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警察作品の基本「組織の概要」

 この記事の95%は、無料で読めます。
 残り5%の有料部分については「おまけ」で、私が警察官時代に見聞きした、警察内部のちょっとした裏話です。

 もしかすると、今後、警察作品を作りたいと考えている方にとっては、何かしらのヒントになるかもしれません。

 最初に書いておきますが、私は「地方」の元警察官です。
 警視庁や北海道警、神奈川県警、大阪府警、福岡県警のような、大きなところで警察官をしていたわけではありません。
 そのため、この記事に書かれていることは、地方警察を主とした内容となりますので、ご了承ください。



・警視庁と各道府県警察、そして警察庁

 警察ドラマや警察小説、そもそもニュースでもよく耳にする「警視庁」ですが、分かりやすく言えば、「東京都警」となります。
 福島県警や京都府警、広島県警、沖縄県警なんかと同じ、各都道府県に設置されている警察です。

 次に警察庁ですが、出入国在留管理庁や公安調査庁、海上保安庁なんかと同じ、省庁になります。
 その役割は、警視庁を含めた各都道府県警察の管理です。
 警察作品でよく聞く「キャリア」で構成された官僚組織となります。
 なお、警察庁には、各都道府県警察の優秀なノンキャリ警察官が出向しています。


・警察本部

 各都道府県警察は、警察本部と各警察署で構成されています。
 北海道警や警視庁などは「方面本部」が設置されていたり、愛知県警や福岡警察などは「市警察部」が設置されていたりしますが、地方警察に勤めていた私には馴染みがなく、よく分かりません。

 まず、警察本部は基本的に、本部長をトップとして、
    ・ 総務部
    ・ 警務部
    ・ 生活安全部
    ・ 刑事部
    ・ 交通部
    ・ 警備部
    ・ 警察学校
で構成されています。
 各部門の基本的な仕事は、各警察署の指導・監督・調整になりますので、これから書く各部門の役割について指導等をする、という認識を持っていただければ良いと思います。

 なお、大きな都道府県警察では「地域部」が、警視庁では「公安部」等が、福岡県警では「暴力団対策部」が追加で設置されるなど、それぞれの実情に応じた部門運営がなされています。

 更に言えば、警察庁では、これまで生活安全局が担当していたサイバー犯罪に関し、新たに「サイバー警察局」を設置していますので、今後、各都道府県警察でも、「サイバー対策部」が設置されるようになるかもしれません。
 実際、京都府警では既に「サイバー対策本部」が設置されています。


 本部長

 本部長とは、各都道府県警察のトップであり、キャリアです。
 キャリアとは、簡単に言うと、大卒で警察庁に入庁した官僚のことです。
 ノンキャリが本部長になることはありません。
 つまり、高卒でも大卒でも、各都道府県警察の採用試験に合格して警察官になった者が就ける役職ではありません。

 ちなみに、地方警察だとしても、本部長の階級はノンキャリが到達できる最高位である「警視正」の一つ上、「警視長」になります。
 大きなところでは、更に階級が上がります。

 なお、警視庁だけは、本部長ではなく「警視総監」と言います。
 警視総監は、階級と役職名が唯一一致する位です。
 ただ、警察庁長官よりは下となります。
 警察庁長官の階級は、法律に規定されていませんが、「最高位の警察官」とされています。


 総務部

 ざっくりした説明になりますが、総務部の役割は、
    ・ 本部長秘書
    ・ 公安委員会の庶務
    ・ 議会対応
    ・ 警察広報
    ・ 報道機関対応
    ・ 苦情処理
    ・ 会計事務
    ・ 留置管理業務
であり、どちらかと言えば、外向きの仕事が多い印象です。
 みなさんに馴染みがあるか分かりませんが、音楽隊も警察広報の一環になりますので、総務部に属します。
 なお、総務部もそうですが、各部門のトップとなる部長の階級は「警視正」です。


 警務部

 警務部の役割は、
    ・ 人事
    ・ 監察
    ・ 福利厚生
    ・ 研修や各種術科指導などの教養
    ・ 犯罪被害者等への支援
であり、警察組織の屋台骨的な仕事をしています。
 みなさんが目を引くのは、「人事」や「監察」だと思います。
 ちなみに、警務部トップの「警務部長」が本部長の次に偉いナンバー2になりますが、これもキャリアです。


