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12/10 月が出ずとも

 お風呂を上がると薄着のままビール片手にベランダで涼んでいるゆいさんを見つけた。今は12月だ。私はブランケットを手に取ってゆいさんの元へ駆け寄った。
「またそんな薄着で」
 ぶつぶつと言いブランケットを肩からかけてあげながらぼんやりと空を見上げるゆいさんの視線の先を追う。
「今日はお月さま見えないね」
 空は雲に覆われて暗かった。
「見えなくてもいいの。だってそこにはちゃんとあるから。」
 ゆいさんは気にしない様子で穏やかに呟いた。それから私の方を向くとブランケットで私を抱き締めてぎゅうっと力を込めた。
「はるかあったかーい」
 さっきまでのどこか憂いを帯びた様子はもうどこにもない。楽しげに笑って一緒に部屋の中へと入った。

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