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Nikon 旧サンヨン(300mm f/4D)を6万円かけて修理した話。
だらだら長いお話です。
2020年10月、あるレンズを買いました。
それがAI AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-EDというレンズです。
300mmのF4通し、通称「サンヨン」と呼ばれるレンズで、現行品AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VRの1世代前、ニコンの「旧サンヨン」と呼ばれるレンズですね。
ロングセラー故に、製造後年は古臭さがぷんぷんしていたと聞きますが、その見た目も重厚感があって素敵。言わずもがな、なかなか評判の良いレンズです。
なんで買ったんだっけな…多分ノリとテンションで買っちゃったんだと思います。いつか白いニコン(後述)が欲しいってのと、飛行機を撮るようになったので、遠くが撮れるレンズも欲しいし、せっかくなら単焦点で…みたいなことなんでしょうが、ちっとも覚えていません。
中古品だったので、ヤフオクで安く手に入りました。たしか4-5万円くらいだったと記憶しています。
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色はこの世代でしか味わえないニコンの「ライトグレー」。邪道とか言われるアレである。キヤノンでいいじゃんとか、ソニーでいいじゃんって言うけど、そうじゃないの。これが欲しかった。夢がひとつ叶った。
筐体はボロいところもあるけど、このレンズにありがちなAF鳴きもなく、まぁまぁいい感じかな?っていう状態。
レンズの大きい、小さいは人によってまったく価値観が異なりますが、個人的には取り回しがしにくい大きさではないものの、そこそこ重たいレンズです。手ブレ補正も付いていません。オトコのレンズって感じで、「今日は撮るぜ」っていう日じゃなければなかなか持ち出さないでしょう。
でもこのレンズ、僕が所有した中で初めて、「今日は撮るぜ」って気持ちにさせてくれるレンズでした。
というか、実は初めてのキットレンズ以外のNikkor。型落ちとはいえ、金帯レンズの威力に導かれるまま、撮り続けていました。一年で撮った写真の半分はこのレンズを通した絵だったに違いありません。
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旧太子駅
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羽田空港(展望デッキ)
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上信電鉄上信線 佐野信号所〜南高崎
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成田空港(ひこうきの丘)
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成田空港(さくらの山)
最初は単焦点の300mm(当初はAPS-Cで使っていたので450mmでした)なんて画角は使いづらそうだし、すぐに飽きちゃうだろうと思っていましたが、むしろ逆。この画角じゃないと物足りない!みたいなことばっかりで、いつしか私のポテンシャルそのものみたいなレンズとなりました。
そんな大好きなレンズも使っていると気になることが出てくるわけです。
それが光学系の汚れと、フードの装着感の悪さ、というか前玉ユニットが動いちゃうようになってきたこと。
なんだかいつの間にか光学系には銀色様のゴミがびっしり。白飛びしたような色になったり、AF/AEがうまく行かなかったり、ゆるい絵になったりするのはこれのせい…?
挙げ句の果てにフードを装着する時や、フィルターを着脱するときにユニットごと動いちゃってギコギコしてしまうではありませんか。
実は当初からこれらの症状はあったような気もします。今まで騙し騙し使っていたけれど、こんだけ愛用しているなら、少しはメンテナンスしてあげないと罰当たりだなぁと思っていました。
年末、不用品を整理したら数万円の臨時収入が出来ました。レンズの分解清掃は2-3万円くらいということらしいので、メインの修理内容を「レンズ内の清掃」
とし、ついでに前玉ユニットガリガリ問題も一緒に見てもらうことにしました。
修理はニコンが提供するピックアップサービスを利用して、ニコンが送ってくれた箱につめて、送り状を書いて発送します。事前に1870円払えば往復の送料と梱包材の面倒を見てくれるので、大きいレンズなら間違いなくお得ですね。
土曜日の発送になったので、見積もりが出るのは早くても月曜日。ちょっとドキドキしながら、ニコンからのメールを待ちました。
気になる見積もりは…
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ん?ん?んんん???
7まんえん?フェンジャパが買えるぞ?(ちなみに今のJapan Hybridは買えない)
冷や汗をかきながら、メール到着後10秒でニコン様に電話。
光学系の清掃に加え、やっぱりガリガリ言っていたのは前部固定筒ユニットが破損していた上、AFユニットも交換が必要らしい。
一体どんな状態で使ってたんだ…?
