今日の日記 生物学と数学
だいぶ前の生物の模試で、「接合」と「対合」の違いを知らないと解けない問題が出てきた。のを、昨日と今日で2周目的な感じで復習していた。
ちなみにこれら接合と対合、文字の見た目がちょっぴり似てるだけでまるで別物である。
接合というのは、高校生物ではゾウリムシがよく取り上げられるが、有性生殖の方式のひとつである。
ゾウリムシを始めとした単細胞生物は、オスとかメスとかいう区分が無かったりする。まあたしかになんとなく、細胞が1個しかないから外性器なんてつくれる余裕無さそうだし、数が少ないうちは、他個体と出会う確率がただでさえ低いのにオスかメスかで選んでたら、いつになっても新個体をつくれなくて生き残れなさそうな気もする(尚調べてないので適当)。雌雄の区別のない別個体と有性生殖をするために、彼らは小さい核(自分のDNAが入ってる)を別個体と交換するという生殖方法に行きついたらしい。これが接合。
対合は、特に「染色体の対合」という使い方をした場合に、生物用語になる。
有性生殖で子孫をつくるタイプの生き物は、2個体からDNAを半分ずつもらって、そのもらったDNAで体をつくる。逆に、子孫をつくるために、我々含めた有性生殖を行う生き物は、子孫に分け与える用のDNAを準備する。我々と子孫とで同じ量のDNAを持っている状態にするため、我々は子孫に分け与える用のDNAを、今持っている量の半分にしなければならない。
きっかり半分に。
これが、上手くやらないとけっこう難しい。たとえばヒトは、23本で1セットのゲノムでありこれが2倍云々である。身近なものに言い換えてしまえば、毛糸を23種類の色用意し、それぞれを1m切り取ったものを2セット用意し、テーブルにぐちゃぐちゃにして置いてみるイメージである。
でこの23種類をきっかり半分に分けたい。
ふたつの箱を用意する。両方の箱に、23種類の毛糸が1本ずつ入った状態にしたい。
しかしテーブルの上を見てみる。絶望的なまでに絡まっているし、混沌としすぎて色の区別もつかない状態だ。これを分けるって?
これを、生物はこのような手順で行う。
まず、それぞれが1mある毛糸1本ずつを、ぎゅうぎゅうに巻きとって凝縮する。そうすると、テーブルの上に23種類の色×2の毛糸玉ができる。
次に、これを神経衰弱の如く、同じ色をペアにする。これが対合なのだ。
で、ペアにしたやつを、ペアとしてまとめたまま23個分、綺麗に並べる。
その後、2つの箱に、23ペアの片方の毛糸玉を放り込んでいけばいい。
ちなみにこの対合は「染色体の対合」というと生物学の用語になる、と言ったが、この場合「たいごう」と読む。
しかし、これ、数学用語でもあり、「ついごう」と読むと、2回変換したときに対称性を持つような変換について「対合性(ついごうせい)がある」という使い方をするそうだ。
たとえば、奇関数のy軸対称。縦の軸を折線としてパタンと曲線を折り返す動作を2回行うと、1回目で反転したのが2回目で元に戻る。こういう変換を対合性がある、というらしい。
思えば生物学と数学で読み方が異なったり意味が全然違ったりする言葉は他にもある。
「重複」の読み方である。
数学、というか一般的にはこれを「ちょうふく」と読むのに、生物用語「重複受精」は、これを「じゅうふくじゅせい」と読む。慣用的にこの用語は(じゅうふく)と読むようになっていて、これをわざわざ「ちょうふくじゅせい」と読むことはしない。
もしかしたら他にもあるかもしれない。
重複受精について思い出し勉強すると寝る時間が遅くなるのでこんなものにしよう。
また、生物の学習の途中に、数学などの新しい知識を目にする機会があれば嬉しい。