読書メモ:原田マハ『旅屋おかえり』
アラサータレント「おかえり」こと「丘えりか」が、何らかの事情を抱えて行きたい場所に行けない人の代わりに旅をしてくる「旅代理業」をするお話。
いろんな依頼人、いろんなケースがあった。お年を召したご両親の金婚式のお祝いに思い出の地へ、とか、遠く離れた恋人へメッセージを届けに、とか、心がぐんぐんあたたまる旅。かと思えば、ご当地グルメ食べ比べ、地酒の飲み比べ、なんていうリサーチまがいの役得旅。病気で亡くなってしまった娘さんの遺言で、「私のかわりにお母さんと一緒に温泉旅行に行ってください」なんていう、涙なしには語れない旅もあった。
「毎日、この宿で、いろんなところから、いろんな目的でくる旅人に会ってるス。無目的な人も。何しとるのかわからね人も。んだども、みんな必ずなんがどごみつけて帰っていかっしゃります」
旅は、出かけるだけで、すでに意味がある。そう思わねが?
大志さんの言葉は、実に素朴だった。
「旅屋」を通して、つくづくわかったことがある。それは、人の数だけ旅模様がある、ということ。
あたりまえのことかもしれない。けれど私は、「旅をしたい誰か」に代わって旅することで、そんなあたりまえのことが、なんだかとてつもなくすばらしく感じられ、ときに切なく胸打たれた。たとえ同じ季節に同じ場所へ行ったとしても、旅する理由や目的が違えば、まったく違う旅になる。
和紙を作ること。それは、真理子さんにとっては、「心の旅」だったに違いない。和紙に向き合うことで、自分の心の中へ、ふかく、ゆっくりと旅してきたのだ。愛する人たちに、思い出たちに手を振って、どうにか帰ってきたのだ。ひとりで生きていかなければならない現実へと。
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骨折した母を病院へ連れてく。待ち時間のお供がこの本。すぐ終わると思ったら3時間半かかったので1冊読めてしまった! 母が既に読み終えてたので(母娘共通の本読み仲間からおすすめ頂いた本)、ちょくちょく「面白いねえ」と話しながら読みました。この本、病院の待合とセットで思い出すと思う。
1件目で紹介状書いてもらって午後は大きい病院へ。こっちはなんか彫像とかあって美術館みたいだし、チェーン店のカフェも入っててびっくり。病院が「素敵な空間」なの病院感なくて良いなぁって思いました。待ち時間で仕事もはかどった。手術はいらないそうで良かった!
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