16ミリフィルムの映画上映
2017.12.18 に書いた記事の転載です
映画研究家 円尾敏郎さんの16ミリフィルム上映会を行いました。
とにかくフィルム映画に関して、日本の中でもトップクラスの知識を持っている方じゃないかと思います。こんなすごい方が香川出身の方にいるなんて!
ご実家が香川とのことで、年に数回お帰りになるのだとか。
高松でなく、多度津?!とびっくりされたのですが、快く来てくださりお店も気に入っていただけたようで嬉しかったです。
巨大スクリーンを張りまして、雰囲気が出て来ました。
上映前にテスト上映します。
もう、古い時代の映画館のよう。
映写機は眩い光を放ち、大きな機械音が唸り声をあげています。
家電も機械も、静音、無音がもてはやされる時代です。
こんなに重い唸り声を上げる機械音を聞くのはいったい、いつぶりなのでしょうか。
16ミリフィルムを上映する映画館は、日本ではもう1パーセント程度なのだとか。
今では、何もかもがデジタルな時代です。
モノの完璧さや快適さとサービスのマニュアル化によって、提供者との関係に断絶が起こり得られて当然と受け身になり、近年些細なことでもクレームも増えてたのではないかと思います。
フィルム映画は、ハプニングが付き物です。
途中でフィルムが切れることもあり、フィルムがよく燃えて火事になる時代もありました。
映写機だってトラブルを起こします。
これがアナログ感!
でも、背後で映写機の技師さんが一生懸命、フィルムを回してくれているのは伝わるのです。
スクリーンに向かい私たちの後ろに、フィルムを上映してくれる映画技師その人が居て、アナログなフィルムの危うさと脆さと不安定さの中で映画が上映されるのです。
そのことによって、映画がもともとどういった存在であったのかを想わされました。
完璧でも快適でもないく、不便かもしれないのに、そのことによって、受け取る側にも、受容力が出てくるような気がします。
一方、実際に進歩によって快適さや完璧さが当たり前のクオリティになっていくと、些細なことでクレームが生じるような気がします。
映画とは少し離れたかも知れませんが、そんなことも考えさせられました。
私の大好きな映画に「ニューシネマ・パラダイス」というイタリア映画があります。
劇場に集い、熱気にあふれて映画を観る人々と、映画技師の姿。映画にどっぷり浸って育っていく青年。
あの夜は、私もニューシネマパラダイスの劇場に座って映画を観ているようでした。
上映したのは、イタリア映画『鉄道員』