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第一回杉村幻想短編文学賞結果発表

第一回杉村幻想短編文学賞(カクヨム)


選評について


始めに、個人に対する指摘やアドバイスはお伝えしません。

それはこの賞が小さくても幻想文学の賞だからです。人間とは未だに謎が多い存在です。そんな人間のインスピレーションという神聖な部分にまで意見を言える程、私は立派な作家ではありません。

なので、あくまで何故私がこの作品を選んだのかということを重点にお伝えしたいと思います。

何卒よろしくお願い申し上げます。


総評

初めての杉村幻想短編文学賞の開催に、20作もの作品が集まりました。まずは誠に感謝申し上げます。

選考結果は、入選3作品、選外佳作7作品となりました。

その中で個人選評は3作品の入選作について書こうと思います。


総評といたしましては、全体的に自分たちのインスピレーションを何とか作品として表現しようと、くすぶっていた印象がうかがえました。

結果的に惜しくも選に入らなかった作品はそこが主な原因だったかなと思えます。

ただ、私は文章がおかしくてもいい、理解されなくてもいい。幻想文学はそういうものだと思っております。

何も気にする必要はありません。むしろその点(感覚・センスオブワンダー・インスピレーション)をとても大切にしていただけましたら幸いです。

最後にクトゥルフ神話作品は数作程度でしたが、良い作品が多かったです。ただ、これからこの文学賞の目玉にしていきたいため、厳しめの審査となりました。クトゥルフ神話作品とタグをつけ堂々と真正面から向かってきた方々、とてもうれしく思います。そして選外佳作を取られた方々、誠におめでとうございます。

次回から【クトゥルフ神話作品特別賞】を創りますので。ぜひ挑戦してみてください。


       2024年1月   杉村 修


結果発表


入選(3作)

守宮 靄  水晶の砂漠にて

理霊・Fletcher 水が合わない

菊池藍 幻想世界の入口 

 

                    以上

選外佳作(7作)


山本Q太郎@LaLaLabooks 夏の思い出

Sim メガネガ

紅瑠璃~kururi 蔓薔薇の先に

二二兆 夏の少女

ポテトマト 「同じ訳ないじゃん笑」

高黄森哉 本の虫

のの(まゆたん@病持ちで返信等おくれます 玉響『老いた獅子と金の囲い』その悲劇~アンリ2世とノストラダムス

 

                         以上

個人選評

守宮 靄  水晶の砂漠にて

 

文章から伝わる表現が綺麗で、まさに宝石のような幻想作品でした。

言葉一つ一つに込められた美しさ。これはそう簡単に書けないだろうと思います。

『駱駝の柔らかい足が地に触れるたび、砂粒たちが擦れ合う。悲鳴にも嬌声にも聞こえるその微かな音と駱駝の背の揺れが緩やかで単調な音楽となった』―――【本文】

こんな文章が書ける作者の表現力の高さと感性には目を見張るものがあります。読後感も良く、まるで幻想又は空想という名の光が、部屋のカーテンの隙間から優しく差し込んでくる。そんな静かで贅沢な気分にも浸れました。素晴らしい作品でした。

 

 

理霊・Fletcher 水が合わない

 

最初は少し身構えてしまう作品かと思いました。

しかし、読んでいくうちに幻想と呼べるパズルが少しずつ組みあがっていく感覚。

『水』というものが何かを考えてしまう。不思議さを味わえるストーリー。

「貴女は……」いったい何者だったのでしょう。

何度も読みたくなる怪奇幻想的な作品だとも言えます。

とても楽しませていただきました。

 

 

 

菊池藍 幻想世界の入口

 

世界観を創るのがすごく上手く、独自の発想に惹かれました。

基本に忠実かといえばそうでもない。作品は幻想的感覚に寄せている。

上手いと言えばそうなのだが、その中に不安定なブレを残しているような作品。

これがまた上手くかみ合っているので二度美味しい。

作者のセンスオブワンダーを感じるそんな面白い幻想文学作品でした。

 

 

以上

 

入選の方々、この度は誠におめでとうございます。

第二回も2024年に開催する予定です。皆様、奮ってご応募ください。

何卒よろしくお願い申し上げます。

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