セールス出身のPM2年生のスクラム導入を含めた奮闘記
こんにちは。クロスマートのPMの杉原です。
アップデートした宣材写真とともに失礼します。
前回のnoteからまさか約1年ぶりの投稿になるとは思いもしませんでした。
なにか理由がないと書かないことに気づいてしまったため、プロダクトマネージャーAdvent Calendar 2021に乗っからせていただくことにしました。と、いうことでこの記事は22日目の記事です。
( note、アドベントカレンダーの埋め込みまでできるんですね、すげえ)
21日目の投稿はheyでSTORES予約のプロダクトマネージャーをしていらっしゃる宮里さん(@miyahirok)の「プロダクト開発サイクルを可視化し、プロダクトマネジメントの民主化を目指す話を書きました」でした。
PMが1人から複数人に増える組織にとってはとても読み応えのある内容かと思います。(私はPM1人だけしかいないのでブラックボックス化してるところあるなーと耳が痛い気持ちでした。)こちらもぜひ読んでみてください!
1. 記事を書いてる人はどんな人か
改めまして、杉原(@sugihara_xmart)と申します。
今はクロスマートという業務用の食品卸売業者向けSaaSのプロダクトマネージャーをやらせて頂いています。PdMよりPM派です。
元々は新卒入社からB2B新規営業→営業企画→フィールドセールスとセールスキャリアが長いです。2020年7月にPMに従事し、今でだいたい1年半が経過しています。※詳しい自己紹介は去年のnoteにおまかせすることとします。
2. この記事にはなにか
自分の2021年の1年間の経験の棚卸しを兼ねて、PMとして(PMの領域じゃないこともありますが)なにをやってきたかを書き連ねようかなと考えています。
特に、
・エンジニア採用未経験だけど、採用頑張ったよ話
・非エンジニア出身PMだけど、スクラム開発を導入した話
・最近のプロダクトマネジメントの取り組み話
あたりを書いていければいいなあと思ってます。
※PMではなくEM(エンジニアマネージャー)の仕事の領域な気がとってもしますが。
想定読者
スタートアップなど規模が小さい会社の一人目PMで、PM領域以外にもいろいろやらなきゃいけなくてかつ、社内にその知見が無い方
杉原の最近の動向が気になる稀有な方
今はPMではないけども今後PMを志す方
3. クロスマートはどんな課題を解いているのか
前提知識があるほうが今後の話が入りやすい気がするので少しだけ。
クロスマートのサービスの提供領域は食品流通です。
主に飲食店の仕入れ(食材の発注)と食品を届ける業務用の食品卸売業者の受注領域がメインです。今でこそ「食べチョク」さんを始めとした産地直送系のサービスが増えてきていますが、やはりラストワンマイルの物流面を抑えている中間業者である食品卸売業者がまだまだ仕入れ先として主流です。
飲食店の発注は令和のこの時代でも、未だに電話・FAXが主流で、1日あたり数百〜数千のFAXを受ける企業もザラにあります。
コピー機が十台弱並ぶ事業所も決して珍しいことではありません。
メインはLINEで、LINEが利用できない場合はブラウザで、それも難しければFAX-OCR用の用紙で、と複数のインターフェースで発注可能です。
COVID-19の影響を大きく受けた業界ですが、
それがお客さまのIT投資のきっかけにもなり、ありがたいことに非常に伸びています。
4. 今のプロダクト・チームのこと
現状コア機能である受発注機能に加えて、オプション機能(販促・決済・空容器・カタログ)が大きく4機能あります。
2021年は1年間でコア機能である受発注のトラクションが非常に伸びた1年だったなと振り返っています。
プロダクトチームは、現在このような規模感です。
(1月入社予定の方も含めているので実際は現状はエンジニア9名)
自身がPMになってはじめてのメンバーの退職も経験し、割と精神的に来るものはありましたが、いい機会と捉えて組織の堅牢性を高めていくことに今はチャレンジしています。
5. 当時の課題
プロダクトチームの課題はフェーズごとに色々変化してきましたが、
根強い課題は以下の3つでした。
