1年間服を買わないで過ごした私に訪れた驚愕の変化について ④
ライフスタイルと死蔵服の行方
私の職業は漫画編集者で、家では一歳男児の母。
しかも所属しているのは少年漫画の編集部で、部員はみんなカジュアルな格好をしている。ここで一人で着飾るのは、私の性格上なるべく避けたい。
現時点では、週7日のうち、5日はカジュアルな格好をしている。休日も子どもを預ける日以外は、ジーンズにセーターやTシャツで走り回っている。靴はほぼ、スニーカーかブーツだ。
文芸編集者をしていたときは、それでもパーティとか作家さんへの取材とか(新聞社の取材なんかだとたいてい相手がスーツを着てらっしゃるのでこっちもきちんとした格好をしていっていた)で、仕事で綺麗な服を着る機会がけっこうあったのに、漫画業界に来て、それは年に数回というレベルに落ちた。
そういうわけで、クローゼットの中にきらびやかな死蔵服がどんどん増えていくことになった。
バレンシアガの極彩色コート、マルニのワンピース、エリザベス&ジェームスの変形ジャケット……
クローゼットを開けるたびに暗い気持ちになった。
そんな時に目にしたのが、日経DUALのこの記事だった。
「年末ファッション特集(1)年末の捨て時に必見! 生かせる服、捨てる服、どこが違う?」という素敵なサブタイトルがついている。その中の文章に、私は釘づけになった。
古い服を”お直し”するというのは、あまりなじみがないかもしれませんが、ぜひ活用していただきたいテクニックです。
イチオシする理由は、単に「もったいないから」というものではなく、昔の服のほうが布地がいいという事実があるからです。10年以上前の服は、ファストファッション全盛期の今と比べて、使っている布地が上質で丈夫なことが多いんです。だから、型を直すだけで、新品同様に復活する可能性を秘めているのです! ぜひ一度試していただきたいです。
確かにそうなのだ。古くていい服って、形に難があっても、光沢や発色がよかったり、厚みがあったり、総じて”いい生地”を使っているのである。ここでは10年前、といっているけれど、ハイファッションのものだと、年代を問わず、いい生地がつかってある。
もう着られなくなってしまった服を、生地として再認識する。
嬉しい発見だった。
もちろん、服の形になっている生地なので限界はある。けれど、この発想の転換によって、多くの死蔵服が救われることになった。
ちょっと長くなりそうなので、ここで切って、次回は、お直し行脚について書きます。