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10代20代の「着る服がわからない」人へ

 アーティストの松尾たいこさんが、私の話に興味を持ってくださり、100日間洋服を買わないことに成功された。

 次いで、1年間にもチャレンジされるという。

 その模様はブログで実況されていて、とても興味深い。そして何度目かに更新されたブログに、とてもいいことを書いてらっしゃったので紹介させていただきたい。

 それは、10代~20代の若い人は、買わないチャレンジをやるべきじゃないというということ。

 完全に同意だ。

 これまでも、若い友人に「やってみたい」と相談されることが何度かあったけれど、「せめて30歳になってから」と答えてきた。

 若いうちに冒険しなかったら、「らしさ」の獲得はどんどん遠ざかる。

 それにみずみずしい肌があれば、いくらでも安い服や面白い服が着こなせる。いろんな着こなしのバリエーションを楽しんだらいいと思う。

 ただし、本当にいいものを見る目を養うためには、やっぱり本質には触れたほうがいい。

 それは絵画でも、舞台芸術でも、映画でも、なんでもいいんだけれど。

 わたしがおすすめしたいのは、買えないとわかっている高級ブティックに、遊びに行ってみることだ。そしてできれば、あこがれの一着に袖を通させてもらう。それが怖ければ、吊るされている洋服の生地をそっとなでて見るだけでもいい。もっと臆病だったら、高級ブランド専門の古着屋さんに遊びに行ってみると、時代が変わっても愛されるいいものの凄みに触れられる(ちなみに30代の私も、高級ブランド専門の古着屋さんでヴィンテージのお洋服を見て回るのが大好きです)。

 似合いもしないゴスロリを着たり、センスもないのにエスニック系に走ったり、パジャマみたいな格好で学校に行ってしまったり、わたしもたくさんたくさん失敗をしました。でもその失敗こそが、いまの財産だ、と胸を張って言える。

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杉田千種
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