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さあ往こうぜ緑の友よ

いつもは黒いサマーユニフォームを着るのだが、明日は絶対に緑だ。タオルマフラーはどれにしようか。『山雅が好きだから』のフレーズは、もっと違う日に出したい。『雷鳥は頂を目指す』の文言も、今じゃない感じがする。やっぱり緑に白文字で「yamaga」のロゴが目立つ、今年のものが良さそうだ。

というわけで、北アルプスの稜線がデザインされたタオマフを丁寧に筒状にしてバッグにしまう。これを巻くのは篠ノ井駅で電車を降りてから。天気予報は晴れになったから合羽は要らないが、きっと冷えるから温かいお茶を用意するほうが良いだろう。おっと、明日はナイトゲーム、ペンライトを忘れてはならない!

などとやっている今、時計の針は天を回って0時30分を指している。午前中に善光寺の御開帳を参拝してこようと目論んでいるため、7時半には家を出なければならないのに。
ソワソワして、ドキドキして眠れない、まるで遠足前の小学生のようではないか。

明治安田生命J3リーグ第9節、5月15日。来たる信州ダービー前夜の、とある山雅サポの様子である。つまり私のことなのだが。

先週の長野県サッカー選手権決勝戦、我々は最高の勝利をおさめた。しかし、油断している暇はない。天皇杯を軽んじるわけでは決してないが、それでも多くの人が思うことは同じだろう。本番は明日、いや、もう今日になってしまった。

これはただの試合ではない。である。

我々は、戦地に赴くのだ。入念な準備を怠ってはならない!

日本で唯一、本物と言われるダービーがここにある。田舎のJ3クラブ同士(非常に不本意ながら!)の戦いに、日本中のJリーグファンが注目しているのをひしひしと感じる。いや、Jリーグファンばかりではない。この信州に暮らす人々、普段はサッカーなんて関心がないような人々でさえも、勝負の行方を気にして、ローカルニュースや地方新聞に注意を払っている。

ダービーは、サッカーファンだけのものではない。

その土地と地域が、そこに住む人々が、そして、巻き込まれようと参加する観衆たちが、
それら全てがダービーを作っている。

今、その中心にいるのは、我々松本山雅FCサポーターと、宿敵たるAC長野パルセイロサポーターだ。
ああ、サッカーを観る者として、こんな幸福なことがあるだろうか!


これを書いている今、勝負の行方はまだ分からない。
勝者か、敗者か、はたまた互角か。目撃せよ、その瞬間を。噛み締めろ、当事者である喜びを。沸け、ここでしか体験できない、本物の戦いに!


「パルセイロだけには負けられない!教えてやれ、俺らが信州!」


サンプロアルウィンに掲げた“KING OF 信州”のダンマクを、長野Uスタジアムでも見せつけるのだ。
さあ、往こうぜ緑の友よ。


開戦の狼煙は、とうに上がっている。


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