イザナミ
桜並木の花も 散ってしまおうとしているのに
桜見上げて歩く人は
疎ら過ぎるほど いる様子もありません
いつもなら ブルーシートが敷き詰められ
提灯もお祭り気分の混雑ぶりなのに
シンと静かな川縁を
風が仄かに過ぎて行くばかり
自分がいつどんな事で
感染当事者になるかも知れない
それと同時に
その家族 隣人
地域に及ぶ一帯にまで
その余波は拡がって
田舎であればなおさらのこと
街中であろうが関係なく
冷酷な視線の攻撃を
避けられる事は無いのです
そんな汚名を冠せられ
村八分も同然に
締め出されてしまう事もあるのです
肉体の崩壊と同じく
否 それ以上かも知れない
精神的なトラウマは
人を殺してしまいます
一体何を問うというのでしょう
黄泉の国のウジの湧く
イザナミの夢を見たのです