 生活安全部

 生活安全部の役割は、
    ・ 犯罪抑止対策
    ・ 少年犯罪の取締り
    ・ 風俗事犯の取締り
    ・ 人身安全関連事案への対応
    ・ 福祉犯の取締り
であり、主に、特別法犯の取締りを担っています。
 ストーカーやDV、特異行方不明者などは、人身安全関連事案に当たります。
 なお、地域部がない地方警察では、
    ・ 110番受理などの通信司令業務
    ・ 自動車警ら隊
    ・ 鉄道警察隊
などの役割も担っています。
 更に、サイバー犯罪対策も、ほとんどの警察で生活安全部が担っています。


 刑事部

 刑事部の役割は、
    ・ 窃盗犯の取締り
    ・ 粗暴犯の取締り
    ・ 強行犯の取締り
    ・ 性犯罪の取締り
    ・ 暴力団の取締り
    ・ 知能犯の取締り
    ・ 薬物犯罪の取締り
    ・ 鑑識活動
であり、主に、刑法犯の取締りを担っています。
 みなさんが想像する、いわゆる「刑事」です。
 そして、刑事部トップの「刑事部長」がノンキャリ警察官の最高位とよく言われます。


 交通部

 交通部の役割は、
    ・ 交通安全教育
    ・ 交通安全施設の整備
    ・ 事故捜査
    ・ 交通違反の取締り
    ・ 免許事務
です。
 こちらも、みなさんが想像しやすい「白バイ」や「交通切符」が絡んだ仕事になります。


 警備部

 警備部の役割は、
    ・ テロ対策
    ・ 災害警備
    ・ 要人警護
    ・ 公安事件の捜査
    ・ サイバー攻撃対策
    ・ 機動隊
です。
 いわゆる「公安」「外事」「SP」など、何してるか分からないけど、その固有名詞は聞いたことあるよ、っていうところです。
 ちなみに、部門で言えば、私もここに属していました。


 警察学校

 警察学校は、読んで字の如く、警察の学校です。
 警察官に採用された直後の新人に、警察活動の基礎となる法律や実務を教える場所です。
 他にも、現役警察官に対するブラッシュアップ教養なんかも行っています。


・警察署

 日々の生活を考えれば、みなさんにも馴染みがあると思います。
 署には、本部の各部門に応じた、「課」が設置されており、それが、
    ・ 警務課(総務部の大半と警務部)
    ・ 会計課(総務部の会計事務や他一部)
    ・ 生活安全課(生活安全部)
    ・ 地域課(地域部)
    ・ 刑事課(刑事部)
    ・ 交通課(交通部)
    ・ 警備課(警備部)
になります。

 大規模署になると、警務課から「留置管理課」が独立したり、刑事課も「刑事第一課」「刑事第二課」「刑事第三課」に分かれたりすることがあります。
 逆に、小規模署になると、生活安全課と刑事課が統合されて「刑事生活安全課」になったり、地域課と警備課が統合されて「地域警備課」になったりもします。

 交番や駐在所、パトカーのお巡りさんは、地域課に属しています。

 なお、警察署のトップは「署長」であり、ナンバー2が「副署長」です。
 通常であれば、署長と副署長の階級は「警視」ですが、県内一の大規模署では署長の階級が「警視正」になり、小規模署では副署長の階級が「警部」になることもあります。


・おわりに

 ここまで書いてきたのは、基本的な警察組織の概要についてであり、しかも、地方警察を主とした内容となっています。

 なお、今後、別の記事において、警察本部の各部門の詳細、「刑事部の中には、捜査第一課の他に何課があるのか」などを紹介するつもりですので、お待ちいただければと思います。



 ここからはおまけで、私が警察官時代に、時の上司から聞いたちょっとした裏話になります。
 文字数は少し多めですが。

 この裏話の内容は、警察作品をより楽しむ一因にはなると思います。
 その作品が考察系のものであれば、こういうパターンがあり得るぞ、という考察の一助になるかもしれませんし。

 警察作品を作られる方には、それなりのヒントになると思いますので、一読の価値はあると思います。

 興味がある方は、ガチャガチャを回す感覚で、当たりかどうか、ぜひ、確かめてみてください。


・ちょっとした裏話

 警察本部長はキャリアだと書きましたが、キャリアとはつまり官僚のことです。
 官僚にもいろいろあるんだな、という話です。

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