これらの課題に対して、2021年6月からクロスマートに力を貸してくださっている技術顧問の三上さんに泣きついてご相談して一緒に解決策を模索したり、「Meety」で「エンジニア組織」や「エンジニアマネージャー」で検索していろんな方の知見を共有していただいたり、とにかくいろんな方の力を借りて前に進んでいったので、決して自分だけの成果ではないのですが、書きやすさの観点から一人称で記載させていただきます。
6. 採用頑張った話
→ PMが採用も頑張る、というキアコンなソリューションを打ちました。
※ キアコン(気合と根性)という言葉はSpeee菅沢さんから拝借しております。この登壇内容もとても素敵だったのでしれっと共有。
当時の自分はビジネス側の新卒採用リクルーターの経験はあれど、
エンジニア・デザイナー採用に関しては完全な素人でした。
すでに参画してくださっているエンジニア・デザイナーの方の情報やお話を元に求人票を書き上げ、そのあとはエージェントが紹介してくれる候補者やスカウト媒体で絞り込んだ候補者情報を一定選別し、毎週技術顧問の三上さんに壁打ち、その思考のズレや見るべきポイントの違いというのを週次ですり合わせる、という作業を2ヶ月ほど続けていきました。
実際にに求人票を見ながら、感じたことや評価ポイント、反対に怪しいポイントを発話していただき、勘所をあわせていきました。
続けていくうちに、クロスマートの技術スタックはPython , Typescriptメインなのですがその経験以上に「WEBアプリケーションの開発経験があるか」や「機械学習やアルゴリズムに強みが寄りすぎていないか」「アーキテクチャ領域まで踏み込んでもらえそうか」などの条件が今のプロダクトチームにとっては重要で、同一技術スタックの経験が長くてもそこがマッチしないと、スカウトをそもそも打たない、ようなことも行うようになりました。
三上さんの並走もあり、今では7-8割は自分で判断できるようになりました。
ただし、候補者の選別ができたとしても、面談につながらないと、それはそれで意味がありません。最初はスカウトツールのベンダーさんからいただいたスカウト文章例を元にスカウトを打っていたのですが、作り込もうと思えば思うほど筆は重く、また思っている以上に候補者の方はスカウトを受け取っているので、なかなか琴線に触れるような文章を一朝一夕には書けません。ちなみに、クロスマートではスカウト媒体として現在「Findy」を利用しているのですが、Findyは双方がマッチしたタイミングではじめてメッセージが送付できます。
なので、敢えてメッセージを作り込まず、マッチしたタイミングで反射的に
と短文でメッセージを送るスタイルに途中から変えました。
もちろん一定返信の来ない候補者の方はいますが、逆に物珍しかったのか何名かの候補者の方には返信をいただくことができ、面談に繋がりました。
またこの運用を続けて、直近2ヶ月ほどは返信率が悪いので別の方法を考えなきゃなあ、と思っていますが、作り込んだ文章以上にタイミングを逃さない、というのも大事かもしれないと感じた次第でした。
結果としては、計2名の正社員エンジニアと3名の業務委託のエンジニア、1名のインターン生を2021年に新しくプロダクトチームに迎え入れることができ、まだまだ採用は強化していきたいものの、一旦難所は越えたかな、というところです。
名もなきスタートアップが優秀なエンジニアの方と出会える方法があればぜひお知恵を借りたい気持ちでいっぱいです。
余談ですが最近はPMが採用をしたほうがよい!という話も散見されるので、積極的に採用はやっていきたいなと思い、採用に関わるPMの方はぜひともお話させてください。
7. スクラム導入した話
→ まずは既存のツール(notion)でチケット管理導入し、その後JIRA・スクラム開発を導入しました。
技術顧問の三上さんに参画していただく前はチケット管理すら導入しておらず、代わりにGSS(GoogleSpreadSheet)に並べて記載し、要件定義はnotionで管理する、のような管理方法でした。
そうなると、CSからの対応依頼や小さい改修はSlackベースでやるという形だったので、管理が煩雑になっている状況でした。
まずは導入コストをとにかく小さく!ということでnotionでカンバンを作り週一でタスク管理をする形にしました。
ただしnotionのカンバンでは、ベロシティ管理やバーンダウンチャートなどの作成は相当工夫しないとできなさそうなこともあり、タスク管理ツールの選定をすることにしました。
