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獲物の分け前〜中我生直佑「本の妖精 夫久山徳三郎 今日も書店に現れる」

 まず本屋さんでレジの脇や新刊のチラシと一緒に置いてある薄い冊子を手に取ったことはありますか?
あれは新刊案内や著者インタビューなどが掲載されているPR誌なのですが、連載小説の中にはベストセラーになって映像化されたり、賞を獲ったりしたものもあるんですよー。
この「本の妖精 夫久山徳三郎 今日も書店に現れる」(長いタイトルなので、以下引用する時は「本の妖精」)は小学館から出ていた「きらら」という雑誌に連載されていた作品なのでした。
じゃ、行ってみよー。

・中我生直佑「本の妖精 夫久山徳三郎 今日も書店に現れる」(皓星社)

 「きらら」は確か毎月20日に配布されてまして、その日は割とPR誌が配布される日だったので、それらをいただいてから出勤していたんですね。懐かしい。
2011年の震災後、ものすごく貧乏になってしまっても活字に飢えていた私が手に取ったのが、レジ脇にあるPR誌だったのです。

 中でも「きらら』は書店員さんによる作家インタビューや書店員さんの日記みたいなものが掲載されていて、連載小説のクォリティの高さや大島弓子さん「キャットニップ」が連載されていたわけですから、かなり楽しみにしていたわけです。

 この「本の妖精」(連載当時は館石直進名義)はそんな雑誌に登場したわけですから、連載中にTwitterで反応していた私です。
まず好きになったのは書店員さんの日常が、当時別業種ですが店員をしていた私に響いたからでした。
担当ごとに数字に一喜一憂したり、工夫したことに結果が出ないことで落ち込むところとか。
直接的に接客はしない職場でしたが、コミュニケーションの必要はありましたから、その部分でも。
作者の中我生さんが書店員として体験したことからイマジネーションを拡げていっているのかもしれませんね。

 あとは女性キャラクターを中心とした非常に魅力的な登場人物です。
様々に詳細な部分まで描かれているのが素敵ですよ。
絵としてもかなり好みですね。

 2011年の途中から東京一ストレンジなインディペンデント・レーベルGO→STの物販を手伝うようになってから、非常に影響されたのは本作と、松田奈緒子さん「重版出来」でした。松田さんにも深く感謝します。

 雑誌「きらら」は現在、「WEBきらら」に移行しましたが、その精神や方法は健在なのが嬉しいところです。

 こうした形で単行本として発売されたのが何より嬉しく思います。
描いてくれた中我生さん、「きらら」スタッフの皆さま、皓星社の皆さまに深く感謝します。ありがとう。

 ではまたー。

 



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