マンスリーマンションの消費税

今回は、消費税が非課税とされる住宅の貸付について書いていこうと思います。この記事を書こうと思ったきっかけは、クライアントからレオパレスのマンスリーマンションについて質問があり、意外に深い論点だなと思ったので書いています。(単純なようで難しいなと思いました)

住宅の貸付の一般的な取り扱いについては、下記タックスアンサーをまず確認してみてください。
タックスアンサー No.6226 住宅の貸付け

今回の記事を書くきっかけとなったレオパレスのケースについて考えてみたいと思います。
それでは、具体的に従業員が出張の際に利用するマンスリーマンションについて考えてみましょう。

まず、出張期間が1月未満のものについては疑義が生じる余地はなく、課税仕入になります。こちらは非課税となる住宅の貸付から貸付期間が1月未満のものが除かれているからです。

次に、出張期間が1月以上の場合を考えてみましょう。深く考えなければ従業員が住むマンションを借りているだけなので、住宅の貸付に該当し、非課税になるのではと考えると思います。
ただ、もう少し掘り下げたい部分として「住宅」とはなんぞやということです。
消費税法では下記のように規定されており、「住宅」とは「人の居住の用に供する家屋」が該当することになります。

消費税法 別表第一
十三 住宅人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付

人の居住の用に供する家屋」と言われても、まだピンと来ないと思います。
そこで、裁決事例なども参考にしていきます。ただ、消費税ではこの論点について争われているケースはあまりありませんでした。。
居住用として争われている事例が多いのが、所得税の居住用財産を譲渡した場合の特例でしたので、直接参考には出来ませんがこちらを少し見ていきます。

裁決事例集 No.19 - 107頁
 租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定の適用について、個人が所有する唯一の居住用家屋を譲渡した場合には、複数所有する家屋のうちの一つを譲渡した場合と異なり、「主として」であると「従として」であろうと、その者が、その家屋に居住している事実が少しでも認められる限り、居住用の認定を緩やかに解釈して特例の適用を認めるべきであると主張するが、「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その家屋への入居の目的、その者及び配偶者等の日常生活の状況その他の事情等を総合勘案して判断すべきであって、本件譲渡家屋は、請求人が管理を兼ねて請求人の仕事を処理するため旅館やホテルの利用に代えて一時的に利用したものであり、生活の拠点として居住の用に供していたものとは認められないから、当該家屋の譲渡所得については、同条同項の規定を適用することはできない。
昭和54年9月20日裁決

上記にある通り、「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その家屋への入居の目的、その者及び配偶者等の日常生活の状況その他の事情等を総合勘案して判断すべきとされています。

また、具体的にレオパレスの契約書には「本物件を居住利用する」というチェック欄があり、居住利用の場合は消費税を返還する旨が記載されており、さらに、居住利用とは「入居者が自己の生活の本拠を本物件に移す場合を指す」と注釈されています。

これらを考えると、出張期間が1月以上なので非課税になるという単純は話ではなく、マンスリーマンションへの入居の目的などを総合的に判断し、結論づける必要があることがわかるかと思います。

例えば、配偶者や子供が持ち家に引き続き住んでおり、単身出張するようなケースについては非課税ではなく課税仕入になると思います。(単身赴任ではなく、あくまでも会社の規定上も出張になっている前提)

この論点については、社宅に係る給与課税とも関係があると思うので、掘り下げると面白い論点だなと思ったので記事を書いてみました。
長くなってしまったので、ここら辺で終わりにしようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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