こんな記事も最近見かけたので出会うタイミングが違えばNotion続行もあったのかな・・・
そこでツールとして選択肢があがったのが下記の4つでした。
JIRA
ClickUp
Zenhub
Backlog
今回利用スコープを主にエンジニアにしぼり、経営サイドは直接見ない形にすることでエンジニア好みのUI・UXにし、一通りのツールを全員で触ったあと投票で一つのツールに決めました。
そうすると、満場一致でJIRAが選ばれ、晴れてAtlassian帝国に入国することになりました。(まだJIRA以外にはAtlassian製品利用しているわけではないですが)
選定理由として「業界No1のツールを利用することで、今後のメンバーが利用しているケースも多いだろうこと」「また逆に今後クロスマートを卒業するメンバーが出てしまったときにもJIRAを活用することが資産になるであろうこと」何より「JIRAの選択・導入に対して熱量のある詳しいエンジニアがいること」が最終的な決め手になりました。(気づいたらごりごり設定してもらい、毎週のようにJIRAが見やすくなっていきました)
JIRAの導入に加えて、「スプリント計画」「デイリースクラム」「レトロスペクティブ」という教科書的な運用を今は2週間のスプリントでやっていますが、所感としてはめちゃめちゃ良く、他のエンジニアのタスク状況を確認したり、「共有・相談・困っていること」の発信機会が増え、チーム感が非常に出てきています・・・
世にあるメジャーな開発手法はやはりそれなりの理由がありますね。
これから世の先駆者の方々が直面している運用課題にぶつかることもあるんでしょうが、守破離を守ってよくしていきたい気持ちです。
8. プロダクトマネジメントもやってます
上記の2つはどちらかというとPMよりEMやスクラムマスターがやるような内容でしたが(そんな役割の人は社内にいないのでキアコンで全部やる、なのですが)もちろん向き合うべきお客さま、ユーザーに対してもアプローチしています。
それまではエンジニアが作成したmetabase(BIツール)のダッシュボードからCSVを出力しGSSにローデータ突っ込んでグラフ化してましたが、「metabaseにデータあるならそれでビジュアライズすればいいじゃん」ということでKPIのモニタリングシートを作成し、それを週次定例で共有するようにしたり、
新規機能が追加されればその数値感がわかるクエリを追加して進捗が追えるようにしたりしています。
また今回初のNPSを実施してそのフィードバックをいただいたり、
タスクベースでのユーザーテストを設計し、オンラインで実施をしたり、
実際に利用しているシーンにお邪魔して、使う様子を再現していただいたりと今まで以上にユーザーの一次情報を取りに行く動きを増やしています。
お客さまの感情を直接教えていただくことは稀ですが、利用シーンを知ることで、また対話を重ねることで見えてくるものがあるなあと思っています。
(この辺を今設計と実行基本一人でやってるのでめちゃめちゃ大変ですが)
9. お話しましょう
ということで1年間を振り返ってPMとして(それ以外も多分に含みますが)行ってきたあれこれを記載してみました。ウルトラCや銀の弾丸は多くないですが、それでも基本に忠実に、やるべきことをやってきたつもりです。
PMという役割に囚われすぎず、プロダクトの成長に必要なことをキアコンで全部やっていくぞ!というスタンスがまだまだ20-30名の組織には必要なアクションかなと思い、進んで名もなきタスクを拾っていくようにしています。
とはいえまだまだ学ぶことばかりなので、杉原の知見が少しでも役に立つ方はぜひお話しましょう。もしくは今のクロスマートの課題や今後に関してアドバイスをくださる方、ただただ近況報告をしてくださる賑やかしな方までゆるーくお話しましょう。
TwitterDM、大歓迎ですし、Meetyでもお待ちしています。
https://twitter.com/sugihara_xmart
なんだかんだ長くなってしまい、
かつ駄文になってしまった感は否めないですが、以上です。
明日、23日目は_mathken(@_mathken)の「非エンジニアによる1人SaaS開発を模索する本の一部を公開します」です!
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