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コーヒーブレイク①〜東大の必修科目について:その1〜

前回(東大の闇②)では東大生を選別する悪の合理的官僚システム「進振り」について述べた。しかし、これを読まれた読者の方には「進振りの制度は分かったけど、具体的にどんな授業があるの?」と思われた方もいらっしゃると思う。

そこで、今回はコーヒーブレイク①その1として、東大の必修科目のうち、語学の概要と実際のテスト問題をぶっちゃけてみようと思う。コーヒーブレイクとは言いつつ、東大の講義システムを詳しく解説したので、ご覧になって損はないはずだ。それではいってみよ〜!


〜東大の講義〜

まず、下の写真を見てくれ。

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これは入学時に新入生全員に配布される「履修の手引き」と呼ばれる冊子のうち、講義について記したページである。本冊子には東大の講義・成績評価・進振りのシステム等々が全て網羅されており、進振り終了時まで幾度となくお世話になるバイブルである。なお、なくすと原則再発行できない。本日は上記4つのうちの「基礎科目」について、そしてその中でも「語学」について見ていく。


基礎科目

俗に言う必修である。上記の通り、他の大学同様に第二外国語、情報、身体運動・健康科学実習(体育)等々があるのはもちろんだが、理科二類では高校の知識もロクにない状態で生物を履修しなければならないのが特徴で、これが物化選択者にとっては地獄である。(ちなみに教員はほとんど手加減してくれない)。やべえ。

さて、以下で基礎科目のうち進振り最重要科目である「語学」についてより詳しく見ていこう。


○外国語(英語)

東大の英語の授業は次の4種類に分けられる。


・英語一列(必修)・・・指定された教科書を読む、高校英語の延長。非常につまらない上に単語も内容もかなり難しい。教科書は東大で出している「教養英語読本」を用いる(これにはIとIIがあり、隔年で変わる。IIの方が難しいらしい。)テストはマークシート式で、問題文、設問ともに英語であるため、いかに内容を暗記できるかがキモ。


・FLOW(必修)・・・ネイティブの教員と英語で会話したりプレゼンしたりする授業。FLOWとは Fluency-Oriented Workshopの略。入学時のガイダンスでいきなり隣の奴と英語で会話させられ、その出来具合に合わせて自分のレベルを自己申告する(易しい順にレベル1〜6)。俺は隣のやつが帰国子女だったため、自尊心が崩壊した。だいたいみんなレベル1〜3を選ぶ。俺は何を血迷ったかレベル4にしてしまったが、意識高い系が多く非常に面倒臭かった。なおレベル5は上位1割くらい、レベル6は帰国子女枠という感じ。ちなみに、俺は不運にもフェミニストの教師に当たってしまい、テイラースウィフトのPVは女性差別だみたいなことを延々聞かされた。


・ALESS(必修)・・・東大1年生の「最大の山場」と称されるのが本授業である。ALESSとはActive Learning of English for Science Studentsの略で、簡単に言うと英語で論文を書く授業である。文系だと「for Students of the Arts」ということで名前がALESAになる。これは紛れもなく「教養学部の講義の中で最も過酷な授業の1つ」であり、百戦錬磨の東大生ですら締め切り前は徹夜しても終わるかわからんという奴が続出する。講義としては、ネイティブの教員に論文の書き方を教わったのち、自分で研究テーマを選び、仮説を立て、実験し、結果を論文に記す。本授業ではいわゆる「学術論文」の書き方に沿って書かなければならず、その書き方についても全て英語で講義されるため、特に英語の苦手な東大生は四苦八苦するだろう。必死にがんばれ。


・英語中級(ほぼ必修)・・・後述する「総合科目」の1つなのだが、実質必修。各教員が設定したテーマに沿って授業が行われる。ほんとに教員次第。

以上、東大1年生の英語の授業について解説した。参考までに、私が受けた英語一列の試験問題を載せておこう。

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さて、次はお待ちかね(?)の第二外国語(以下、二外という)である。

○外国語(第二外国語)

新入生にとって、二外選びはかなり重要である。というのも、どの二外かによって東大生のキャラクターが概ね決まっており、選択した語学によってクラス分けがなされるからである。選択できる二外としてはドイツ・フランス・イタリア・ロシア・スペイン・中国・韓国朝鮮語があるが、東大ではなぜかスペイン語(スペ語)が一番多い。イメージ通り、ウェイ系(とはいうものの他大学から見れば普通)が多い印象。フランス語は女子が多いイメージ。ドイツ語はお堅い理一の奴らが多いか。イタリアは知らん。ロシアは変人奇人揃いなので注意。俺はなぜか中国にしたが、変人も結構いた。韓国朝鮮は知らん。


二外においては、教員の当たり外れが非常に激しい。しかもそれは事前に選べないため、教員に恵まれるかどうかは運でしかない。しかも東大の二外は基本的に進度が早く、予習くらいはしていないと理解できない場合も往々にしてある(実際、言語があまり得意ではないと言っていた同クラの開成出身者がテストで散々な点数を取っていた)。なので、語学が苦手という人は必死で頑張ろう。


さらに、二外の恐ろしい点がもう1つ。進振りにおける二外の比率がべらぼうに大きいのである。いずれ詳しく解説するが、東大は進振りの際に「この科目は何単位参入する」というのが決まっている。ほとんどは1単位か2単位参入なのだが、二外は1年間講義があるため、なんと6単位分参入されるのである。これはつまり「語学を制す者が進振りを制する」と言っても過言ではなく、それだけ大学側も語学ができる奴が欲しいということなのだろう。つまり、進振りで点数が取れない以上、「物理オタクは物理学科に行けない」のである(研究者養成学校としての性質がある以上、それはそれで問題な気もするが)。ただ、逆に言えば理系科目が苦手な理系にとっては大きなチャンスになりうるのも事実だ。俺もその典型で、二次試験の数学は34点という異常な低さだったのだが、語学で差をつけたお陰で希望の学科に行くことができた。兎にも角にも、進振りにおいて語学は明暗を分ける科目の筆頭である。これも心して頑張って欲しい。(なお、入試の英語で上位1割に入った奴は選択制でTLP(Trilingual Program)という発展コースに入る場合がある。その点で最上位層は抜けるため、語学で頑張る人にとってはメリットかもしれない)


最後に、1年時の中間試験(確か5月)で実際に出題された中国語の問題を掲載して終わろう。

問:次を中国語に訳し、簡体字で書け。

北京ダックは私たちは好きだけど、トマト卵炒めは私はいらない。




解答:

北京烤鸭我们喜欢吃,西红柿炒鸡蛋我不要。

次回は必修科目その2「数学・物理・化学」についてお伝えする。次回もお楽しみに!

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