所の集中力と一歩目の速さが際立った1戦であったと言えるでしょう。

 両チームの点と点を巡る攻防のレベルの高さは、まさに点と点が合わないと厳しかったと感じた1戦で、むしろ点と点が合っていても防げた(防がれた)試合であったように感じる。

 それでも、この試合に関しては、49番 スベンド・ブローダーセン 選手が、3失点を無失点に変えた試合と言っても過言ではなく、次に繋げることこそ、この試合の水戸と岡山の激戦を意味あるものにできるはずである。

 攻撃陣の奮起と成長に期待して、ホーム長崎戦への意識を切り替えて、プレーオフ圏内を守り切って、次節をプレーオフの前哨戦にする。それぐらいの気持ちで戦って欲しい。

『 49番 スベンド・ブローダーセン 選手が(ファジアーノ岡山) 』
PKを防いだシーンは、試合前に相手選手の映像も見ていたし、PKを蹴る時に立ってる姿や走り方を見て、中央か右に来ると思ったので、早く右に飛び過ぎると中央に蹴られたら防げなくなるし、待ちすぎると右に蹴られたら防げなくなるので、タイミング良く中央で反応できるように心がけた。
次戦に向けての修正点は、最初は試合をコントロールして良い形で試合を進めていても、それを途中で手放してしまうような感覚があるので、そこを改善しなければならない。

ファジアーノ岡山公式HP
J2第32節水戸ホーリーホック戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202409221730/

文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino


4、アディショナルタイム


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筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知や開いた時などに、偶然に目にすることもあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで言葉にしている。同時に、サポーターとの交流や魅力を語り合うことも好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。同時に、数少ないから岡山問わず、交流のできたサポーターもいて、「趣味」という「生活」の一部になっていて、サッカー観戦を心より楽しんでいる。


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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。