lost in…
なんか、全然うまくいかないの。
私、幸せになれるのかな?
そればっかり考えちゃって
一人になると、くらくて重い塊に押しつぶされそう。
素敵な女の子たちが誕生日祝ってくれたりさ、
久々に高校のときの友達と遊んだりしてね。大好きだし、楽しいよ。
でもね、なんでかな、ただ気が紛れるだけなの。
あのいやにつやつやした錆色の塊。
おはじきとか、びいどろみたいに綺麗で、口に入れたくなる質感の
ホームドアの上から、必死に覗く。満員電車から富士山を仰ぐみたいに。
"彼"はホーム下に鎮座して、ただ待ってる。そう感じられるの。
「気分が落ちた時はどうしますか?」
ー「線路を覗きます(スマイル) 落ち着くんです」
大丈夫、本当に落ちたりはしないから。(スマイル&ピース)
「身を焦がすほどの恋をした後って、死ぬか生きるかなんだよ。命を絶つか、その人を永遠に思いながら半分死体として生きていくか。
後者はね、今度は別の相手を破滅させる側に回るんだ。嗜虐性を帯びてね。ヴァンパイアに襲われた人間が、いつしか人の血を求めるように。
累々と折り重なった少女たちの死体は、かつて身を焦がした男の幻影を探していつまでもいつまでも彷徨い続けるんだよ。
ももちゃん、もう俺から離れられないよ。」
あいつの香水の香りのするセーターを着て、あいつにもらったモリオンのブレスレットを巻いて、あいつに教えてもらった音楽を、あいつのお古のヘッドフォンで聞いてる。バックには、あいつに借りた読みかけの本。まるで、侵食されたフィヨルド。
私もう死体になったみたい。
彼がいなくなったら、わたしは一体何者になるんだろう?
でもね、追われると逃げたくなって、離れていくと縋りたくなるの
わたし、幸せになれるんだろうか?
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