ただあまりに大きい金額なので保留させてくださいとし、一旦電話を切りました。なにせ5万円くらいで買ったものを、7万円で直すことは果たして正しいことなのか分からず。
しばらく中古品を漁ってみるものの、良さそうな出玉も無く、あっても10万円近く(前より高くなってない?)する始末…
修理に出すぞ。
さんざ考えて、色んな人の後押しもあり、ついには修理を決断しました。このために不用品を手放したんだと、そう言い聞かせて。というかこれを失うと、僕の撮影に対するポテンシャルは半分以下になってしまいかねないくらい、大事なレンズとなってしまったんですね、もう。
1/11にニコンに到着した私のサンヨンは、予定通り1/28に修理を終え、1/29に高崎の我が家へ帰ってきました。
おかえり!
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色々な外装パーツも交換されたようで、ピッカピッカのツルツルで帰ってきました!いやもうこれだけで超嬉しい。そういえばついていなかった金帯も綺麗に復活。
スカスカだったレンズフードも正常に。いやぁ…これが正しい状態なんだ。
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処置内容は
・レンズ内ゴミのため、光学系部を清掃いたしました。
・レンズ内ゴミのため、1群レンズ室部組を交換いたしました。
・ AF作動不良のため、超音波モーター部組を交換いたしました。
・変形・破損のため、フード部組、前部固定筒、MF環、金リングを交換いたしました。
・劣化のため、フォーカスゴムリングを交換いたしました。
・レンズマウント曲がりのため、バヨネットマウントを交換いたしました。
と目白押し。
文字通り、全損修理となっていました。
そりゃあ、新品の見た目で帰ってくるよね。ごめんね、こんな状態で酷使して…
最終修理金額は
送料と消費税込みで63,537円でした。
1万円弱安くなったので、助かりました(笑)
内訳は
超音波モーター部組(R) 17,172円
バヨネットマウント 2,187円
フォーカスゴムリング 243円
1群レンズ室部組 10,827円
金リング 864円
前部固定筒 7,335円
MF環 1,782円
フード部組 2,295円
ゴムリング 126円
工賃 13,230円
運送料 1,700円
+消費税
でした。
工賃は分解1回分しかかからないんですね。一気にやったメリットなのかもしれません。
祖父に買ってもらった最初の一眼レフとレンズキットを除いて、10年中古機材を回し続けたために、レンズやカメラの購入に一発6万円もかけたことのない私にとっては相当な出品でしたが、これは良い結果です。
じゃあ撮りに行こう。
ということで…撮影に行きましょう。
コイツがいなかった1月は撮影に出ることはなく、D600のおうちでお留守番をしているか、仕事で商品写真の撮影に駆り出されると言う地味〜な生活。
せっかく使うなら空港で使いたかったので、出張に合わせて成田へ前乗り。少しだけ朝空活してみましたよ。
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成田空港(芝山水辺の里)
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成田空港(芝山水辺の里)
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芝山水辺の里
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芝山水辺の里
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成田空港(十余三東雲の丘)
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成田空港(十余三東雲の丘)
こうかはばつぐんだ。
特に順光の色味が全然違う。
今までまろやかなテイストで出ていたのはこのレンズの風合いだと思っていましたが、どうやら違うみたいですね。
Nikkorでは他にAF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRを所有していますが、それに近いご機嫌な色合いに。
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12/30/2021 f/5 1/1000 ISO100 D600
成田空港(ひこうきの丘)
なんならよりシャープなのかも。
レンズの世代が違いますが、描写力が高いっていう評判はこのことだったのかと、今更実感…恥ずかしいね。
でもサイド、半逆光くらいではなんというか私の知っているニコンの色合いが出ていてね、これは前と似たような色合いで安心です(ただし、逆光性能は格段に改善しています)。
おわりに
いやぁ…修理出してよかったね。
元々の状態がだいぶやられていたので、修理の効果が分かりやすかったのも、ありがたみが分かりやすくて良かったかな。
なんて言ってもね、もっと優しく使って下さい。
ニコンのおねいさんによると2025年ごろまで部品保有をするということ(うろ覚え)なので、修理の終わりが見えてきたら、もう一度ニコンへメンテナンスに出してあげたいですね。
何せもう作っていないライトグレーですから…もう甘やかしますよ。
なんかの間違い()でボディをZシリーズにしたら、手振れ補正がないことが、気にならなくなってしまいますしね。重さもボディが軽くなれば気にならないかな?笑
どこのメーカーの何でも、修理を迷っている方がいれば出してみましょう。
というか修理を考えたなら、もう出すしかないですよ。そういう思考の人には、修理は良い結果をもたらしてくれると思います。
さ、サンヨン連れて今年はどこへ行きましょうかね。