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映画「ベルサイユのばら」感想
はじめに
2025年2月1日、映画「ベルサイユのばら」を観てきた。※この記事は敬称略で書き、映画のネタバレ、他ミュージカル作品への思い入れなどが含まれる。
平野綾と加藤和樹の再共演!
もともと原作が大好きなこともあった。しかしマリー・アントワネットを平野綾、ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンを加藤和樹が演じることが発表された瞬間、もう行くしかないと思った。そう、私はミュージカル「レディ・ベス」が、とても好きだったからだ。二人がまた、どうやら楽曲歌唱もあるアニメ映画で、悲恋の恋人たちを!? もう行くしかない。行くしかない……!
事前にお二人で揃って受けたインタビューの動画も是非ご覧ください。過去の共演作というのが、ミュージカル「レディ・ベス」である。ご興味がある方は公式PVなどが残っているので探してみてください。
メインキャストについての雑感
まずは、こちらの本編歌唱動画を見ていただきたい。
映画本編ではメインキャスト4人のソロパートもある、非常に豪華な場面である。あのね、動いてないキービジュとか、キャラデザだけ見て「なんかちがうな~」みたいなこと思ってる方がもしいるなら、とりあえず一度観てから判断してください。合う合わないはどうしてもあるでしょうが、制作陣がどれだけの覚悟をもって「ベルサイユのばら」を改めてアニメーション映画として作っているかは、一見、また一聴の価値があります。
特筆すべきは平野綾演じるマリー・アントワネットです。作中の時間が進むごとの演じ分けが、あまりにも圧巻でした。単なる声の出し方だけではないのです。無邪気な少女、恋を知った女性、子を持った母、それらの根幹にある誇り高い女王としての生き方。必聴です。もちろん歌唱場面も抜群の歌唱力で、どの曲も素晴らしかったです。CDの発売がいまから待ち遠しくてなりません。
加藤和樹演じるフェルゼン、登場時の声の印象が、アントワネットと恋に落ち、年を重ねるごとに深く厚く愛情深くなっていく様が非常によかったです。それだけに、原作終盤も観たかった……! と、強く思ってしまいます。
沢城みゆき演じるオスカル、最高のひと言です。いまこの時代に、これほどオスカルを演じきれる方がいらっしゃるでしょうか。強さと脆さを内包した人間的な魅力を持つオスカルさまでした。
豊永利行演じるアンドレ、めちゃくちゃよかったです。声の温かみと誠実さが、アンドレなんだよな~! と腕を組んでしまいました。もちろん、オスカルさまへの愛に生きる影としての昏さを持つ面もあり……。
とにかくメインキャストの四名が、あまりにも合っていました。これ以上のキャストはそうそう望めないのではないでしょうか。
ミュージカルというよりは
他の感想でも散見されますが、純正ミュージカルというよりは、楽曲MVとストーリー場面が交互に、というつくりでした。「そこはもっと歌を聴きたい」とか、「ここは逆にセリフを是非」という気持ちは正直いくつもの場面で感じたことではあるのですが、全体的な完成度が高く、気付けば涙があふれ、ずっとスクリーンから目を離すことが出来ませんでした。
歴史ある少女漫画をこの時代に改めて再構成することの難しさを感じるとともに、それでもやってやるぞ! という制作陣の気概と愛情を強く感じました。原作からかなりカットされた場面もあり、私も一番好きなアントワネットの場面、というか、終盤が語られはするけれど……というのが本当にもったいなくて、観たかった! の気持ちが強いのですが、とにかく非常に満足度の高い作品になっていると思います。
また、金の箔押しがとても美しいパンフレットがすごくよかったです。劇中歌の歌詞がすべて掲載されているのもありがたいかぎり。一刻も早くCD、映画本編円盤を発売してほしいですね。
その他の登場人物について
落合福嗣演じるルイ16世。原作からしても切なく、ぐっとくる役柄だったのですが、お声と演技が本当に合っていて、とてもよかったです。
武内駿輔演じるアラン。こちらもまた原作から好きな登場人物だったのですが、今回の映画めちゃくちゃいいところを持っていきましたね。かっこよかったです。
おわりに
とにかく、
・原作が好きなら
・平野綾はじめキャストが好きなら
・「レディ・ベス」が好きなら
一度は劇場で鑑賞して頂きたい。
絶対に万人受けする作品ではないかもしれない。人によってはまったく合わないと思うこともあるだろう。それでも、劇場で映画「ベルサイユのばら」を観るという体験は得難い衝撃になる。