12/16 甘い心音
疼くような甘い心音が、聞こえてしまいそうだった。
私はゆいさんの腕の中で静かに目を閉じる。柔らかな胸元に顔を埋めて、両腕をゆいさんの背中へと回した。
この時間が好きだった。大好きな人の存在を0の距離で感じられる。
とくん、とくん、とどちらの心音かわからない小さな鼓動が徐々に重なり合って同じ音を奏で始める。まるでひとつに溶け合うような甘美な時間だった。
「ゆいさん」
「ん?」
「好き」
「うん」
「ずっとこうしてたい」
「私も。」
甘く囁かれる声は、私の鼓膜をくすぐっていつまでも耳の奥に残った。
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