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人魚と屋上

こんばんは。砂糖ちかと申します。

赤ずきんをはじめ、おとぎ話やグリム童話が大好きな私ですが
今回は人魚姫のお話しがしたいです。

北の病展という展示会に参加させていただいた時の作品が
まさに人魚をテーマにしたものでした。
北の病展は”病”というマイナスに思われがちな存在に
真正面に向きあう、作家として想いをぶつける場を設けてくださいました。

私の思う「生きづらさ」を伝えるには人魚の力が必要なのです。

にんぎょひめ

幼少期に読んだことありますか?はたまた覚えていますか?

大まかなストーリーは、末っ子の人魚姫が地上にいる王子様に恋をし
人間になりたいと願い 魔女によって声と引き換えに足を手に入れ
王子様と結婚しないと泡になって消える呪いをかけられ
無事王子様と出会うもすでに王子様には婚約者がおり  最終的には
王子様を殺せば人魚に戻れると姉に伝えられるが
王子様を愛していた人魚姫は自ら海に飛び込む そんなお話です。

絵本を読んでいた当時は気にしてませんでしたけど
今になって「人魚姫の覚悟半端なくない…?」と思い始めました。

一目ぼれとはいえ、一度も言葉を交わしたことのない人の為に
声と足を引き換えにできるでしょうか。しかもその男性と結婚しないと
死ぬという厳しさ。
私たち目線で考えると、移動手段が”足で歩く”から”尾で泳ぐ”に変わるんですよ。想像もできない。人魚姫は足がある感覚も、重心も、息の仕方もなにもかも初めて感じるはずなんです。

人魚姫は 浜辺の砂が熱いことも、屋上の床が冷たいことも、ぬるま湯の湯船につかり過ぎると指先がしわしわになることも、何も知らない。

それでもたった一人の男性と結ばれるために、それだけのために
健気に王子様を想う人魚姫があまりに切なく尊く残酷です。
結末として人魚姫は自ら命を絶ってしまう訳ですが 物語上の人魚姫は
幸せだったのでしょうか。人間にならなければ良かったと思うのか、それとも最初から人間でありたかったと思ったのか。
人魚姫に戻りたかったのか、人間になりたかったのか。

最期の人魚姫の心中を語る場面はないので 神のみぞしるのですが
どうすれば上手に生きられたのか、あれだけ覚悟を決めても報われないのはどうしてなのか、私もよく考えます。

人魚姫2

展示会ではそんな解釈を元に漫画を描いて 作品と一緒に展示をしました。
会期時はまだ途中までしか完成しておらず、終了してからしばらくたっていますが、いまだ完結できていません。早く描かねばまずい。

巡り合わないもの

前述した通り、童話が好きな私ですがきっかけは中学時代の学校祭で行ったオリジナル劇でした。
いろんなキャラクターがわいわいする劇中に狼と赤ずきんが登場するのですが お互い惹かれあう存在だったのが後半に発覚するのです。絵本では狼は赤ずきんを食料として見ていて 赤ずきんは狼を恐れているのに。衝撃でした。それ以降、私は「もしも…」や「本来絶対ありえないけど…」にはまっていきます。

人魚姫でいうと「人魚姫が屋上で飛び降りる」が私の結論でした。
絶対ありえないんですよね。慣れない足で屋上まで行けるわけもないし
そもそも屋上ってどこの?という話しです。

でも人魚姫はここで初めて建物の屋上は冷たいと知り
海にいるときは知るよしもなかった 飛び降りる前の感情を初めて感じ
足が身体が宙に浮く感覚も知るのです。
初めて足を手に入れた人魚姫の希望と、身を投げ出す人魚姫の絶望
対比してみるとコントラストがはっきりすると思います。

とても奥深い、どこまでも考えられる物語。本当に大好きです。
あくまで私の解釈・捏造なのでご了承くださいませ。

作品の想いを書き留めたいnoteでした。

人魚姫3

将来は 人魚のうろこでネックレスを作りたいです。

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