「心がフワッと軽くなる友情物語」
普段の何気ない日常、当たり前、
自分の生き方にふと疑問を持ってしまう人。
この作品を読んでそんな"普通"や"生き方"に対して少し考えさせられるような、頭がふわっと軽くなるような気持ちになりました。
「君と宇宙を歩くために」
泥ノ田犬彦
勉強もバイトも続かない。そんな日常をダラダラと消化していたヤンキーの小林。
そんなある日、彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。小林が先輩から怪しいバイトに誘われているところを宇野に助けられたことをきっかけに小林は宇野に対して興味を持つようになる。
宇野のことを知れば知るほど彼の境遇や、生き方に心を揺さぶられる。そして自分も変わろうと行動する小林。〝普通〟ができない２人が壁にぶつかりながらも"普通"の日常に奮闘する友情物語。
ここから先はネタバレを含みます。
人は誰しもが1人で生きる事ができません。
生きる上で他者との会話や関わりなどコミュニケーションを重ねていく上で社会にとって身の回りにとっての"普通"や"当たり前"といったものを構築していくようになります。
しかしふとした時に"普通"がわからなくなってしまう、迷ってしまう、自分にとっての"普通"ではないものに対しての理解を諦めてしまう。そんな時ってあると思います。
この作品はそんな"普通"ではない2人が交わり互いに影響を与え、生き方を模索していくようなお話です。
物語はヤンキーの小林が通う学校に明らかに"普通"ではない宇野が転校してくるところから始まります。
小林はある出来事をきっかけに宇野の境遇と彼なりの"普通"に生きるために使うノートを見ることになります。
悔しくても
泣くのは家に帰ってからにする。
→何が悪かったか考えてみる
①お姉ちゃんに聞いたり相談してみる
②〜〜〜
宇野は記憶こそできますが沢山のことを同時にこなしたり、臨機応変なリアクションや動きをする事が"普通"にできません。
そんな宇野の境遇に
(何かわかるな、俺もバイト先でそんな気分になる)と少し共感した小林でしたがその直後の宇野の言葉にハッとさせられます。
「でも僕は宇宙を歩きたい！だからテザーを作りました！ノートは僕にとっての命綱です。」
(ここでいうテザーはノートのことです。)
そんな宇野の言葉に単純にすげーなと感嘆する小林。人と同じように生活するには工夫が必要、、俺もそうなのかなとひとり帰り道で思いにふけります。
そして翌日のバイト先。
小林は少し勇気を振り絞り先輩に
「仕わけ品のこと教えてもらっていいすか
メモしたいんで、、」
小さな一歩を踏み出し始めます。
(まずはひとつ！)
前向きな一歩を踏み出した小林ですが
すぐに上手くいくはずもなく
レジの業務を失敗してしまったことに対しての
陰口を聞いてしまいます。
「ジャマすぎるだろ！どれだけ頑張っても底辺高校のヤンキーだろ？」
その先輩からの言葉を聞いてしまった小林。
(あ〜〜〜辞めてぇ。浮かれてただけじゃん。
一個できるようになったからって何だよ。
なんも変わんねぇじゃんかよ。
バカにしやがって、クソっ！)
そんなやるせない気持ちになってしまいますが
いや、ちがう、そうじゃないと宇野のことを思い返します。
折れたくねぇ
迷惑かけるのは恥ずかしい
わかってねぇのがバレるのは怖い
でも宇野だってそれ乗り越えて来てんだろ
そうだよな、じゃあ泣くのは今じゃねえんだよな
「レジ間違っててすみませんでした！！」
小さな一歩から大きな一歩に変わった瞬間でした。(宇野と話してから前より少し毎日が楽しくなってる。完璧ではないけど。)
そう思う彼の横顔はどこかスッキリしていました。
毎日はわからないことばかりで
時々ひっくり返ったり
うまく動けなくなったりする
でも
そんな宇宙みたいな毎日を歩きたい
一歩ずつゆっくりだけど頑張るんだ
俺もお前も
宇宙を歩くために
ふと自分の生き方を振り返ってしまうような、そんな1話でした。
読切を読んだ後のような充実感あふれる第1話で、今後もこの続きが読めることを嬉しく思います。
コミックDAYSのアプリで読む事ができますので気になる方は是非！是非読んでみて下さい。
お付き合いいただきありがとうございました、
今後も紹介したい衝動に駆られ次第、順次記事を更新していく予定ですのでよろしくお願い致します。
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