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産院日記 3日目

まだ生まれたてすぎて、この世に順応しきれてない娘が、夜をぶっ通しで寝てくれてしまった。私はゆうゆうといつも通り6時に起きて、NHKのニュースを見る。

7年前、息子を産んだ時、私はひどい貧血で、とてもではないが母子同室できる体調ではなかった。産んだその晩は、助産師さんの判断で生まれたての息子は新生児室に預かってもらっていた。だから内心ドキドキしながらの母子同室スタートだった。しかし教えてもいないのに、娘は夜中、ついに一度も起きず、私の方が調子が狂って何度か目を覚ましてしまった。

8時からの朝ごはんの時間に、娘は新生児室で体調チェックをしてもらう。羊水や血を飲んでしまったようで、だいぶ吐き気がある様子。この時点でも私の方は母乳がよく出ているのだが、娘はまだ飲めないらしい。

生まれつき個性ってあるものなのね、と当たり前のことを思う。息子は生後1日目からがぶがぶ母乳を飲み、足りないと泣き叫び、助産師さんが与えられるギリギリの量まで糖水を作って持ってきてくれていた。今回はひとまず搾乳をして娘のタイミングを見ることになった。

ちなみにこの産院では、ドライテクニックといって、生まれたての赤ん坊を産湯にいれずに、体を拭いて、胎脂をとりすぎない、という方法が採用されていた。血なまぐさくなるのかな…と心配だったけど、赤ちゃんらしいいい匂いで安心する。

娘は新生児室から帰ってきても、まだぐっすり寝ていた。早く昼と夜の違いをわかってもらおうと、昼は見もしないテレビをつけっぱなしにしてみることにした。経産婦の強さは図々しさだ。私も娘が寝ている時間には積極的に睡眠をとった。

とにかく好きな時に寝られる。その点においては、コロナのせいで、お見舞いの人が誰も来られないのは悪くなかった。お昼ごはんを食べて、また惰眠を貪っていると、明日アロマリフレクソロジーのサービスがあるということで、セラピストの方が体質の聞き取りに来てくださった。娘はよく寝るし、ぐーぐー寝ていれば美味しいご飯がでてきて、おまけにマッサージつきとは、なんて幸せなのだろう!

おやつを食べ終わると助産師さんから早くもシャワーの許可をいただく。「赤ちゃんのお迎え、髪の毛の手入れなども済ませて、身支度が整ったらでいいですからね」と優しい言葉をかけてもらう。お言葉に甘えて、いそいそとシャワー室に行き、ゆっくりめに入浴を済ませる。シャンプーやボディソープはすべてジョンマスで揃えてあった。我が家よりハイクオリティだ。

夕方まで娘は引き続きよく寝てくれていた。夕食をゆっくり食べたまではよかったのだけど、数時間後から、飲まなかった娘が突然覚醒。最終的には24時ごろから明け方まで1時間おきの授乳となった。

またも助産師さんに「辛かったら預かりますからね」と言っていただいたが、麻酔分娩&至れり尽くせりの産院生活で、私は完全に気力を取り戻していた。「なんとか大丈夫です!」と明るく言い、添い寝しながらの授乳をして、細切れながら数時間分の睡眠をとることに成功。

一番辛かった2日目を乗り切った。

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杉田千種
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