はじめてのオートクチュール①
1年間服を買わなかった結果、服を見る目が確実に肥えた。
さらに「1着買ったら3着捨てる」という決まりを自分に課すことにした私。
「さぁ春夏ものを買おう!」と意気揚々とユニクロに向かったが、欲しいものが何も見つからないという事態に陥った。あまりに悔しくて、意地になって欲しいものを探したが、やっぱり、風合いやかたちやサイズ感や、何かしらが気になって、購入まで踏み込めない。
更に困ったのが、リトル・ブラック・ドレス選びだった。
このほど、数年来愛用していたH&Mのリトル・ブラック・ドレスが、ついにくたびれた。それは60年代風のボックス型でほんのりミニ丈、8分袖に大きな白いポケットが下の方に二つ付いているというもので、オールシーズン着られるという優れものだった。お手頃価格で購入したのだが、カジュアルにも仕事にも、ちょっとしたパーティにも着ていけて、さらに合わせるタイツの色を変えるだけで印象がガラリと変わるところが、とても気に入っていた。
これに替わるアイテムが、いっこうに見つからない。トップメゾンのコレクションはモードすぎるし、時々いいなって思うシンプルなものは目の球の飛び出るような値段だし、そうかと思うと百貨店に売っているものは、全然サイズが合わない。量販店に売っているものにも、欲しい形のものはない。
袖ありリトル・ブラック・ドレスは、何かのときのために、絶対に一着は持っていたい。それはもうおしゃれというより、実用品としての意味合いの方が強い。時間のないライフスタイルを送る方には、きっと共感していただけることだろう。リトル・ブラック・ドレスは、服選びに関して思考停止しているときでも、女性をそれなりに見せてしまう魔法のアイテムだからだ。
全く同じ形をオーダーメイドでつくれないものかと思っていたが、インターネットで検索して見つかったのは、おおよその形が決まったセミオーダーのものばかり…。
困り切っていたところに、救世主が現れた。しかもその人は、私が考えていたよりずっとずっと素敵な方法を教えてくれたのだ。
それは、遡ること2か月。3月のこと……(続く)。