また一つ

母の住む家の周りから

また一つ

また一つ と

家の明かりが 消えて行きます。

入院したり施設に入ったりと

お馴染みの「お隣さん」が
居なくなって行くのは
寂しいばかりです。

「長生きしすぎたかな~」
と 言う言葉を聞くのは

私の方が辛くなってしまう事です。

いつまでも 同じ状態ではいられない。

変わって行くのは 当たり前だと解っていても

なかなか 気持ちが追いついて行かない。

空き家となってしまった
人の住まなくなった家は

あっという間に
生気が無くなり

朽ちて行くばかりです。

そして 瞬く間に
家は取り壊され

更地となって競売に出されます。

そうした方がすっきりと
何の未練も無く

事は 次の世代に受け継がれて行くのかも知れません。

母の背中が また一つ
小さく 丸く なった様な気がするのです。

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