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手のひらの花びら

ちびまる子ちゃんの漫画の中でもさくらももこさんのエッセイ要素が
強いストーリー
が私は好きです。その中で確か
**
「子供の頃知らない道、知らない場所、知らない人に巡り会い
不思議な体験をしてきた。そしてその事は誰も知らないし二度と起こらないし、なんならその道すら見つからない」**
といった題材の内容があったのですが私も似たような事がありました。
さくらももこさんの描くように私は描けないけど記してみたいと思います。

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年齢は私が6才くらいの頃と思います。私は友達が習い事をしたり学童保育に通う学校終わりの時間何もせず一人でした。
家に帰れば高学年の姉を含め誰もおらずガラーンとした自宅。
まだ明るい日中であり、暇を持て余した私は暗くなるまで外を無駄にうろついていました。学校の友人達をもとめて彼女らの家をアポ無しでまわり不在を確認しては途中で雑草の花を集めたり、野良猫に声をかけたり、知らない道を曲がってみたり毎日毎日本当に無駄な時間を過ごしていました。
おかげさまでどこに猫がいて、どこに犬がいて、どこにどんな花が咲いてどんな実がなってる・なんてそんなことばかり熟知していました。
ある日バラが庭の金網から飛び出して花びらを散らしている家があり、香りのいい花びらを拾い集めて針で糸を通したら、かわいいかもなどと思った私は一生懸命花びらを拾うあまり、最後には金網に手を突っ込んで他人の庭の内側に落ちた花びらまで手を付けていました。
そして翌日も散った花びらがまたあり、バラがあるうちはその近所に足繁く通っていました。そしてある日とうとうその庭の家の方に私は声をかけられました。
なんて言われたか緊張のあまり覚えていません。子供心に怒られる事をしているのかも知れないと思った記憶はあります。ですがその時怒られる事はなく、優しくしてもらったみたいでした。
私は性懲りもなく次はたまたま泊まりに来ていた親戚の女の子をつれてバラを見に行きました。私に誘われるままに従姉妹もバラをあつめて楽しんでいたためまたその庭の主の女性がでてきて声をかけてきました。その時従姉妹がその庭の主の女性に「この子今日誕生日だよ」と私の誕生日を謎に教えたため私は内心うろたえまくった感覚は覚えています。
そしてその庭の主はとてもいいものがあるから私の家にいらっしゃいと自宅に招いたのです。当然私はさらにうろたえました。花びら泥棒していたら家に来いだなんて、ましてやそもそも知らないおうち。もう緊張でどうしていいかわからなかったと思います。なのにやけに大胆な従姉妹はトコトコついていってしまい、私は真っ青になりながらそのおうちに入りました。
決して広いとは言えないが子供が住まなそうな家。調度品はみなロマンチックで子供の目にも高級品とわかりました。庭の主人は今で言うアフターヌーンティの揃いのセットにクッキーや紅茶を入れもてなしてくれました。小さな子供相手にこんなもてなしをする大人が世の中いるんであろうか。そして私はひとつひとつにバラの細工やクマの細工などかわいい細工が施された角砂糖をはじめてみました。ただただ紅茶に沈んでいく砂糖にこんな丁寧な細工がされててすごく不思議な気持ちになりました。手に握りしめた薔薇の花弁をきれいな柄のナプキンに包んでくれ、1時間程度過ごしたと思います。
私は従姉妹と素敵な家が遊び場になったくらいの気持ちで帰りました。
その後バラは咲き終わりその家に私は用事がなくなりました。子供がいないおうちなので通り過ぎることはあっても立ち止まることが少なくなったのです。それでもあのティーパーティーが忘れられずふと家をみてもその家に明かりがついているタイミングも見つけられず、私が庭を覗いていても以前のように声をかけてもらうことはその後ずっとありませんでした。
学校の友だちに話してみても友達に同じ体験をした人はおらず、中には
「あの家空き家だよ」と言い出す子まででてきました。詳細は不明です。
庭の主の気まぐれということなんだと思います。
引っ越したのかも知れないし全くわかりません。
でも空き家?というワードがずっとひっかかり
得も言われぬ不思議体験という思い出になりました。
私はもうその街には住んでいません。
従姉妹と会うこともないし

記憶だけが香り豊かに残っています。
細工がとてもきれいな角砂糖が花柄のティカップに沈んでいく
ローズガーデンのある家が…。




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