イッタラ展の余韻
先日、隙間の時間をみつけて駆け足で渋谷のBUNKAMURAでかけた。
イッタラの創立140周年の企画で、日本で初めて「イッタラ」ブランドだけを扱う展覧会だった。
Bunkura1階の入り口ではイッタラのカラーグラスのシャンパンタワーが迎えてくれた。
イッタラのブランドの由来は村だった
ガラスを製造するには、ガラスを溶かすための大量の薪が必要。
当時のフィンランドはスェーデンの統治国家だったので、スェーデンは南部にガラス工場を作った。フィンランドには何十もの小さなガラス工房が館がある、そのうちの1つが現在のヘルシンキあら120キロ離れたイッタラ村にあったガラス工場。 そこから合併、オーナーが変わるなどして、そこから140年の歴史を重ねていったのだそう。ちなみに、日本だと、小樽の北一ガラスが130年くらいの同じ時期だ。
作品の記憶をとどめてくれるもの
歴代のイッタラに関わったデザイナーの歴史を作品と一緒に見たあとは、「イッタラを読み解く13の視点」。次の視点は何かな?とワクワクしながら歩みを進める。素材、職人の技、(ガラスを)方でつくる、陶磁器とガラス、アーキタイプ…などだ。 圧倒されたのは、イッタラのガラス工房職人による吹きガラスの制作過程を壁一面に映し出した動画だった。職人さんの手の動き、高熱にくべたガラスが見事なガラス作品になっていく様は見惚れてしまい、しばらくその場を離れられなかった。
図録の手触りを持ち帰る
ミュージアムショップでは、デザイナーのオイバ・トイッカさんの、職人技の粋「バード」のマグネットを3つ買った。
それから、スモークブルーの紙に「ITTALA」と書かれた図録。
重みを味わい布のテクスチャーの手触りを楽しみながら見本を手にしたら、
どうしても持ち帰りたい、と思った。展覧会体感したITTALAの世界観に包まれた心地よい時間を封じ込めたかったのだ。コーヒーを啜りながら、ゆっくりとその世界を深掘りしてみたかったのだ。
ITTALAに関わったデザイナーがつくった作品、かつてスェーデンのガラス工房にいたという高知県の学芸員の人の寄稿、会場でモニター画面を見つめた皆川明さんのインタビュー記事も収録されていた。 2年前に購入したイッタラと皆川さんのコラボレーション「ITTALA x ミナ ペルホネン」の淡いピンク色の鳥のデザインのマグカップ。自宅で使っているものが展覧会で展示されているのを見る嬉しさ、もこの図録と共に持ち帰った。
フィンランドを旅したい
フィンランドといえば、2019年の晩夏にフィンランド行きを計画していた。Finairを調べて2泊なら行けそうだ、と飛行機を調べていた。結局、仕事が立て込んでいて直前に取りやめたのだ。 母と亡き父とヘルシンキを訪ねた。ストックホルムからヘルシンキに、船泊をして移動したことを思い出した。
そう、あの時にも、(きっとまた来よう)、と思ったのだ。
あれから随分と長い時間が経っている。
かつてのガラス工房がミュージアムになったという場所にも訪れたい。
1つの展覧会から、ガラス・アートの作品の展示を楽しむから、歴史や国、デザイナーへの興味、そしてその土地に旅したいと思わせてくれた。
隙間の1時間は間違いなく貴重なときでした。