七つの大罪 No.417(怠惰)No.529(暴食)No.886(傲慢)
(第1回:怠惰)
おはようございます、自宅から杉本です。
今年の冬は非常に長く、つらいものでした。ようやく寒さがやわらぎ、春が訪れようとしています。
今日はこの季節に関わりのある、ある病についての記事です。
◆七つの大罪
今日のテーマは私の専攻だった神学から、七つの大罪です。
中世ヨーロッパで盛んに使われた「悪いコトの七分類」である七つの大罪は、実は聖書に書かれていません。エバグリオス・ポンティコスという修道士が、旧約聖書と新約聖書が書かれた時期の間に考えた「八つの誘惑」がもとになっています。
人間がもっとも陥りやすい罪について、グレゴリウス一世という偉い人がそれを七つにまとめ直し、ダンテの『神曲』で有名になりました。
◆悪魔や動物と結びつけられる
七つの大罪は悪魔や動物と結びつけられました。16世紀~17世紀に悪魔学が発達すると、それらが書物にまとめられて有名になります。
七つの大罪は「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」です。
今回はこれらのなかから「怠惰」を紹介します。
◆悪魔の力はどのくらい?
キリスト教およびユダヤ教において、罪というのは悪魔がもたらすものでした。この世界では神、悪魔、人間の間に、明確な強さの順序があります。
神>悪魔>人間
上記のようになっているため、人間は自分の力で悪魔に逆らうことができません。しかしながら、悪魔は神よりも弱いので、信仰深く、神のそばにいる人間は、その心に悪魔が忍び込むことはありません。
◆何もできなくなるという罪、怠惰
以上を踏まえて、怠惰という罪をみてみましょう。怠惰の罪に関する悪魔はベルフェゴール。動物は熊が対応します。
近年の研究により、怠惰の罪は「単なる怠けぐせ」のことではないことが明らかになっています。中世ヨーロッパの社会は現代以上に厳しく、どうしてもやる気が出せなくなってしまった労働者や修道僧が数多くいました。教会はそういった人々を「悪魔が入り込んだ人々」と分類し、怠惰の罪にさだめました。しかし、近年の研究の結果、どうやら彼らが「ある病気」だったらしいことが分かっています。
うつ病です。
中世にも、うつ病はあったのです。
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