獲物の分け前〜山川恵津子「編曲の美学 アレンジャー山川恵津子とアイドルソングの時代」
山川恵津子さんといえば、渡辺満里奈さんの『EVERGREEN』辺りから名前を意識するようになったんだったかな?
いや、岡本舞子さんの『ハートの扉』が先か。
日本のロック、ポップスを色々と調べるようになってから、八神純子さんのバックバンド〜メルティング・ポットのメンバーとして雑誌「ミュージック・ステディ」新生号で紹介されたのを見たのはそれより前だったけど、意識はしてなかったからね、正直。
その後、鳴海寛さんと山川さんの東北新幹線を知ったり、鳴海さんが山下達郎さんのツアーに参加しているのを拝見したりしたのかな?
当時まだ大学生だ、私。
じゃ、そろそろ行ってみよー。
・山川恵津子「編曲の美学 アレンジャー山川恵津子とアイドルソングの時代」(DU BOOKS)
編曲家の本といえば船山基紀さんや萩田光雄さんの本を買ってかなり読み返していた私なので、山川さんの本が出ると知ってなんとかギリギリ発売前に予約購入することができたわけです。
山川さんのキャリアや編曲する際のスタンス、色々なプロセスが伺えて、とにかく興味深い内容です。
先ほど書いた「ミュージック・ステディ」新生号では、山川さんと鳴海さんが曲を書いていることに触れていた意味が、ここでつながるわけなんですよね。
それに特にキャリアについて触れている部分ではソロ・アーティストとしてではなく、スタッフ・サイドに立つまでのプロセスがメチャクチャ面白いわけですよ。
そして、コーラスについて触れた部分での木戸やすひろ(泰弘)さん、比山貴咏史(清)さんと山川さんの3人での仕事量の凄さにはビックリ。
遠藤京子(現響子)さんの私の大好きなアルバム『恋人になりたい』もそうだったかも(もしかしたら山川さんじゃなくて、広谷順子さんだったかも?)しれません。
木戸さんと比山さんの名前は本当にクレジットをチェックすると頻繁に出てきますからねー。
山下達郎さんと大滝詠一さん、浜田省吾さんとのエピソードには身体が震えるほど感動してしまったり、様々なミュージシャンとの交流にもいい話を知ることができたと嬉しくなりました。
そして、何よりも巻末の山川さんの作曲・編曲リストは感動してしまいました。
フォントの小ささが力の入り具合を物語っています。こういうの大好きなんですよ。
勿論、渡辺満里奈さんと山川さん、原口沙輔さんと山川さんの対談も興味深い内容。ね。
特別寄稿された「私の好きな山川作品」に登場する顔ぶれが私のnoteではお馴染みの方々が多かったりするのです。
作詞家の売野雅勇さん、音楽プロデューサーの加茂啓太郎さん、レコード・プロデューサー、作曲家の川原伸司さん、ライター、選曲家の栗本斉さん、音楽プロデューサーのケンカイヨシさん、ラグジュアリー歌謡の藤井陽一さん、音楽ディレクターの星健一さん、音楽評論家、歌謡曲研究家の馬飼野元宏さん、作詞家の松井五郎さん、シンガーソングライター、作曲家の山口美央子さんが登場しています。
選ばれた楽曲とエピソードの深さがとにかく素晴らしいのでした。
DU BOOKSの本にハズレなしですね。
それにCD『編曲の美学 山川恵津子の仕事』のビクター編とポニーキャニオン編、両方欲しくなってしまったし、山川さん関連の作品も揃えたくなりましたね。真面目な話。
ではまたー。