【杉並区の公有地でのAV撮影の禁止を求める陳情】に対する我が会派の意見

6 陳情第 14 号『杉並区での公有地での AV 撮影の禁止を求める陳情』について、杉並区議会自由民主党を代表し意見を申し述べます。


〈採択とするには課題がある〉

私たち会派は、本陳情のような映像の撮影を「一律に禁止」することは、憲法 21 条が保証する「表現の自由」に鑑みふさわしくない、と考えます。
また、本陳情ではその対象範囲を区内全「公有地」としていますが、これには、区有地だけではなく、「国・都有地」も含まれます。
区は「国・都有地」について、何か規制ができるわけではありませんので、この点陳情審査には馴染みません。
さらに、陳情対象を「特定分野」に限定していることも疑問です。陳情理由が、保護者・区民の不安、であるならば、「成人指定作品」全般を対象とするなど、より広く陳情をされるべきです。
したがって私たち会派は、当該陳情を【採択】とすることには課題があると考えます。

〈「表現の自由」だから、という理由で不採択とは結論づけられない〉

陳情にあるような映像作品も「表現の自由」で尊重されることは当然です。しかしそれは無制限ではなく、憲法12 条「公共の福祉」の制約を受けます。
区では、撮影者が区立公園を使用する場合、その内容が「公序良俗」に反しないか、を事前申請があった時に確認します。
現在は、撮影場面の内容のみをもって、その判断をしています。 その際に、「公共の福祉」を考慮することになります。
本陳情のきっかけとなった映像の撮影場面は、公園内で「わいせつ行為自体」が行われているわけではありません。
よって、仮に今回制作者から事前に区へ撮影申請がされていれば、それを拒否することはできなかったと思います。
もっとも、当陳情の趣旨に鑑みて、今後は「公序良俗」の判断に際して、作品内容全体を踏まえて判断するなどの対応に改めることは、条例改正をしなくても可能であると考えます。
例えば、当陳情の契機となった作品では、「子供が普段利用する小学校隣接公園で、小児性愛・近親相姦が主題のアダルトビ デオを撮影する」ことが、「公序良俗」に反しないのか、です。
区は、「ドラマパートであればアダルトビデオ撮影も許される」、と答弁しています。しかしながら猥褻(わいせつ)作品は、ドラマパートであれば子供が視聴しても問題ない、というわけではありません。
この際、法曹界等、関係各所との協議をはじめ、真剣に議論を 尽くす時が来たのだと思います。
したがって私たち会派は、当陳情を、「表現の自由」に抵触する、 という理由で【不採択】と結論付けることはできませんでした。

〈陳情者へ職員・議員から、侮辱ともとれる発言〉

今回の陳情審査の場では、区幹部職員・議員からイチ区民である陳情者に対して、侮辱ともとれる発言がありました。
陳情審査の場において、陳情者にこのような辛い思いをさせる ことは、杉並区議会として決して望ましいことではありません。
これについては、先日陳情者から都市環境委員長宛に「発言者に謝罪を求める抗議文」が提出されています。
今後陳情者は、井口かづ子議長にも同様の抗議文を提出し、杉並区議会としての適切な対応を求めていく、と聞いております。

〈会派の主張は「趣旨採択」。しかし、委員会否決により、不本意ながら不採択にするしかない。〉

さて、当陳情が出される契機となった問題で、子供達、保護者、地域住民が恐怖や不安を覚えたことは、至極当然です。
こうした区民の不安を取り除く為に、私たち議員がいます。
したがって我々会派に、当陳情を、陳情者に一切寄り添わずに不採択にする、という選択肢はありえませんでした。
そこで、都市環境委員会において、当該陳情は【趣旨採択】が妥当である旨、主張をしましたが、圧倒的少数派であり、残念ながら否決されました。以上の経緯から、趣旨採択が否決されてしまった以上、選択肢が【不採択】しかない為、大変不本意ではありますが我が会派も、本陳情には不採択といたします。

〈区は事態を軽視している。対応は不十分〉

最後に、この問題について、未だに区は、公園管理者たる岸本聡子区長名義で、制作会社に抗議をしておらず、無許可撮影による制作者の占有料踏み倒しを容認しているなど、あまりにも事態を軽視しています。
区には、岸本聡子杉並区長名で制作会社へ厳正(げんせい)に抗議をするなど、適切な対応を図ることを強く求め、討論を終わります。

いいなと思ったら応援しよう!